過冷却水から成長する氷結晶の形態形成機構


過冷却水から成長する氷結晶では、時間の経過とともに形態の変化が見られる。すなわち、最初薄い円盤状で成長するが、やがてその縁でゆらぎが発生し、発達して以後は樹枝状として成長する。
氷結晶の形態の時間変化氷結晶の三次元的形態変化
左図は、中心のガラスの細い管から種結晶が成長する様子をc軸の方向(左列)と90度回転した方向(右列)から観察したものである(過冷却度0.02K)。

この円盤状から樹枝状への形態変化はこれまでも多くの研究が行われてきたが、その形態は二次元的に取り扱われてきた。そこで、特殊な光学系を用いて薄い氷結晶の三次元的形態の測定を行い、三次元的な形態変化の解析を行った。

右図は、氷結晶の三次元的な形態の時間変化を示したものである。成長初期は、二つの基底面((0001面))に挟まれた円盤状成長であるが、その縁の部分で形態不安定が発生し、樹枝状成長へ変化する様子が良く分かる。

円盤状成長について解析した結果、円盤状成長は「熱拡散」律速であることが分かった。また、樹枝状成長について解析した結果、樹枝先端の形状については「熱拡散」、「毛管効果」と「界面カイネティクス」のすべての考慮が必要であることが明らかになった。

これらの研究成果は、学術雑誌に公表している。【原著論文】2,4,5,6,13,31


島田 亙 の業績リスト【原著論文】へ


島田 亙 のホームページに戻る