医学部・医学科 シラバス


目次


数学I(線型代数学)

担当
笹野 一洋

開設時間
前期:水曜 10:30 - 12:00

目的・概要
線型代数学(線型空間・線型写像・行列などの理論)を扱う。 記憶力・計算能力に比して理解力・考察力が著しく劣るという現状に 鑑み、抽象的・理論的な考察力の養成に目標を置く。

教科書・参考書
伊吹山知義著「線型代数学」(近代科学社)
なお、適当に内容を取捨選択して授業を行うので、授業で扱えなかった 部分は自宅学習で補完されていることを前提とする。
授業形態
講義

成績評価方法
学期末に行う筆記試験

注意事項
理解度に応じて進度を調整するので、下記の予定通りに授業が 進展するとは限らない。また、授業で扱った性質・手法等の理解は、 自宅学習なくしてはありえない。予習は必要ではないが、授業の復習や 演習問題を解くことなど、多量の自宅学習が必須である。

各週の内容
 
第1週:集合と写像  
第2週:群・環・体
第3週:線型空間・線型写像
第4週:数ベクトル空間・行列
第5週:線型独立性・基底
第6週:線型写像と行列の対応
第7週:線型写像の階数
第8週:行列の変形と階数
第9週:逆行列
第10週:連立一次方程式の解の構造
第11週:連立一次方程式の解法
第12週:行列式とその意味
第13週:行列式の応用
第14週:行列の固有値と固有ベクトル
第15週:行列の対角化

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数学II(解析学)

担当
南部 徳盛

開設時間
後期:金曜 10:30 - 12:00

目的
1変数関数と2変数関数を中心とする関数の微分と積分の基礎的な 事柄を講義する.主に2変数関数を取り扱う.

教科書・参考書
教科書
微分積分概論 南部 徳盛著 (近代科学社)
参考書
志賀浩二著 微分・積分30講(朝倉書店)
福田・鈴木・安岡・黒崎著 詳解微積分演習 I, II(共立出版)

成績評価方法
筆記試験による

注意事項
前期のうちに高校での微分積分を完璧なものにしておいて欲しい. (具体的には 数研出版の「微分・積分」の教科書の内容を理解していること を前提とする.)理解していない者は前期水曜4限に開講される「基礎数学」 を履修すること.
数学を応用するとき,大事なことは公式等を覚えることだけではなくて, その考え方や概念を正しく理解しているかである.また,この科目では 日頃常に「演習問題 」などを自宅学習で十分に補足しておくことが要求 される.

各週の内容
 
第1週:基礎事項  
「基本的な1変数の関数」と「数列」について  
第2週:逆関数  
逆三角関数を中心とする逆関数について考える.
第3週:1変数関数の極限と微分
1変数関数の極限と微分について復習し,さらにいくつかの事柄を説明する.ライプニッツの公式やロピタルの定理を説明する.
第4週:多変数関数
主に2変数関数を中心とする多変数関数について考える.2変数関数の極限と連続 性について考察する.
第5週:多変数の微分
2変数関数を中心とする多変数関数の偏微分,全微分について 考える.その幾何学的考察と計算を行う.
第6週:合成関数
合成関数について考える.合成関数の微分を考察する.
第7週:テイラ−の定理
関数を多項式で近似する.テイラ−の定理を説明する.
第8週:極値
微分の応用として,多変数関数の極値問題(極大値,極小値) を考える.
第9週:不定積分
不定積分の計算について
第10週:1変数の定積分
定積分の意味と計算
第11週:定積分の定義の拡張
広義積分と定積分の応用
第12週:重積分1
重積分の定義と計算その(一)
第13週:重積分2
重積分の計算その(二)
第14週:重積分3
重積分の応用
第15週:簡単な微分方程式
1階と2階の簡単な微分方程式について

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基礎統計学

担当
南部 徳盛

開設時間
後期:火曜 14:30 - 16:00

目的と概要
統計ソフトウエアを有効に使うためには数理統計学の基礎的知識は 必要である.数理統計学の基礎的な概念と考え方を理解させることを 目標とする.実験や観察デ−タの集まりである母集団から取り出される 標本測定値をもとにして母集団の特徴をいかに統計的に推論するかを 論じる.数学では100%信頼できる結論をだすのに統計学では95% または99%信頼できる結論をだすことを説明する.

