B1103> 水中微量タリウムの迅速濃縮・定量法

タリウムは,最近の事件でもわかるように,毒性の高い元素の1つです。タリウムは,水中では+I価あるいは+III価として存在します。

リン酸ガリウム共沈法によりタリウム(III)が定量的に捕集されることを利用し,迅速共沈法,原子吸光分析と組み合わせた高感度定量法を確立しました。試料溶液にペルオキソ二硫酸カリウムを加えて加熱酸化して,溶存タリウムを+III価とし,リン酸ガリウムで共沈捕集します。沈殿が沈んでから上澄み液をデカンテーションである程度除去した後,沈殿を遠心分離します。得られた沈殿を溶解し,この溶液中のタリウムを電気加熱原子吸光分析にて,ガリウムをフレーム原子吸光分析にて定量し,試料溶液中のタリウム量を求めます。

この方法は,水道水などの飲料水中のタリウム定量に適用できます。

Fig.1 リン酸ガリウムによるタリウム(I)とタリウム(III)の共沈に及ぼすpHの影響

【関連論文】

Shigehiro Kagaya, Yasuko Araki, Yoshio Hori, Kiyoshi Hasegawa, J. Ecotech. Res., 11(1), 7-11 (2005).