経済・経営データを読む
経済成長と貯蓄
Y:所得、C:消費、S:貯蓄、I:投資
1.所得は消費と貯蓄として処分される。
@ Y=C+S
ここで、
s:貯蓄率(限界貯蓄率と平均貯蓄率は等しいと想定: s=S/Y)
c:消費性向(限界消費性向と平均消費性向は等しいと想定: c=C/Y)
とすると、c+s=1
2.需要とその増加
まず、所得を需要側から観察する。
需要Yd は消費と投資からなる。
A Yd=C+I
これより、c=C/Y、c=C/Y)、c+s=1 を用い、Ydについて解くと、
B Yd=[1/(1-c)]・I
=(1/s)・I
sは所得や投資に依存せず固定されていると仮定すると、
C ΔYd=ΔI/s
ここで、ΔYd は所得(需要)の増分、ΔIは投資の増分
3.供給とその増加
所得を供給側から観察する。
Ys :供給側からみた所得。
K:生産するには資本(工場や設備資)が必要。資本をKとおく。
資本の生産性
1本の毛糸のマフラーを、編み棒を使って手編みで編むより、機械で編む方が速い。
言い換えると、毛糸の編み機は、同じ時間で、手編みより何倍も多くのマフラーを
編むことができる。
このことを表すのに、「生産性」という用語を用いる。
例えば、機械1は1分間に1本のマフラーを編み、機械2は1分間に4本のマフラーを
編むとすると、機械2は機械1より生産性が4倍あるといえる。
σ=Ys/K:資本の(平均)生産性
1単位の資本で何単位生産できるかを表す。資本の平均生産性という。
(1単位の資本で所得がいくら生み出せるかを表す。)
この係数シグマは固定されているものと想定すると、
D σ=Ys/K=σ=ΔYs/ΔK
資本係数
鉄板1億円を生産するには製鉄所(工場や設備)が必要
1本1億円のビジネスソフトを作るにはパソコンなど(工場や設備)が必要
どちらの方の工場や設備が大きいかは容易にわかる。前者である。
このことを表すのに、「資本係数」という用語を用いる。
たとえば、サービス業では重化学工業よりも資本係数が小さいといえる。
v=K/Ys:資本係数
1単位生産する(所得を生み出す)のに何単位の資本が必要かを表す。
この係数も固定されているとすると、
E v=K/Ys=ΔK/ΔYs
さて、100万円で工場を建て増しするとしよう。
この100万円は投資Iである。
また、この建て増しされた分は、もともとあった資本Kの増加分である。
したがって、
F I=ΔK
4.経済成長と貯蓄率および資本係数
経済成長とは所得が増加していくことをいう。
経済成長率をgとすると、前年から今年にかけての経済成長率は、
g={(ある年の所得−前年の所得)/前年の所得}
g=0.03ならば経済成長率は3%
所得の変化前に、需要と供給が均衡していると想定すると、
Yd=Ys
所得の変化後に、需要と供給が均衡するためには
ΔYd=ΔYs
である。ΔYs=I/v、I=S=s・Ydを用いると、
G
g=s/v
重化学工業時代
資本係数は相対的に高いから、高い経済成長率と高い貯蓄率とがかみ合った。
つまり、高貯蓄率は高度経済成長を資金面で支えた。
産業のサービス産業化
資本係数は相対的に低くなる。