薬学部・薬科学科 シラバス
目次
線型代数学
- 担当
- 南部 徳盛
- 開設時間
- 前期:月曜 12:50 - 14:10
- 目的
- 線型代数(ベクトルと行列に関する理論)の基本的な事柄
を理解することを目標とする.この理論の基本的な考えは数値計算,
統計解析や線形計画法等でも幅広く応用されている.
- 詳細
- 線型代数学における基礎的な事柄(行列,行列式,数ベクトル空間,線形写像等)を中心にその基本的な概念を講義する.
- 教科書・参考書
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- 教科書
- 線形代数概論 南部 徳盛著 (近代科学社)
- 参考書
- 志賀浩二著 線形代数30講(朝倉書店)
鈴木・安岡・黒崎・志村著 詳解線形代数演習(共立出版)
明解演習 線形代数 小寺平治著 (共立出版)
- 授業形態
- 講義と演習
- 成績評価方法
- 演習レポ−トと期末試験による
- 注意事項
- 数学を応用するとき,大事なことは公式等を覚えることだけではな
くて,その考え方や概念を正しく理解しているかである.
- 各週の内容
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- 第1週:幾何ベクトル
- 数ベクトルへの助走:平面または空間におけるベクトルについて説明する.
- 第2週:行列について
- 行列の演算を学ぶ:n×m型行列(マトリックス)の演算(和,スカラ−倍,差,積),正則行列,転置行列等について考える.
- 第3週:行列の基本変形1
- 基本変形行列:行列の3つの基本的な変形について講義する.
- 第4週:行列の基本変形2
- 掃き出し法:「掃き出し法」による連立一次方程式の簡便な解法につ
いて講義する.
- 第5週:行列式
- 行列式とは何か:行列式(Determinant)の定義とその性質について考える.
行列式の計算法について説明する.
- 第6週:余因子行列
- n次(n>2)の行列の逆行列の表現:余因子行列,ラプラスの定理について講義する.n次の逆行列の表現はどうなるのかを考える.
- 第7週:行列式の応用
- クラメルの公式:多元連立1次方程式の解の公式はどうなるか?
- 第8週:数ベクトル空間
- 位置ベクトルから一般のn次元数ベクトルへ:一般のn(>3)
次元数ベクトル空間を考える.
- 第9週:一次独立性
- 数ベクトルの一次独立性:数ベクトルの1次独立と1次従属の概念を説明する.
- 第10週:部分空間
- 部分空間と基底について:数ベクトル空間の部分空間について説明し,部分空間の次元と基底を論ずる.
- 第11週:線形写像
- 線形写像と行列の対応について:数ベクトル空間から数ベクトル空間
への線形写像とそれを表わす行列について講義する.種々の1次変換につい
て考える.直交変換について説明する.
- 第12週:行列の固有値
- 固有値と固有ベクトル:正方行列の固有値と固有ベクトルについて講義する.
- 第13週:行列の対角化
- 行列の対角化について:正則行列による行列の対角化について論ずる.実対称行列の対角化についても論じる.
- 第14週:対角化の応用
- 対角化の応用:実2次形式の標準形を求めることより,2次曲線,2次曲面の分類を行う.
- 第15週:まとめ
- 総括:全体をしめくくる.
