以下の例では、f(x) を -π から π の範囲で与える。この範囲外では、周期的に繰り返されている。
また、Fourier 級数の cos nx, sin nx
までの項の和を
Sn(x)
と表すことにする。すなわち、
とする。
例1 |
Fourier 級数の係数 an, bn を計算すると、
となる。このことから、Sn(x)
を
n=1,2,...,8
について計算し、グラフとサウンドを並べると以下のようになる。見較べ・聞き較べて頂きたい。(f(x)
のグラフは青で、Sn(x)
のグラフは赤で示す。)
|
|
|
1 |
|
|
2 |
|
|
3 |
|
|
4 |
|
|
5 |
|
|
6 |
|
|
7 |
|
|
8 |
|
例2 |
Fourier 級数の係数 an, bn を計算すると、
となる。このことから、Sn(x)
を
n=1,2,...,8
について計算し、グラフとサウンドを並べると以下のようになる。見較べ・聞き較べて頂きたい。(f(x)
のグラフは青で、Sn(x)
のグラフは赤で示す。)
|
|
|
1 |
|
|
2 |
|
|
3 |
|
|
4 |
|
|
5 |
|
|
6 |
|
|
7 |
|
|
8 |
|
例3バイオリンの音 |
バイオリンの音色の各倍音のエネルギーは以下のようになっている(らしい)。[小出著・「物理現象のフーリエ解析」による]
n |
|
1 |
0.1 |
2 |
26.0 |
3 |
45.2 |
4 |
8.8 |
5 |
8.5 |
6 |
4.5 |
7 |
0.1 |
8 |
4.8 |
9 |
0.1 |
10 |
0.0 |
ここで、En
は、(an2
+ bn2) n2
に比例するから、仮に an=0
とすれば、bn
は (En
の平方根)/n
に比例する。このことから、Fourier
級数を作ると、
0.316228 sin x + 2.54951 sin 2x + 2.24103 sin 3x +
0.74162 sin 4x + 0.583095 sin 5x + 0.353553 sin 6x + 0.0451754 sin
7x + 0.273861 sin 8x + 0.0351364 sin 9x + 0.0 sin 10x
となる。
そのグラフは、
となり、そのサウンドは
である。−−−−−− 残念ながら、バイオリンの音とは思えない ;_;[何故か?を考えてみて欲しい。]
例1と例2を見ると、フーリエ級数の係数 an,
bn
(これらをフーリエ係数という)について気が付くことがあるだろう。例1では
an
はすべて 0 であり、例2では
bn
がすべて 0
となっている。これは、偶々起こった現象ではなく、以下のように一般化される:
f(x)
が偶関数(つまり f(-x) = f(x)
)ならば、bn
はすべて 0。つまり、cos
のみの級数となる。f(x)
が奇関数(つまり f(-x) = - f(x)
)ならば、an
はすべて 0。つまり、sin
のみの級数となる。各自、証明をしてみて欲しい。