佐竹 洋 (SATAKE, Hiroshi) 教授 理学博士
Fax: 076-445-6549 E-mail: satakeのあとに@をつけて、その後がsci.toyama-u.ac.jpです。
ウイルス対策でアドレスをちゃんと書けないなんて、やな世の中ですねぇ〜
◆学歴・職歴
1949年 東京で生まれる。
小学校の低学年くらいのころ、東京の都心部でも、まだ馬が荷車を引いていました。
そのころは、風呂屋へ行くと、全身に紋紋を入れたおじいさんをよく見かけましたが(鳶の頭
ですかねぇ)、なかなか見事なものでした。昭和30年代の前半のことですが・・・
1972年 東京教育大学 理学部化学科を卒業。
2年生の時、筑波移転反対の全学スト・大学本部封鎖と、それに対する機動隊導入&ロックアウト
で1年間が過ぎました。 当然のように留年です。後年、富山大学に異動した時、当時の教育大の
本部事務官だった人がいて、それを知った時、お互いにニヤリと笑ってしまいました。
化学科だったので、有機化学なども一応は勉強しました。4年生になる時に、雰囲気が良さそう
な無機化学研究室にしたのですが、そこはまともな無機化学はやってなくて、地球化学なる訳の
分からんもんをやっている所でした。思えば、私の人生は、ここで狂ってしまったのですね。
卒論では粘土の層間に吸着される水の同位体比を測っていました。マントル対流で地球内部
に取り込まれる水の同位体比を知るという、気持だけはやたら壮大なテーマでした。
修士も教育大です。M1の終わりころ先生が東工大に移ってしまい、研究室が消滅。よその大学の
研究室に預けられて、地下のどれくらいの深さまで水が存在可能かを知るべく、含水鉱物の
安定領域を求める高温高圧実験なぞをやっていました。 押して知るべし、ですね。
※東京教育大学は20年ほど前にお取り潰しになった大学です。trend の先取り!!
そんな訳で、世の中には卒業生は少ししかいません。レアもの、お宝!です。
見つけたら、大事にしてあげてください。そのうち値打ちが・・・なんてこたぁないけど。
1977年 東京工業大学 大学院理学研究科博士課程を単位収得退学。
修士が終わって行くとこがないので、移った先生の所に押しかけました。入る時、いちおう※試験が
あり、自由エネルギーをΔG=ΔH+TΔSで計算してしまい(テメー、よくよくの馬鹿じゃネーか?)、
コリャ1年間は研究生だなと覚悟したのですが・・・。1時間後に合格といわれてしまいました。
オイオイ、さっきの試験は何だったんだよ? ケッ、シャレで試験なんかすんなよ!
でもこんな話、うちの学生には出来ないよねぇ 〜 (^_^);
※DCの入試なんて、ないとカッコつかないから、一応やってるだけのもんです。
DCは試験の出来で入るようなとこじゃありません。研究中毒にかかった人が行く
くら〜い・くら〜いオタクの世界です。良い子の皆さんは近づかないやうにしませう。
DCでは海嶺玄武岩やシリケイトメルト中の水のD/Hなど、地下深部の水の同位体で遊んでました。
ゼミがおわった夕方に、先生がサッカーがやりたくて真っ先にグランドへ飛び出す、研究室と
サッカー同好会が合体したような、今思い出してもホントにヘンな研究室でした。
学生は学生で、先生のことを年の離れた仲間くらいにしか思ってなかったし・・・
この先生からは、専門知識や技術的な事などは、ぜ〜んぜん教わりませんでしたが、ご飯を食べたり
お茶を飲みながらの折々に話してくれた、業界の裏話や自分の失敗談などを通して、研究の楽しさ・
研究のハートを教えてもらいました。
この先生はよく、俺の一番の仕事は、学生に(研究の楽しさという)麻薬を注射して、こっちの
世界に引きずり込むことだ、と言っていましたが、この年になってみて、その先生の気持が
痛いほど良く分かります。
1977年 筑波にある科学技術庁 国立防災科学技術センターに就職。地震地下水研究室の研究員。
ラドンやヘリウム等の、地下水中のガス成分による地震予知をやるハズだったのですが、
プロジェクトがこけてしまい、関東・東海地方の地殻のひずみを調べる応力測定をやっていまし
たというか、手伝いをしていました。足を引っ張ってた、というのが本当の所かもしれませんが・・
