B1101)河川水中超微量カドミウムの迅速濃縮・定量法
河川水中の微量金属を定量する際には,前濃縮操作が必要になります。我々は,共沈法による微量金属の濃縮法の開発を行ってきています。今回,内部標準-リン酸ランタン迅速共沈法を用いて河川水中のカドミウムを約200倍に濃縮し,黒鉛炉原子吸光分析にて定量する方法を開発しました。本法は,従来の共沈法において煩雑であった沈殿の完全な回収が不要であり,また,濃縮後の体積を一定にする必要もありませんので,操作が極めて容易です。
本法を用い,神通川水系の河川(高原川-神通川)にて試料水を採水し(Fig. 1),カドミウム濃度を測定したところ,13〜363 ng/Lという結果を得ました。いずれも我が国におけるカドミウムの水質環境基準値0.01 mg/L(= 10,000 ng/L)を大きく下回っていることが確認されました。
Fig. 1 試料水の採水地点
【関連論文】
◇ Shigehiro Kagaya, Yusaku Hosomori, Hidekazu Arai, and Kiyoshi Hasegawa, Anal. Sci., 19(7), 1061-1064 (2003).