株価と地価
2006.5.23
1.複利計算
利子率をr(100r%)とします。
預入額をX円とすると、来年の元利合計は X(1+r) 円です。
これから、来年の1円の現在価値は 1/(1+r) 円です。
複利計算では2年後の元利合計は X(1+r)2 円です。
これから、2年後の1円の現在価値は 1/(1+r)2 円です。
一般的に、複利計算ではn年後の元利合計は X(1+r)n 円です。
これから、n年後の1円の現在価値は 1/(1+r)n 円です。
2.債券の価格
今、債券を買うことを考えます。
その債券には毎年1円の利子が永久的に支払われるとします。
利子率をrとして、この債券は何円の価値があるでしょうか。
n年後までの利子収入の現在価値は、
Sn=1/(1+r)+1/(1+r)2 +・・・+1/(1+r)n
両辺に1/(1+r)を乗じた操作からSnを求め、n→∞ とすると、
S∞ = 1/r
これから利子率が1%ならば、現在価値(価格)は100円です。
(参考)
利子率が2%の場合は、現在の価値は(1/0.02
= 50円)となって
1%のときと比べると債券価格は半分になってしまいます。
ですから、利子率が1%や0.5%などと非常に低いとき、一定のお
金(資産)を現金(タンス預金)で持つか債券で持つかというとき、
現金で持とうとする傾向が強い。
3.株価・地価の理論値
株価、地価はいくらするかは、株や土地をいくらで買ったら損をしないかということと
同じ事です。
ですから。株価・地価の決定の問題は、上の1.と2.の問題と同じ内容の問題です。
土地は永久に残りますし、企業が倒産しないとするとその企業の株も永久に存在します。
したがって、基本的には、土地と株には満期がありません。
株価は株式保有から得られる将来の配当の現在価値として決まります。
地価は土地の所有から得られる将来の収益の現在価値です。
T期間の価値は、t期の利子率をrt、t期の配当や収益をRtとして、
V = R1/(1+r1)+ R2/(1+r2)2+・・・+Rn/(1+rn)n
で与えられますから、T→∞ として価格が求まります。
計算の過程からわかるように長期的保有、長期的観点を想定しています。
4.実際の株価・地価の決まり方
現実には、株や土地は売買されます。
売買される場のことを市場といいます。
市場での取引により、その時々の売買価格が決まります。
また、上のRt は人々や企業の予想値です。
したがって、短期的には、土地や株の価格は上で述べた理論値から外れます。
重要
現実の価格が理論値と異なる原因は、
@所有から収益が得られる・・・・・・農業、駐車場から収益を得る、株から配当を得る。
A売ると、(売る価格−買った価格)の利益が得られる・・・譲渡益を得る
ということにあります。
つまり、地価や株価の決定においては、
@各期の収益がどうなるかという予想、
と同時に、
A土地や株の売買価格つまり市場がどう動くと予想されるか、
にも依存するということが重要です。
5.株の売買で儲かる保証はない
株で儲けるとは、通常のケースでは、長く株を保有して配当を得るとか増資を得ると
かといったことを意味しない。
非常に短期的な取引、つまり極端には今日株を買って今日売るという売買の差額で儲
けることを指す。
このような短期的な売買で儲けるには、市場(株価)がどう動くかを読むしかない。
儲けることができるのは、
@市場の動きをうまく察知できるケースと、
A市場を動かせるケースである。
@は、通常の投機家(投資家)のケース。
Aは、いくつもある。
・偽りの財務内容を公表してまで市場を欺くケース。(最近話題のケース)
・カネの力(株の大量買いで経営に関与するとの圧力)で、買った株を高
く買いとってもらうことによって儲けるケース。(最近話題のケース)
・大金を利用し株式市場で大量に株を買うと株価が上がるので、上がった時
に売りに出せば差額で儲けられる。
直感的にもわかるように、個々人が入手できる情報量は極端に小さいので、
@の人が市場の動きを正確に察知するのは至難の技。
Aの場合で、合法的に行動する人については、大金を動かせる人ほど高い確率で
儲けられる仕組みになっている。
結論
一般的に、カネのない人には、カネが儲かるうまい道はない。
まず、地道に元手を貯めることである。