B1401)海洋深層水を原料とした塩製品の微量元素含有量の計測法


富山県では海洋深層水利用に関する研究開発が盛んです。深層水を用いた塩製品は消費者から美味いと評判らしいのですが(実際におい しい気がする),その理由はまだ科学的に解明されていません。人間の味覚は主成分だけでなく微量成分含有量のバランスによっても左右されるといわれますの で,塩製品中の微量元素含有量バランスの違いを詳細に調べていけば,海洋深層水利用の意義を立証できるかもしれません。
 今回,我々は,イットリウム・ガリウム・マグネシウムの各水酸化物を試料水中で同時に沈殿させ,これらの沈殿に試料水に含まれる 微量元素を捕集する「ハイブリッド共沈法」を開発し,様々な塩製品中の微量元素含有量の計測に応用したところ,13元素を同時に濃縮し,ICP発光分析 にて一斉に定量できることが確認されました。またこの方法に,我々が研究を進めている内標準併用ー迅速共沈法を適用し,操作を簡便・迅速化することに成功 しました。


Fig. 1 ハイブリッド共沈法による各元素の捕集率(青)
 今後,本法を 用いて塩製品中微量元素含有量計測を行い,得られた結果を比較することにより,海洋深層水利用の意義が見えてくるかもしれません。
 なお本研究は,(財)ソルト・サイエンス研究財団より助成を受けて実施しました。

【関連論文】
Shigehiro Kagaya, Tatsuki Sagisaka, Satoshi Miwa, Kazuya Morioka, Kiyoshi Hasegawa, Bull. Chem. Soc. Jpn., 79(5), 717-724 (2006).