一 般 地 質 学 更新日:2019/1/23
★教科書やスライドは,授業の前にダウンロードできるようにしています(授業の時には,スライドの順番や内容が多少変わっている可能性はあります。また,授業前に準備できない週もあるかも知れません。)
都市デザイン学部 地球システム科学科/ 必修2単位: 1年T3・T4
理学部 生物圏環境科学科/ 選択2単位: 1年後期
担当教員/大藤 茂(6655, shige@sus.u-toyama.ac.jp, 理学部棟3階 A303 号室)
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授業概要
主に都市デザイン学部地球システム科学科と理学部生物圏環境科学科の学生を対象とする授業で,次の2点の理解を目指す:(1) 地球を構成する物質に関する理解,(2) 地表および地球内部で起こっている諸現象とその原因の理解。ただし,半年という短い授業なので,上記 (1) の「地球を構成する物質に関する理解」に重点をおかれるだろう。
■ 授業方法
毎回配布するプリントを教科書とする。板書とパワーポイントを中心とした講義をする。3回のレポート提出と2回の小テストを課し,学生の予習・復習を促す。
■ 授業計画
細目とキーワードを、以下に記しておきます。
1.はじめに・地球の形と大きさ(テキスト・スライド)…10月4日
1-1. 地質学という科学:一般地質学,地史学
1-2. 地質学の歴史:天変地異説,斉一説
1-3. 地球の形と大きさ:エラトステネス,一周 40,000 km,偏平率,重力,ジオイド
レポート課題:2,200 年以上も前のギリシャ人と同じ方法で,地球の大きさを求めてみよう。与えられた条件から地球の大きさを計算し,実際の地球の大きさとの誤差を求め,誤差が 生じた理由をきちんと考えてみよう。以上を,第3回めの授業終了時までにレポートとして提出して下さい。
2.地球の内部構造とプレートテクトニクス(テキスト・スライド)…10月11日
2-1. 地球の内部構造:地殻,マントル,核,アセノスフェア,リソスフェ ア
2-2. プレートテクトニクス:アイソスタシー,プレート,プレートテクトニクス
2-3. 動く大地:海洋底拡大,発散境界,収束境界,沈み込み帯,トランスフォーム境界,プルームテクトニクス
3-1. 鉱物とは:鉱物学,鉱物,岩石
3-2. 鉱物の組成と構造:晶系,多形,石ぼく,ダイヤモンド,固溶体
3-3. 火成岩をつくる珪酸塩鉱物:苦鉄質鉱物(カンラン石,輝石,角閃石,黒雲母),珪長質鉱物(長石,石英,白雲母)…,鉱物の化学組成は酸化物の和の形で覚えよう!
3-4. 非珪酸塩鉱物:方解石,岩塩,石こう,磁鉄鉱,赤鉄鉱...
レポート課題:トランスフォーム断層の延長部に位置する断裂帯。断裂帯の両側ではプレートの運動速度に差がないのに,何故,断裂帯には断層地形のような段差のある地形ができるのだろう。この質問に対する答を,第5回めの授業終了時までにレポートとして提出して下さい。
4-1. 火成岩の組織:組織,ガラス,等粒状組織,非顕晶質組織,斑状組織,斑晶,石基
4-2. 火成岩の色指数と化学組成:超苦鉄質岩,苦鉄質岩,中間質岩,珪長質岩 v.s.
超塩基性岩,塩基性岩,中性岩,酸性岩
4-3. 火成岩の組成と名称:珪長質,花崗岩,花崗閃緑岩,流紋岩,デイサイト,中間質,安山岩,閃緑岩,苦鉄質,玄武岩,斑れい岩,超苦鉄質,かんらん岩
4-4. 火成岩の形成場:昇温,減圧,加水,中央海嶺,火山弧・島弧(海洋プレート沈み込み帯の上),ホット・スポット
5.火成岩の多様性とノルム計算(テキスト・スライド)…11月1日
5-1. 固溶体の相図の読み方:固溶体、斜長石,カンラン石,液相線,固相線,平衡,非平衡
5-2. 火成岩の多様性と結晶分化作用:マグマだまり,結晶分化作用
5-3. ノルム計算:全岩化学組成と鉱物組成の関係
レポート課題:与えられた火成岩の全岩化学組成2種類を元にノルム計算を行ない,その結果を第7回めの授業終了までにレポートとして提出して下さい。
★ 第1回から第5回までの内容を範囲とした10分間小テストを行いました。
6-1. 火山噴火の様式:溶岩の粘性,揮発性成分
6-2. 火山噴出物:溶岩,ハイアロクラスタイト,降下火砕堆積物,火砕流堆積物
6-3. 火山噴火と火山地形:火山,火口,火道,カルデラ,楯状火山,噴石丘,成層火山,溶岩ドーム