教科書・参考書
教科書
統計学要論 青木・吉原共著 培風館
参考書
統計解析のはなし 大村 平著 日科技連
ビギナ−のための統計学 渡邊・寺見著 共立出版
統計 スピ−ゲル著 氏家・土井訳 マグロヒル社
初等統計学 ホ−エル著 浅井・村上訳 培風館
医学への統計学 古川・丹後共著 朝倉書店
バイオサイエンスの統計学 市原清志著 南江堂
医学・保健学の例題による統計学 豊川・柳井共著 現代数学社

授業形態
講義

成績評価方法
期末試験による

各週の内容
 
第1週:資料の整理  
実験あるいは観測などにより得られる資料(デ−タ)の整理   について述べる.デ−タの分布状態を表現する標本測定値   (代表値,散布度,標本相関係数)について説明する.  
第2週:確率の概念と性質  
現実に起こるさまざまな現象は偶然に支配されていることが多い. この偶然性を数量的に表すための「確率の概念」を述べる.そして確率の種々の基本的性質,条件付き確率とベイズの定理について講義する.
第3週:確率変数と確率分布について
後半で学ぶ統計的な推測と検定のための,準備としての確率変数, 確率分布,分布関数,確率変数の平均と分散について論じる. チェビシェフの不等式の説明をする.
第4週:基本的な確率分布について
重要な基本的な確率分布について論じる.とくに二項分布, ポアソン分布,一様分布,指数分布,正規分布について説明する.
第5週:確率分布2
多次元確率分布について: 2次元確率分布,多次元確率分布と確率変数の独立性について 講義する.
第6週:標本分布について(その一)
デ−タの集まりである母集団から取り出される標本デ−タから 得られる「標本平均がどのような確率分布するか」について論ずる. また中心極限定理と二項分布の正規近似について論じる.
第7週:標本分布について(その二)
デ−タの集まりである正規母集団から取り出される標本から得られる 「標本平均,標本分散がどのような確率分布するか」について講義する. 重要な標本分布であるχ2分布,t分布,F分布について説明する.
第8週:点推定
母集団から抽出した無作為標本から得られる「標本平均や標本 分散」から母集団分布を特徴づける母平均,母分散を点推定すること について講義する.
第9週:区間推定
母集団から抽出した無作為標本から得られる「標本平均や 標本分散」から母集団分布を特徴づける母平均,母分散をある 信頼度をもって区間推定するについて講義する. 項目として信頼区間.信頼度について説明する.
第10週:統計的仮説検定について
母集団に対して設定された仮説が採択されるか,棄却されるか を母集団から抽出したる標本デ−タから判断する統計的仮説検定 について論じる.項目としては帰無仮説 ,対立仮説,有意水準, 両側検定,片側検定,棄却域等を説明する.
第11週:母平均,母分散と母比率の検定
一つの母集団から抽出した無作為標本から得られる 「標本平均や標本分散」や「標本比率」から母集団の母平均の検定, 母分散の検定や母比率の検定について論ずる.
第12週:母平均の差,等分散の検定
2つの正規母集団からの二組の「標本平均と標本分散」から 2つの正規母集団の母平均の差の検定,等分散の検定について 論じる.
第13週:適合度と独立性の検定
母集団がどのような分布をしているかの検定について論じる. さらに性質Aと性質Bが独立かについてその分割表から独立性を 検定することについて論ずる.
第14週:母相関係数の検定
標本相関係数から母相関係数に関する検定について論ずる.
第15週:まとめ
講義全般の総括を行う.

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