キレート樹脂で捕まえた鉄でヒ素を共沈!?
キレート樹脂で捕まえた鉄でヒ素を共沈!?
2011/08/01
カルボキシメチル化ペンタエチレンヘキサミン(CM-PEHA)を導入したキレート樹脂を用いて As を分離濃縮することを目的とし,Fe(III) を担持させた CM-PEHA 型樹脂を用い,As の吸着・溶出に関する基礎検討を行った。Fe(III) 担持 CM-PEHA 型樹脂は,As(V) を pH 4 - 6 で最大に吸着した。As(III) はほとんど捕集されなかったが,次亜塩素酸ナトリウム溶液を用いて As(III) を As(V) に酸化することにより吸着可能であった。吸着した As(V) は水酸化ナトリウム溶液を用いることで容易に溶出でき,ICP 発光分光分析にて定量可能であった。これらにより,試料水中の As(V) 量,As(III) と As(V) との合量をそれぞれ求めることが可能であり,これらの差から As(III) 量を求めることで As(III) と As(V) とを分別定量できる可能性が示された。本法は,地下水認証標準物質(ES-H-1)に含まれる As の定量に適用可能であった。
鉄(III)担持カルボキシメチル化ペンタエチレンヘキサミン型 キレート樹脂を用いるヒ素の固相抽出分離
梶原健寛, 前馬恵美子, 加賀谷重浩, 井上嘉則, 上茶谷若, 梁井英之, 齊藤満, 遠田浩司,
分析化学, 60(8), 629-634 (2011).
※ この研究は,日本フイルコン(株)と共同で行いました。