富山県の財政(2)


NHK富山放送局のインタビューにおけるコメント   取材 1997年4月22日   放送 1997年4月23日
・地方債の残高が大きいことは問題か  国債(国の借金)と地方債(県の借金)の絶対額自体はあま  り問題ではない。  家庭になぞらえると、収入や預貯金の多い家庭では、多額の  ローンで大きな家を建てても、まあまあの生活はできる。  まあまあの生活ができて借金を返済していければ問題はない  といえる。  しかし、預貯金を取り崩して返済に当てたり、衣食住の内の  衣や食の出費を削るようになったら明らかに危険である。  収入が少なくて預貯金のない家庭では、少ないローンで小さ  な家を建てても、衣食の出費を削って返済するというような  ことも起こりえる。  したがって、国債や地方債残高という借金の問題は、絶対額  の問題ではないといえる。
・富山県の借金が大きいことのどこが問題か  問題は、国や県が行政サービスを自由に提供できる範囲が狭  まることである。  国の財政や富山県の財政では、自由に支出できる範囲はごく  狭い状態になってしまっている。  富山県の財政では、積立金を全て取り崩している、つまり預  貯金を使い果たしている。  だから、その年度の支出はその年度の収入で賄わざるをえな  い。  預貯金の余裕がないのに新たな借金をして負債の残高を大き  くするの問題が非常に大きい。
 もう少し、具体的に説明しましょう。  平成8年度末の国債残高は 241兆円    返済するとしたら 4人家族で 767万円  平成6年度 勤労者世帯(世帯人員 3.63人)で    可処分所得、つまり自由に使える所得は 577万円  したがって、4人家族では、食うや食わずで返済しても1年  4カ月以上かかる。  富山県の地方債残高は 6700億円   一人当たり 60万円以上の借金   4人世帯では 240万円以上  これを4人家族の家庭が返済するには、食うや食わずで5カ月程  度かかる。  債務の半分は地方交付税で措置されても、国も借金生活の状態だ  から、いずれは国民(県民)が負担しなければならない。  こう考えると6700億円の借金は県民が負担することになる。  国と県の借金を合わせて考えると、  4人家族で1000万円の借金があるということなるから、返済  するには食うや食わずで1年9カ月の耐乏生活を送らねばならな  いことになる。  1000万円の借金というと平均的なサラリーマンにとって返済  返していけるぎりぎりの額といえる。  だから、収入、つまり税収が伸びない場合には、富山県ではこ  れ以上の地方債残高の増大は危険が大きい。
 財政運営の指針   ・無駄な経費や効果のない公共事業にはお金を使わないこと、   ・その他の事業でも優先順位をつけできるだけだけきりつめ    ること、  が少なくとも必要であろう。