B1301> 重金属塩中不純物の鉛,鉄,ビスマスの選択的分離・定量法
我々が見出した共沈剤,リン酸イットリウムは,広いpH範囲で鉛,鉄(III),ビスマスの捕集に優れた能力を示す一方,ニッケル,コバルト,銅などをpH3付近ではほとんど捕集せず,選択性を有することがこれまでの研究でわかってきました(Fig.1)。このリン酸イットリウム共沈法を用いて,試薬メーカーから市販されているニッケル,コバルト,銅の金属や塩化物塩,硝酸塩に不純物として含まれる鉛,鉄,ビスマスを定量し,好結果を得ることができました。現在,開発製品・技術の高度化に伴い,原材料の高純度化が望まれていますが,本法は不純物含有量の計測に有用であると考えています。
Fig.1 リン酸イットリウムによる各元素の共沈回収率に及ぼすpHの影響 【関連論文】
◇ Shigehiro Kagaya, Yasuko Araki, Noriyasu Hirai, Kiyoshi Hasegawa, Talanta, 67(1), 90-97 (2005).
◇ Shigehiro Kagaya, Yasuko Araki, and Kiyoshi Hasegawa, Chem. Lett., 2000(3), 208-209.