解析学
- 担当
- 笹野 一洋
- 開設時間
- 後期:金曜 12:50 - 14:10
- 目的
- 一般教養の自然科学系の各科目や専門関係科目を履修する為に必要となる、解析学の基礎
を講義する。
- 詳細
- 高校での微分積分をふまえ、より高度な一変数関数の微分積分を扱う。さらに、多変数関
数の微分積分を扱う。なお、理論的なこと(完全な証明)よりも、感覚的な理解や計算能
力の養成に重点をおく。高校での微分積分を理解しているものとして授業を進めるので、
前期のうちに高校での微分積分を完璧なものにしておいて欲しい。(具体的には、数研出
版の「微分・積分」の教科書の内容を理解していることを前提とする。)もしこれを怠っ
た場合、授業が理解出来ず、結果的に「不合格→留年」という事態が予
想される。また、授業時間中に言及できなかった「演習問題」などは、自宅学習で補足し
ていかないと、やはり途中で「落ちこぼれる」ことになると思われる。
- 教科書
- 南部徳盛著「微分積分概論」(近代科学社)
なお、適当に内容を取捨選択しながら授業を行うので、授業で扱えなかった部分は各自補完すること。
- 授業形態
- 講義。
WWWを利用する。
なお、過去の試験問題を公開しているので参考にすること。
- 成績評価方法
- 学期末におこなう筆記試験
- 注意事項
- 一応下記のように授業計画はたててあるが、数学という学問の性質上、各回の講義内容は
総て連続した内容であると思って貰いたい。そのため、下記の予定通りに授業が進展する
とは限らない。また、このことの当然の帰結として、「各回の内容をきちんと理解してお
かないと、次の授業時間の内容が理解できなくなる」という事実がある。そのため、自宅
学習によって、一回毎の授業内容を確実に理解していくことが必要である。
さらに、授業
で扱った性質・手法を用いて具体的な計算をする能力の取得は、自宅学習なくしてはあり
えない。授業の予習は必要ないが、復習および問題演習などの多量の自宅学習が要求され
る。
- 各週の内容
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- 第1週:基礎事項の確認と準備
- 授業で使用する事項の確認:集合と写像の概念や、授業で使用する記号などを説明する。
- 第2週:極限の概念
- 微分積分の基本である、極限の概念の説明:数列および一変数関数に関し、極限の概念を導入・説明
する。
- 第3週:基本的な一変数関数
- いろいろな一変数関数についての解説:高校で既週の関数を復習し、新しい一変数関数を導入する。
- 第4週:一変数関数の極限
- 関数の極限の復習と発展:一変数関数についてその極限を復習し、さらに極限の存在性などについて解説する。
- 第5週:一変数関数の連続性と微分
- 連続性と微分可能性との導入:一変数関数の連続性を定義し、連続関数の諸性質を解説する。また、微分を定義し、その意味を考える。
- 第6週:一変数関数の合成関数の微分、高次導関数
- 一変数関数の微分の発展:合成関数・逆関数の微分や、高次導関数を導入し、それらの応用について考える。
- 第7週:多変数関数の連続性
- 多変数関数について、その連続性を定義する。一変数関数の連続性との相違などについても論ずる。
- 第8週:多変数関数の微分
- 多変数関数について、その微分(偏微分・全微分)を定義する。一変数関数の微分との相違などについても論ずる。
- 第9週:多変数関数の偏微分の応用 (1)
- 多変数関数の合成関数の微分・テイラーの定理などについて論ずる。
- 第10週:多変数関数の偏微分の応用 (2)
- 多変数関数の極値問題を考える。
- 第11週:一変数関数の積分
- 一変数関数の不定積分の定義と計算法を述べる。
- 第12週:いろいろな一変数関数の積分とその応用
- 種々の一変数関数、とくに有理関数の積分法について論ずる。
- 第13週:一変数関数の広義積分
- 一変数関数の広義積分を定義し、論ずる。
- 第14週:多変数関数の積分
- 多変数関数の積分を定義し、その計算方法を論ずる。
- 第15週:いろいろな多変数関数の積分とその応用
- いろいろな多変数関数の積分や、積分変数の変換などについて論ずる。
基礎統計学
- 担当
- 南部 徳盛
- 開設時間
- 後期:火曜 14:20 - 15:40
- 目的
- 統計ソフトウエアを有効に使うためには数理統計学の基礎的知識は
必要である.数理統計学の基礎的な概念と考え方を理解させることを目標とする
- 詳細
- 実験や観察デ−タの集まりである母集団から取り出される標本測定値をもとにして母集団の特徴をいかに統計的に推論するかを論じる.
