お勧め本2

「トンデモノストラダムス本の世界」

山本弘 著
洋泉社

 1999年、7の月に恐怖の大王がおりてくると言う。いよいよ、今年はその1999年、7の月が大変楽しみである(^_^;。この本は世間に氾濫するノストラダムス本がいかにとんでもない代物であるか、紹介している。ちょっと信じがたいことだが、1994年の調査では恐怖の大王の話がもしかしたら当たるかも知れない、と思っている人はどの年代でも60%もいると言う。テレビや雑誌でオカルトものが氾濫しているから仕方がないのか。

 思うに当たる予言をするには以下に示す3つの条件に従えば良い。
  1. 出来るだけあいまいでいろんなことにあてはまるようにする。
  2. 時期は明らかにしない。
  3. たくさん予言する。
 ノストラダムスの予言集は見事にこの条件をみたしている。彼の予言は曖昧かついろんな意味にとれる複雑怪奇な4行詩から出来ている。よく、あたったと言われる予言だって、何となく、近い意味や、単語が入っているだけで、全然違う意味にもとれるものだ。また、時期を明らかにしないのも重要だ。なにせ、時期がなければ、あたっていない予言はこれから起こることだと言い張れる。これなら予言ははずれっこない。この本によると、ノストラダムスの予言のうち1999年7の月のように時期が書いてある詩はわずかしかなく、しかも過去の例ではそれは間違っているそうである。3番目の予言の数も重要である。たくさん予言すれば何かしらはあたるもんだからである。1、2の条件に従えば予言は外れないんだから、あとは量だけだ。それでも、外れてしまったら?そのときはほっかむりしてしまえばみんな忘れてくれる。世間ではあたった予言だけ覚えているから何の問題もない。

 なんて書いてみたが、この本を読むといわゆるノストラダムス本って言うのはもっとひどいことがわかる。我田引水なんて当たり前、単語は入れ替えるは、根拠のない連想はするは、平気で日本語の単語にこじつけたり(どっちかと言うとだじゃれに近い(^_^;)もする。こんなことすれば、一つの詩からどんなことでも予言できそうだ。ベストセラーになった五島勉氏の本なんかでも内容はすごいらしい。私は読んだことなかったが、こんなに面白い本なら読んでおくんだった。

 さて、噂によると、ノストラダムス予言書解読者の中でも、最近になって1999年7の月に人類滅亡という解釈をしている人は少なくなっているそうだ。そりゃー、そうだよね。その日が過ぎたら、外れていることが明らかになっちゃうからね。実際、この賭けは非常に損だ。何せ、あたったら死んじゃうんだから、だれにもえばれないし、外れたら非難されるわけだし(^_^;。

 というわけで、今年、7の月が来る前にこの本を読んで、予言解読者たちがどんなことを言っているか(いたか)調べておくのが楽しいと思う。


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