大学院入学

 本専攻では、理学の視点から化学(分子科学)の基礎的課題に取り組むと同時に、その展開としての独創的な応用研究に取り組んでいます。それらの研究・教育を通じて、北陸・東海地方の製薬・化学工業を中心に化学の広い分野で研究開発や教育を担う人材を送り出しています。
 修士課程では先端研究を通じた専門教育により、知識と技術を生かして社会に貢献できる人材を育成します。少人数教育により、きめ細やかな専門教育と研究指導を行うと共に、本学の特色を生かした理工医薬の分野横断型の教育カリキュラムも実施されています。さらに研究を続けたい学生は、専門分野に応じて理工学教育部、または生命融合科学教育部の博士課程へ進学ができます。

 本専攻は、反応物性化学、合成有機化学、水素同位体科学の3分野に所属する8つの研究グループから構成されています。

【反応物性化学】反応物性化学分野には、光化学、物理化学、無機分析化学、錯体化学の4つのグループがあります。光化学では、レーザー分光法と理論計算を用いて分子の光励起状態の性質や光電子移動などの素反応についての研究を行っています。物理化学では、分子レベルの視点で触媒の活性発現機構の解明と新規触媒の開発を行っています。無機分析化学では、非平衡における構造と反応性を溶液・レーザー化学の手法で研究しています。錯体化学では、発光性や外部応答性などを示す錯体の合成と資源再生型エネルギー変換を志向した機能性錯体の開発を行っています。

【合成有機化学】有機化合物の物理化学的・生物化学的な特性は、炭素・炭素および炭素・ヘテロ原子間の結合で構築される化合物の構造に支配されます。合成有機化学分野は3つのグループで構成され、機能性有機分子(合成有機第一:有機化学)、天然物有機分子(同第二:天然物化学)及び生体有機高分子(同第三:生体機能化学)を研究対象として、有機化合物の構造・物性・反応性を基盤に、新規分子の設計・新規合成法の開発・分子機能の解明と開拓を目的とする基礎研究と共に、有機機能材料、創薬リード化合物、バイオ工学ツールなどの応用開発も行っています。

【水素同位体科学】水素が示す大きな同位体効果は様々な研究に利用されています。
また重水素やトリチウムは、核融合炉の燃料としても重要です。本分野は、
水素のこうした特性に着目して研究を行なう、国内でも特徴のある研究グループです。
 次世代の高密度エネルギー源として有望な核融合炉で必須となるトリチウムの安全な取扱技術の確立や新しい計測法の開発、また核融合炉材料中の水素同位体挙動の解明などの研究を行っています。さらに、独自に開発した粉体表面修飾法を用いて、燃料電池用電極触媒など新規な機能性粉体材料の開発を行っています。

 立山連峰の眺望が美しい本学キャンパスで、先端研究を通じて皆さんが化学と日本の未来を切り開く力を養われることを期待しています。