- 教科書・参考書
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- 教科書
- 開講時に掲示する
- 参考書
- 統計解析のはなし 大村 平著 日科技連
ビギナ−のための統計学 渡邊・寺見著 共立出版
初等統計学 ホ−エル著 浅井・村上訳 培風館
- 授業形態
- 講義
- 成績評価方法
- 演習レポ−トと期末試験
- 履修資格
- 高校の「微分積分」を履修していることを前提とする.高校の「微分積分」の未履修者は前期水曜4限時に医学部1年次で開講される「微積分序論」を履修すること.
- 注意事項
- 講義中心であるが、統計学の基礎的な概念と考え方を理解してもらうには,演習が必要であるが,時間的制約からこれは不可能なので適宜演習レポ−トを翌日までに提出してもらう.
- 各週の内容
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- 第1週:資料の整理
- 実験あるいは観測などにより得られる資料(デ−タ)の整理
について述べる.デ−タの分布状態を表現する標本測定値
(代表値,散布度,標本相関係数)について説明する.
- 第2週:基礎事項
- 確率を理解するための準備として「順列と組み合わせ,
事象と標本空間」について考える.
- 第3週:確率
- 確率の定義とその性質:現実に起こるさまざまな現象は偶然に支配されていることが多い.
この偶然性を数量的に表すための「確率の概念」を述べる.そして確率の種々の基本的性質,条件付き確率とベイズの定理について講義する.
- 第4週:確率変数
- 確率変数と確率分布について:
後半で学ぶ統計的な推測と検定のための,準備としての確率変数,
確率分布,分布関数,確率変数の平均と分散について論じる.
- 第5週:確率分布1
- 基本的な確率分布について:
重要な基本的な確率分布について論じる.二項分布,ポアソン分布,
一様分布,指数分布,正規分布等を説明する.
- 第6週:確率分布2
- 2次元確率分布について:
2次元確率分布,多次元確率分布と確率変数の独立性について論じる.
- 第7週:標本分布1
- 標本分布について論じる.まず,デ−タの集まりである母集団から
取り出される標本から得られる「標本平均がどのような確率分布するか」
について論じる.ついで,中心極限定理と二項分布の正規近似について論じる.
- 第8週:標本分布2
- デ−タの集まりである正規母集団から取り出される標本から得られる
「標本平均,標本分散がどのような確率分布するか」について講義する.
とくに重要なχ2分布,t分布,F分布について論じる.
- 第9週:推定1
- 母平均の区間推定:
母集団からの無作為標本から得られた標本平均,標本分散や標本比率から
母集団分布を特徴づける母平均の区間推定や母比率の区間推定について
講義する.信頼区間について説明する.
- 第10週:推定2
- 母分散の区間推定:
母集団から抽出したる無作為標本から得られた「標本平均や標本分散」
から母集団分布を特徴づける母分散の区間推定について講義する.
- 第11週:検定
- 統計的仮設の検定について:
母集団に対して設定された仮説が採択されるか,棄却されるかを
母集団から抽出したる標本デ−タから判断する統計的仮説の検定に
ついて講義する.項目としては帰無仮説,有意水準,検定,棄却域等に
ついて説明する.
- 第12週:母数の検定1
- 母平均,母分散と母比率の検定:
一つの母集団から抽出したる無作為標本から得られた「標本平均や
標本分散」や「標本比率」から母集団の母平均の検定,母分散の検定
や母比率の検定を行うことを論ずる.
- 第13週:母数の検定2
- 母平均の差の検定と等分散の検定:
2つの正規母集団において,「標本平均や標本分散」から2つの正規
母集団の母平均の差の検定,等分散の検定を行う.
- 第14週:適合度と独立性の検定
- 母集団がどのような分布をしているかの検定,分割表から性質A
と性質Bが独立かの独立性の検定について考える.
- 第15週:相関係数の検定
- 標本相関係数から母相関係数に関する検定について論ずる.
