Si(111)清浄表面での7×7DAS構造の形成機構


超高真空中(真空度:1×10 -10 Torr)での、Si(111)清浄表面では、7×7 DAS 構造が観察される(下図)。

DAS構造

図中の実線で囲んだ菱形の部分が単位格子で、理想表面の7倍の大きさになっている。単位格子の左半分の表面第一層には「積層欠陥(stacking fault)」が入っており、本来ダイアモンド構造であるものが「六方晶」になっている。この部分をFと略記する。もう一方の左半分には積層欠陥は入っていない。この部分をUと略記する。さらに、FとUの上には「付着原子(adatom)」が乗っており、表面の非結合手を減らしている。また、FとUの間には「二量体(dimer)」が並んでおり、積層欠陥の層と正常積層の層を結びつけている。この構造は、これまでに構造が決定された表面再配列構造の中でも、非常に複雑なものである。

この構造は、1100Kより高温では解消し、理想表面(1x1)の上に付着原子がランダムに乗った「"1x1"」構造となる。逆に1100Kより低温では、再び7x7DAS構造が形成される。"1x1"構造では積層欠陥は解消されているため、7x7DAS構造の形成には積層欠陥の導入、すなわちFをどのように作るかが最も重要な過程である。

この「Fをどのように形成するか」を解明するため、走査トンネル顕微鏡(STM)を用いて、表面構造層転移の様子を"その場"観察した。その形成/解消メカニズムを調べた。

これらの研究成果は、学術雑誌に公表している。【原著論文】16,18,19,21,24,26,28,33


島田 亙 の業績リスト【原著論文】へ


島田 亙 のホームページに戻る