6-4. 火成岩の貫入:貫入岩体,岩脈,シル,柱状節理,ラコリス,バソリス,岩株
7-1. 堆積岩のタイプ:堆積物,砕屑性堆積岩類,化学的堆積岩類,生物成 堆積岩類
7-2. 砕屑性堆積岩類:表成砕屑岩類,泥岩,粘土岩,シルト岩,砂岩,礫岩,火山砕屑岩類,淘汰度,円磨度
7-3. 堆積構造と過去の堆積環境:単層,層理面,斜交層理,級化層理,漣痕,乾裂,氷縞粘土,化石
7-4. 大陸縁:受動的大陸縁,大陸棚,大陸斜面,コンチネンタル・ライズ,深海扇状地,活動的大陸縁,前弧海盆,海溝斜面,海溝斜面ブリーク,付加体
7-5. 海底谷と乱泥流:海底谷,乱泥流,級化層理
8.マスムーブメント(質量移動,集団移動:テキスト・スライド)…11月29日
8-1. マスムーブメント序論:定義(マス・トランスポートとマス・ムーブメント),(斜面に平行な)剪断応力,剪断強度,間隙流体圧
→岩石や堆積物の剪断強度を左右する要因は何かを理解する
8-2. マスムーブメントの定義と分類:定義,斜面崩壊(狭義):スランプ,落下,滑動,堆積物流:スラリー粒,粒状流
8-3. 狭義の斜面崩壊:スランプ,落下現象:落盤,落石,滑動現象:盤すべり,土石すべり
8-4. 堆積物流:スラリー流(水に飽和された堆積物の流動):土壌流,土石流,泥流,粒状流(粒子同士の衝突で支えられた堆積物の流動):クリープ(匍行),土砂流,岩屑なだれ
堆積岩は,過去の地表(固体地球表面)の環境変化を理解するために,非常に重要な題材であることを理解して下さい。
9-1. 砂漠の地層:砂丘の種類:バルハン砂丘,横列砂丘,三稜石
9-2. 氷河堆積物:氷縞粘土,氷成礫岩,擦痕,U字谷,圏谷,モレーン
9-3. 海洋プレート層序(誕生から沈み込みまでの大洋プレート上の堆積環境変化):中央海嶺玄武岩,遠洋性堆積物(チャート,遠洋性石灰岩),半遠洋性堆積物(珪質泥岩),陸源砕屑物(混濁流堆積物)
★ 第6回から第9回までの内容を範囲とした10分間小テストを行います。
10-1. 時代と年代:時代,年代
10-2. 放射壊変と放射年代決定の原理:放射壊変,半減期,アイソクロン法
10-3. 種々の放射年代測定法:炭素14法,K-Ar法,Rb-Sr 法,U-Pb 法,閉止温度,固結年代,冷却年代
11-1. はじめに:変成作用,変形作用,変質作用
11-2. 変成作用の場:広域変成作用,接触変成作用,接触変成帯
11-3. 変成作用の要因:静水圧,温度,多形
11-4. 変成岩の組織:組織,面構造,スレート劈開,片理,片麻状組織
11-5. 変成岩の例:スレート,千枚岩,片岩,片麻岩,ミグマタイト,大理石
12.岩石の変形と地質構造(テキスト・スライド)…1月10日
12-1. 応力の概念:応力テンソル,主応力,主応力軸
12-2. 破断:節理,断層(正断層,逆断層,衝上断層,重力断層,右横すべり断層,左横すべり断層)
12-3. 褶曲:背斜,向斜
12-4. 歪と地質構造:水平伸長・鉛直薄化の場,水平短縮・鉛直厚化の場
13-1. 地球大気の進化:縞状鉄鉱層,氷河の痕跡,陸上植物・動物
13-2. 生命の進化概説:生命の起源(諸説あり…),太古累代の生物,原生累代の生物,カンブリアの大爆発,顕生累代の生物
14.地球の歴史(スライド)…1月24日
14-1. 超大陸の形成と変遷:ケノール,コロンビア,ロディニア,ゴンドワナ,(ローラッシャ,)パンゲア
15.期末試験…1月31日
生物圏環境科学科の学生さんには優しく,地球システム科学科の学生さん(必修ですよ!)にはそれなりに... ?
■ 成績評価方法
レポート(30 点満点),小テスト(20点満点),および期末試験(50 点満点)とをもとに,総合的に評価します。
■ 教科書・参考文献・資料
教科書:配布するプリントを教科書とします。
資 料:新版地学事典(地学団体研究会編,平凡社,1996 年)... 高価(22,000 円)ですが,地球科学のプロ(大卒時に世間からそう見られる)として,購入・活用をお薦めします。
■ 受講要件
「地球科学概論(1年前期)」または「地球科学概論Ⅰ(1年前期)」を履修済であることが望ましいです。
■ コメント
「一般地質学」は,都市デザイン学部地球システム科学科の学生にとっては必修科目です。
「地質調査法実習(3年T2・T3)」の履修には,この授業の単位を取得済(または履修中)である必要があります。
■ その他