人工雪(針状結晶)の昇華蒸発実験


雪は上空の雲の中で成長し地上に降るが、雲底よりも下では昇華蒸発しながら降下する。このときの雪結晶の振る舞いを研究するため、地上で降雪を捕獲し、昇華蒸発を観察した。その結果、雪結晶が昇華蒸発する際、部分的な破壊現象が起こることが明らかになった。この破壊現象は、二次氷晶の供給に繋がるため、どのような条件で発生するかを、人工雪を用いて昇華蒸発実験を行った。

実験は、人工的に作製した針状結晶を用いた。針状結晶を様々な条件(温度、湿度)で昇華蒸発させ、その様子を実体顕微鏡で観察し、VTRに記録した。
針状結晶の「折れ」針状結晶の「飛び」
上図は、針状結晶からの「折れ」(左図)と「飛び」(右図)の例である。それぞれ3枚の写真は0.1秒間の昇華蒸発中の針状結晶の変化を示す。

このような破壊現象は、湿度が60〜85%の時に多く発生することが明らかになった。これらの結果は、雲の中で成長した雪結晶が降下を始めて雲底よりも下に出たときに、結晶の破壊現象が起こり、細かな二次氷晶が供給され、この二次氷晶は軽いため再び雲の中に入り氷晶核として働く可能性を示している。

これらの研究成果は、学術雑誌に公表している。【原著論文】1、【報告文】2


島田 亙 の業績リスト【原著論文】へ
島田 亙 の業績リスト【報告書など】へ


島田 亙 のホームページに戻る