この研究所にいるあいだに、地下のガス成分とテクトニクスの関係に関心を持つようになりました。
また周囲は、地物・地質の人たちばかりでしたので、こういう他分野の人たちが吐き出す
恐ろしげな専門用語を耳にしても、それほどたじろがなくて済むようになりました。
この異種格闘技の経験は、その後おおいに役に立ちました。
1980年 富山大学理学部に転勤。理学部 地球科学科 陸水学講座の助手。
陸水といっても実際は、安定同位体を武器とした水・ガス系の地球化学の研究室で、
教授・助教授・助手で研究室内での役割分担の違いはあるけれど、研究面では対等だ、
という考えの教授のもとで、3人は独立して自分の研究テーマでやっていました。
火山・熱水・温泉・地震・断層・降水・雪氷・地下水・古環境とホントに間口の広い研究室でした。
ワザのデパート舞の海ならぬ、テーマのデパートですね。
それからず〜っと富山大学です。途中、地球科学科から生物圏環境科学科に移りましたが※、
下に書いたような事を、飽きもせずにいまだにやっています。進歩がないと言われりゃ、それ
までですが・・・
※水・ガス系の地球化学は、地球の表層における物の動きの研究ですので、当然それは
環境とも関わり合いが深く、そのため、生物圏環境科学科が出来た時、研究室ごと
すぽ〜んと、そちらに移ったのです。 その時のメンバーは、もう私1人ですが・・
◆専門分野と研究課題
専門分野は、地球表層における水やガスの物質循環に関する環境地球化学的研究です。
水やガスは、人間の環境にとって重要な物質なので、いわゆる環境問題に直接関係しなくても、
このような研究は必然的に環境科学になってしまいます。
具体的なテーマは次のとおりですが、環境科学的な研究は長く続ける事が大事だなぁ〜と、
最近つくづく感じています。
◆降水・積雪の化学的・同位体的研究
降水や積雪中の化学成分や同位体を知らべて、現在および過去の環境状態とその変化を知る。
そして、それらの変化を引き起こしている 環境要因の解析と、その現在および過去にわたる変
遷を解明する。
富山では冬季に大陸から酸性物質が輸送されて、富山の環境状態に大きな影響を与えています。
この大陸からの輸送状況を、10年以上の長期にわたって調べています。
◆地下流体の研究
地下水や温泉に含まれる化学成分やガス成分の組成や同位体を調べて、地下水の流動状況や
温泉の起源、地下に存在する色々なガス成分の起源や挙動、およびそれから分かる地下深部の
状態について研究する。
具体的には、富山県内外の扇状地や断層帯での地下水の流動状況やその涵養源、および流動に
伴う化学成分・ガス成分の変化を調べています。また、北陸地方の温泉に含まれるガス成分の
特徴と、温泉の泉質や地下状態との関連についても調査しています。
◆使っている道具類
こういう研究をするために、イオンクロマトグラフ、ガスクロマトグラフ、同位体比測定用質量分析計
などを使用しています。同位体に関しては、HCNOSのひと通りを、1台のマスで測っています。
エ?なに?うちでもそれだけ測ってるけど?うち じゃあ、3台のマスを使い分けてるから?1台では
5種類も測ってないって?チェッ、自慢して損したぜ。うちがビンボーなだけじゃネーか。
こうなりゃ、Cl−37も測ってギネスに載ってやるか。1台で6種類測れば世界新記録だ!
うちのマスは可動式コレクターだから、35・37のピーク合わせは簡単だもんね。
パンパカパ〜〜ン。2002年8月15日。ついにδ35Clの測定を始めました。
6種目制覇!! 世界新記録達成!!!!
ここまで来るともう、どこからでも掛かってきなさい!俺は逃げも
隠れもしないぞっ!っていう気分ですね。
それ以外にも、水の年代を出すのに有効なトリチウム電解濃縮装置や、同位体測定用のガス試料
を調製するガラス真空装置(スタッフや学生の人たちの手作りです)なども使用しています。
◆著書・論文等
The quantitative evaluation of sublimation and the estimation
of original hydrogen
and oxygen isotope ratios of a firn core at East Queen Maud
Land, Antarctica.