応用解析学
- 担当
- 笹野 一洋
- 開設時間
- 前期:火曜 12:50 - 14:10
- 目的
- ラプラス変換を定義・解析し、その応用として、ある種の微分方程式の解法を論ずる。ま
た、フーリエ級数についても論ずる。
- 詳細
- 1年次での解析学をふまえ、ラプラス変換とフーリエ級数について論ずる。さらに、応用
として、微分方程式のある種の解法を解説する。1年次の解析学よりもさらに応用を目指
した講義であり、より計算方法に重点をおいたものとなる。1年次での解析学を理解して
いることを前提として授業を進めるので、解析学を復習しておいて欲しい。また、授業時
間中に言及できなかった「演習問題」などを自宅学習で補足していかないと、途中で「落
ちこぼれる」ことになると思われる。
- 教科書
- 田代嘉宏著「ラプラス変換とフーリエ解析要論」
なお、適当に内容を取捨選択しながら授業を行うので、授業で扱えなかった部分は各自補完すること。
- 授業形態
- 講義。
なお、過去の試験問題を本学数学教室のホームページで公開しているので
参考にすること。
- 成績評価方法
- 学期末におこなう筆記試験
- 予備知識
- 1年次の解析学の内容を理解していること。
- 注意事項
- 一応下記のように授業計画はたててあるが、数学という学問の性質上、各回の講義内容は
総て連続した内容であると思って貰いたい。即ち、その内容は、最初から延々と続く「積
み重ね」である。そのため、下記の予定通りに授業が進展するとは限らない。また、この
ことの当然の帰結として、「各回の内容をきちんと理解しておかないと、次の授業時間の
内容が理解できなくなる」という事実がある。そのため、自宅学習によって、一回毎の授
業内容を確実に理解していくことが必要である。
さらに、授業で扱った性質・手法を用い
て具体的な計算をする能力の取得は、自宅学習なくしてはありえない。授業の予習は必要
ないが、復習および問題演習などの多量の自宅学習が要求される。
- 各週の内容
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- 第1週:基礎事項の確認と準備
- 授業で使用する事項の確認:1年次の解析学で解説しきれなかったことで、今後必要となることについて解説する。
- 第2週:ラプラス変換の定義
- ラプラス変換を定義し、いくつかの例について実際に計算を行う。
- 第3,4週:ラプラス変換の基本法則
- ラプラス変換の計算に有用な基本法則を述べ、その応用としていくつかの例を計算する。
- 第5週:ラプラス逆変換
- ラプラス変換の逆変換を定義し、その例を計算してみる。また、有理関数のラプラス逆変換の一般的な求め方を論ずる。
- 第6週:デルタ関数とラプラス変換
- 物理現象に現れる「デルタ関数」を物理的な意味を考えながら定義し、そのラプラス変換を求める。
- 第7週:常微分方程式の初期値問題 (1)
- ラプラス変換を用いて常微分方程式を解く方法の一般論を述べ、その例として「初期値問題」の解法を論ずる。
- 第8週:常微分方程式の初期値問題 (2)
- ラプラス変換を用いて、常微分方程式の初期値問題の例を実際に解いてみる。
- 第9週:常微分方程式の境界値問題
- ラプラス変換を用いて常微分方程式の境界値問題を解く方法を述べ、特に単振動の微分方程式について詳説する。
- 第10週:積分方程式
- ヴォルテラ型積分方程式などをラプラス変換を用いて解く方法について論ずる。
- 第11週:偏微分方程式
- 常微分方程式の解法と同様な原理を用いることにより、ラプラス変換を用いて種々の偏微分方程式が解けることを解説する。
- 第12週:フーリエ級数 (1)
- 周期2πの周期関数のフーリエ級数を定義し、その性質を解説する。
- 第13週:フーリエ級数 (2)
- 任意周期の周期関数のフーリエ級数を定義し、また、フーリエ余弦級数やフーリエ正弦級数について論ずる。
- 第14週:フーリエ級数 (3)
- 複素型フーリエ級数を定義し、フーリエ級数との関係について論ずる。
- 第15週:フーリエ変換
- フーリエ級数のある意味での極限として、フーリエ積分・フーリエ変換を導出する。