富山大学COC+関連地域指向科目講義レポート

地域課題解決科目「地域再生論演習」

日時:平成29年10月25日(水)13:00〜14:30
場所:富山大学経済学部102教室

 全15回予定されている地域課題解決科目「地域再生論演習」の第3回の授業が開かれた。冒頭,魚津市長から受講生への『うおづ地域研究員』委嘱状交付と特別講義が行われ,続いて市職員から魚津市の取組についての講義が行われ,魚津市の現状や課題について理解を深めた。

受講生への委嘱状交付 

村椿晃魚津市長から12名の受講生一人一人に,委嘱状が手渡された。

地域課題解決科目「地域再生論演習」
特別講義
魚津市長 村椿晃氏
地域課題解決科目「地域再生論演習」特別講義

先週10月15日に魚津市のみなとオアシス魚津(魚津港・海の駅蜃気楼)で開かれた第10回みなとオアシスSea級グルメ全国大会のコンテストで魚津バイ飯がグランプリに輝いたことを紹介。魚津では普段の生活の中で用いられている特色ある食材を生かした新たな取り組みに力を入れていると話した。

この地域再生論演習では,人口減少していく時代の中でこれまでの社会システムでは生き残れなくなるので,どうやったら未来に希望の持てる社会システムがつくれるのかを考えてほしい,と呼びかけた。

うおづ地域研究員としての活動の参考にしてもらいたいと,人口減少の中で今後魚津市がどういう取組をしていくかについて,シンボリックな取組として,文化面と産業面から2つの事業について紹介があった。

はじめに,文化の保存・継承の切り口として地方創生応援税制活用事業に採択された「たてもんと全国植樹祭レガシー事業」について説明。ユネスコ無形文化遺産に登録された「魚津のタテモン行事」は,海岸部の7町内が継承している文化であるが,祭りを支える人口が減少し地域の負担が増しているという課題があり,地域だけでは継続が困難になっていることから,将来を見据えた保存・継承と魅力発信のためにこの事業に取り組んでいると話し,地元産材でたてもんを制作できるように植樹して「たてもんの森」を整備し,祭りに関わる人材や後継者を育成し,情報を発信するプロジェクトの内容を紹介し,文化の担い手の育成と観光振興による交流人口拡大による地域活性化のビジョンを伝えた。

2つ目に,若い人の働く場をつくる産業面での取組み例として,今年開催される「UOZUゲームフォーラム」と「UOZUゲームハッカソン」のイベントについて紹介。魚津の地形は面積の70%が山林で残りのほとんどは傾斜地であり大きな平地がないため,企業を誘致するための用地開発ができないことから,広い用地を必要としない新分野の企業育成が必要で,ゲームクリエーター等の人材を育て、魚津に拠点をもってもらおうことを目的にこのイベントを企画したと説明。若者が働きたい企業・産業をつくり出す取り組みによって若者の魚津への流入を図るなど,様々な観点から持続可能な市の仕組みづくりを行っている,と魚津市の将来を見据えた政策について講義した。

質疑応答

魚津市の人口のピーク時期と人口減少の傾向についての質問に,村椿市長が人口の推移や他の自治体との比較を丁寧に説明。また,紹介した事業の収入面についての質問に,市内出身者や企業へのふるさと納税の呼びかけや内閣府の地方創生応援税制の認可について説明し,魚津市のファンを増やしていく取組が重要であると話した。

講義
魚津市の取組〜特定政策分野と人口減少対策〜
魚津市企画政策課地域資源推進班 前田久則氏(富山大学地域連携推進機構民間等共同研究員)
地域課題解決科目「地域再生論演習」講義

魚津市の人口推移と長期的な見通しのグラフを示し,このままでは人口が毎年1%減少していくため,総合計画の中で,減少率を年0.5%に抑えることを市の目標に据え,具体的には出生増・死亡減・転入増・転出減により年間133人以下の減少に留めるとしたことを紹介。総合戦略は人口減少とそれに伴い顕在化してきた課題を整理して,想定される原因を確認して対策を立てるものであると説明。魚津市では特定政策分野として,①教育環境充実,②子育て支援,③観光振興,④産業振興,⑤魅力的なまちづくりの5分野と,人口減少対策としての「移住・定住促進」と「健康寿命の延伸」の2分野の政策事業に力を入れて取り組んでいると説明。

さらに,特定政策の各分野において現在取り組んでいる事業内容を紹介し,うおづ地域研究員の皆さんの今後の提案の参考にしてほしいと話した。また,魚津市を持続可能性が高く心豊かな生活が送れる地域とするには,ある程度の人口規模を保つことを通して現在の市民の生活を維持させなければならないと話し,そのためには現状把握,課題の認識,原因の推察が必要であり,うおづ地域研究員の皆さんの取組に期待すると伝えた。

質疑・感想発表

受講生から,人口増減と住民行政サービスの変化や観光・介護についての質問や講義の感想,今後の意気込みなどについて,受講生が発表。受講生は,各自のテーマや目標の輪郭を探り,方向性を見いだしていた。