Bull. Glacier Res., 15, 93-97 (1997) (共著)
沖縄県八重山地方の降水および地下水の同位体組成と水文学的特徴
用水と廃水,39, 59-65 (1997) (共著)
地下水かん養源の指標としての河川水の水素および酸素同位体組成
地下水学会誌,39, 287-297 (1997) (共著)
地下水から見る断層周辺の水の動き,
地球,20, 160-164 (1998 ) (共著)
Geochemistry of groundwater in and around the Mozumi-Sukenobu fault,
northern central Japan.
Chanesse Science Bulletin, 44, 261-262 (1999) (共著)
◆所属学会
日本地球化学会、環境科学会、日本地下水学会
◆教育活動
(教養教育)地球の環境
(専門教育)生物圏環境科学概論I、環境同位体学、環境地球化学、科学英語、
環境化学計測実験2、卒論指導
(大 学 院)環境地球化学特論、物質循環特論、ゼミナール、修論およびD論指導
◆管理・運営活動
水素同位体科学研究センター運営委員会、就職委員会
理学部就職指導委員会、理学部自己点検委員会、理学部予算委員会
◆地域・社会における活動
富山県環境影響評価技術審査会、富山県環境審議会地下水専門部会
★★ 3年生の人へ ★★
卒論をやる研究室えらびのために、このホームページを見ている人も多いと思います。
私の場合、卒論のテーマは、上に書いた佐竹の研究課題から出す事になります。
具体的には、フィールドへ出て、雨・雪・地下水・温泉(温泉も、う〜んと深い地下水ですよ)などを採集し、
その化学成分・ガス成分や同位体の測定から、現実世界におけるものの動き・環境状態を知るというものです。
なぁ〜んだ、具体的には・・・とかなんとか言いながら、この説明はちっとも具体的でないなぁ。 ったく、もう。
具体的な事※は直接聞きに来てください。その方が早いです。ゴメンナサイ m(_ _)m
※下に、研究室紹介の時のOHPを出しておきました。参考になるかな?
でも、年によっては、大学院に行った人がそのテーマを担当するので、今年はこれはなし、といった
事もあります。そのへんの細かい所は、私もなってみないと分かりません。そこんとこはカンベンしてください。
それから私は、卒論は4年生の人が自分で考えて自分で物事を行っていく、トレーニングの場だと思っています。
また同時に、フィールドなどで色々な人と接して、社会の仕組みを知り、社会に出て行く準備の
場だとも思っています。要するに、社会復帰のためのリハビリの場!ですかねぇ。
そうすると大学院に残った人は全治2年間の入院で、DCは・・・。そうなると私なんざ、一生社会復帰
できない永久隔離患者ってぇことですかねえ。 う〜ん、ナットク。オイオイ、納得してどーすんだョ。 (^_^);
そういう訳で、私の場合、試料の採集法や実験技術を一通り教えた後は、自分で試料採集※や実験の
スケジュールを立てて、やってもらうようにしています。3年までの実験のように、きょうはこれをやれ、
明日はこれを測れ、といった事は言いたくありません。
※私はフィールドへ出るのが好きなので、ついて行く事もよくありますが、あくまでも、私はオ・マ・ケです。
そういう意味で、きわめて自由ですが、自由は責任と引き換えだ、ということを認識してください。
そのへんを勘違いして卒業できなくなった人も、過去20年間で6人ほどいます。たしかに、失敗からは
多くの事が学べますが・・・
それから、私の所では自然界における水やガスの動きを、化学成分・同位体から研究するわけですから、
地球化学・陸水化学・環境同位体学・環境地球化学の授業内容が分かっていないと、物を考える上で
多いにハンディになります。ぜひこれらの授業を履修して、知識を身につけておいてくださいね。
また、試料採集や関連情報の収集など、外回りの営業が色々ありますから、自動車の免許も取って下さいね。
持ってない人は、取るまでは試料採集に出しませんので、卒論が始められません。
自動車はなくてもかまいませんが、卒論に必要だ、と親をだまして、手に入れてしまった人も、居ました。
卒論をダシにする、ふて〜奴だ!
いずれ皆さんは研究室訪問をすると思いますが、その時は、私と話をするだけでなく、ぜししとつ(訛ってるね)、
4年生や大学院の人と話をしてください。研究の内容や進め方、研究室の雰囲気や先生の実態は、学生の
人から聞いたほうが、ず〜〜〜っと、確かです。
先生なんて、「学生の個性と自主性を尊重します」とか、「ウチはキレイで簡単・高収入のお仕事です」とか
(あんた、ホステスさんのスカウトマン?)、どうせ調子のいい事しか言わねぇ〜ズラよ!! もちろん私もよ!
