
診断の告知についてよく質問されるので、自分の経験からお話しします。
アスペルガー症候群の特性に感覚過敏があります。味覚に関するエピソードを話しましょう。
大学生の頃、旅行するにつれて辛いものを食べられたらどれだけ楽しく食事ができるだろうと思いました。感覚過敏ということを知らなかったので、頑張れば何とかなると思い、辛いものをどんどん食べて鍛えてやろうと思いました。5段階の辛さのカレーがありますね。はじめは1辛しか食べられませんでした。2辛も汗びっしょりでした。でも旅行をしていると5辛じゃないかと思うほどの料理が東南アジアには多いのです。そこで、無理矢理5辛のカレーに何度もトライして、ついに今では5辛は大丈夫です。おいしいと思えるようになりました。
もし仮に診断を受けて感覚過敏のことを知っていて、自分が1辛しか食べられない当時に感覚過敏のことを自分とつなげていたらどうなっていたのかなと思いました。その5辛を食べるトレーニングをしなかったのではないかと思います。
私は診断を受けた時が自分にとっての告知の適期だったと思います。
27歳までの自分は自分がアスペルガー症候群だとわからないままでしたが、その中で一生懸命にやってきたことを後悔していません。知らなかったからこそ、できたことも多かったと思うのです。
今、診断を受けてこれからのことを思うときに、受けたからこそできることをしていきたいと思います。
自分の特性がわかったことで、自分の得意なことをさらに伸ばしていきたいと考えています。
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