RNP複合体とは、RNAとタンパク質(ポリペプチド)の複合体 RiboNucleoProtein Complex (又はRNA-polyPeptide complex)の略称である。 リボソーム(2009年ノーベル化学賞)やスプライセソーム(1993年ノーベル生理学・医学賞)、テロメラーゼ(2009年ノーベル生理学・医学賞)などに代表されるように機能性RNAは多くの場合RNP複合体を形成し、生命活動の重要な過程を担っている。
RNPを構成するタンパク質には、RNA結合モチーフと呼ばれる配列を有する一群がある。 RNA結合モチーフは、芳香性アミノ酸やリシンやアルギニンなどの塩基性アミノ酸に富む構造部位を持ち、 核酸塩基やリン酸バックボーンとのπスタッキングや水素結合などを介して特定のRNA配列を認識し、特異的な相互作用を行う。 これらのRNA結合モチーフは、RNA構造中に含まれるRNAモチーフと同様にモジュール的に扱うことが可能であり、 我々は、RNA単独よりも高機能な人工RNP複合体の創製を目指して研究を行っている。
これまでに、RNA結合モチーフを用いた人工RNPの設計により、 異なるRNA結合モチーフを有する2つのペプチドを隣接して補足し、 ペプチド間の連結反応を促進するRNPを複数報告している。以下は、そのうち3つの構造モデルである。