4年生になって、シマッタ!佐竹にだまされた!!こんな所に来るんじゃなかった!!!ということのないように、
しっかりと実態を見抜いてください。世の中はダマされる方が悪いんです!!!!
フッ、フッ、フ。ワシの正体が分かるかね?明智君。キッ、キサマは怪人二十面相!! ・・な訳、ねーだろーが!
でも、そうなったら、お互いに(あんたばかりでなく、私にとっても!)不幸ですからね。人間、合う合わないの
相性は、どうしてもありますから・・・。そのへんの所をしっかりと見極めてくださいね。
では、みなさん、自分にぴったりの研究室を探してください。 good luck! (^。^)/
========== 研究室紹介の時の OHP その1 ===============
≪ 佐竹の所では何をやっている? ≫
◆ 自然環境と、それに対する人間の影響を、化学的な手段を使って、知る研究。
◆ 雨・雪・地下水・温泉や、それに伴うガスが対象。
≪ どうやって研究する? ≫
@ 必要な試料を入手する。
試料のある所へ行って取ってくる。
A 化学成分・ガス成分や同位体比の測定を行う。
よその大学や研究所に行く事もある。
B 関連情報を入手する。
気象データ、地形・地質データ ・・・
C 分析結果と関連情報を組み合わせ、そこで何が起きているか?
どういう環境状態なのか?を考える。
測定終了=卒論終了 ではない!
環境を考える事の始まりだ!
============ OHP その2 & 3 =======================
ここ数年の院生・4年生が実際にやっていること。
大きく分けると雨・雪系 の研究と 地下水・温泉系の研究がある。
≪ 雨・雪系 ≫
雨・雪の化学成分・同位体から、これらの成分の起源、濃度変化と気象状況との関連を知り、
環境状態や物質輸送の状況について考える。
@ 富山と門前における、一雨ごとの降水の化学成分と同位体から、北陸の環境状態、
大陸からの輸送状況を知る。
A 沖縄本島・石垣島の降水の化学成分と同位体から、東アジア島弧部における、大陸
からの物質輸送状況を知る。
B 立山の積雪の化学成分と同位体から、高山地帯における環境状態・物質輸送状況を知る。
≪ 地下水・温泉系 ≫
地下水・温泉の化学成分・ガス成分・同位体から、地下水・温泉およびその中の各成分の起源、
地下水の流動状態や地下状態、それに対する人間の影響を見る。
@ 茂住鉱山の断層帯における地下水の化学成分・同位体から、断層地域における地下水の
流動状況と、化学成分の変化過程を知り、断層運動との関連について考える。
A 北陸地方や能登半島の温泉に含まれる化学成分・ガス成分・同位体から、温泉とその中の
化学成分・ガス成分の起源を知り、その地域の地下状態について考える。
B 庄川扇状地の地下水の化学成分・同位体から、地下水の流動状況と、流動に伴う化学成分
変化を知り、人間による影響についても考える。
=============================================
<<あとがき >>
うちの修士の人が、研究室のホームページを作ってくれたので、私もけっこうプレッシャーを感じて
いたのですが、何か簡単に作る方法はないかと考えて、去年大学が発行した富山大学研究者
総覧を流用する事を思いつきました。
環境と名のつく学科にいる者にとって、資源の再利用、リサイクルの実践はきわめて大切な事です。
とかなんとか言って、手抜きを正当化するわけですが・・・ (^_^);
それだけだと無味乾燥なので、色々書き加えていくうちに、こんなもんが出来てしまいました。
これを見た人の話では、いかにも佐竹らしいホームページだそうです。喜ぶべきか、悲しむべきか・・・
ご意見・ご感想・ご質問のありますかたは、佐竹 洋 (上の判じ物アドレス見てね)まで
お寄せいただければ幸いです。
佐竹 洋 先生に はげまし のお便りを出そう ! !
・・・アンタねぇ、はげましのお便りって、少年ジャンプじゃ、ないんだから・・・・
お帰りは こ ち ら です。 <(_ _)>
(2000.7.17作成、同10.11、2001.1.12改訂)