質 更新日:2017/7/20

期末試験:予定通り7月27日(金)2限に実施します。プリント,スライド,ノート持ち込み可とします。未提出のレポートは,820日(月)正午まで受け付けます。

★補講:7月7日(土)の4限(14:4516:15)に決まりました。私の当初の希望とは異なりあまり良い時間帯ではないのですが,ご理解ご寛恕の程よろしくお願い申し上げます。

☆6月1日は,地質学巡検のため休講といたしました。その後の予定は以下をご覧下さい。ご迷惑をおかけしますが,よろしくお願いいたします。

★5月10日は地質の日…

☆一学期間,諦めずについて来て下さい!


地球科学科/ 選択2単位:3年前期.
担当教員/大藤 茂(内線:6655,電子メール:shige@sci.u-toyama.ac.jp,理学部1号館3階 A303 号室)

授業概要

 一般地質学と地史学は,地質学の両輪をなす分野です。列島地質は,身近な日本列島の地史の学習を目的とします。授業では,(1) 日本列島に関する多くの地質データを紹介し, (2) その現有データに基づいて日本列島の地質構造発達史を皆に解読してもらいます。ある程度のデータの暗記も必要ですが,より重要なのは,データを綜合し仮説 を発想していく頭のはたらきです。地質学における謎解きの醍醐味を伝授できたら幸いだと思います。

授業方法

 あらかじめ配布されたプリントの予習を前提とし,板書とパワー・ポイントを中心とした講義をします。ほぼ毎回,短いレポートをメールで提出していただく予定です。

授業計画

 細目キーワードおよびキーフレーズとを,以下に記しておきます。

 1.日本列島を構成する地質単元とその形成場の概要(プリントスライド)…4月13日

 日本列島は,過去5億年にわたって形成された付加体,前弧海盆堆積物,陸棚層,陸成層,および火成岩・深成岩体といった地質単元から構成されます。第01回めの授業では,これらの地質単元について復習した後,日本列島の地史を解明するための主要な手段について学びます。

キーワード:付加体accretionary prism),陸棚型地質単元shelf-type geologic unit),海洋プレート層序oceanic-plate stratigraphy),剥ぎ取りoff-scraping),底付けunderplating),前弧海盆forearc basin),層序学stratigraphy),古生物地理学paleobiogeography),古地磁気学paleomagnetism),構造地質学structural geology),ジルコン学zirconology?

2.南部北上帯の地質 その1:超大陸の分裂と活動的大陸縁の形成(プリントスライド)…4月20日

 日本列島には,第1回めに詳しく学んだ付加体の他に,浅海成整然層で特徴づけられる地帯も分布します。浅海成整然層は,基盤岩類を不整合に覆って,堆積関係で累重することが多いため,その基盤岩類からなる(多くは)大陸プレートが経験した地表環境の経時変化を記録していると言えます。南部北上帯は,その様な浅海成整然層で特徴づけられる地帯の代表格で,オルドビス紀から前期白亜紀の,約3億年分の浅海成整然層を保存しています。南部北上帯は,日本の地質を考える上でのモノサシとなる重要な地帯で,日本地質学のメッカとも言える地帯です。第2回めの授業では,この南部北上帯の古生代の地層・岩石から,ロディニア超大陸の分裂と日本列島という活動的大陸縁の形成について考えます。

★第1回レポート:ある地質体が過去の活動的大陸縁で形成されたことを示すには,例えばどんなものの存在を示せば良いか論じなさい。

キーワード:南部北上帯[苦鉄質〜超苦鉄質基盤岩類(早池峰複合岩類)氷上花崗岩,シルル系(小田越層),デボン系(鳶ヶ森層),石炭系(日頃市層,鬼丸層)

 3.南部北上帯の地質 その2:3億5千万年分の浅海成層に保存された古環境変動の記録(プリントスライド)…4月27日

 第2回めの授業で触れたように,南部北上帯にはオルドビス紀から前期白亜紀に至る,約3億年分の浅海成整然層が分布しています。南部北上帯の地層と化石の時代変化から,どの様な環境変化とプレート運動が読み取れるか考えてみましょう。

★第2回レポート:授業で示した地層及び化石のデータから,南部北上帯のシルル紀〜前期白亜紀の環境変遷を論じなさい。

キーワード:南部北上帯[ペルム系(坂本沢層,叶倉層,登米層),下部三畳系(稲井層群),上部三畳系(皿貝層群),ジュラ系(志津川層群−橋浦層群,唐桑層群−牡鹿層群),下部白亜系(大島層群,小本層,原地山層,宮古層群)],古生物地理

 4.南部北上帯の地質 その3:白亜紀の構造運動と火成作用(プリントスライド)…5月11日

 東アジアでは,白亜紀に活発な断層運動と火成作用が起こり,その結果として日本列島の骨組みが完成したと考えられています。第4回めの授業では,南部北上帯に残された地層・岩石の記録から,白亜紀にどの様な構造運動と火成作用があったのかを考えていきます。

★第3回レポート:