症状・検査
症状
本疾患は中高年の男性に好発し、男女比は2~3:1である。初発症状は、両側涙腺・顎下腺腫大に伴うドライアイ・ドライマウス、肝・胆・膵病変に伴う閉塞性黄疸、後腹膜病変による水腎症症状など、各臓器の結節性・肥厚性病変に伴う症状である(表参照)。また局所症状以外に、鼻・副鼻腔炎・気管支喘息などのアレルギー症状が主訴となることも少なくない。これらの全身的な症状は、同時期に発症することもあるが、多彩な既往歴として認める場合もあるため、注意深い問診が必要である。
初発時の主な症状・所見 | |
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下垂体 | 多飲、多尿 |
涙腺 | 涙腺腫大 |
顎下腺 | 顎下腺腫大、口渇 |
肺 | 喘息症状、胸部異常陰影 |
膵臓・肝臓 | 腹痛、黄疸 |
後腹膜 | 背部痛、浮腫、腎機能障害 |
腎臓 | 腎機能障害、画像の異常所見 |
前立腺 | 排尿障害 |
検査所見
IgG4関連疾患に共通してみられる血液検査所見としては、血清総蛋白(TP)上昇、末梢血好酸球増多、血清IgG(1800mg/dl以上)上昇、IgG4(135mg/dl以上)上昇、非特異的IgE上昇などである。
時に各種自己抗体陽性(リウマチ因子、抗核抗体など)、血清補体価(CH50)低下、免疫複合体(C1q)陽性などが認められる。
本疾患を疑う場合は、頭頸部・胸腹部などのCTやMRIなどの画像検査による全身検索が重要である。膵臓、腎臓、後腹膜などに特徴的な所見を呈することがあるため、病変の拡がりを把握できる。またガリウムシンチグラフィーなどによる全身のスクリーニングも有用である。
病理所見では、リンパ球、形質細胞浸潤を認め、そのIgG4/IgG陽性細胞比は40%以上、かつ、強拡大視野で10個以上のIgG4陽性細胞であること、および線維化所見を認めることが、本疾患の診断に必要である。様々な炎症性疾患や悪性腫瘍でも、IgG4陽性細胞がみられることがあるため、充分な検体による鑑別疾患の除外が望ましい。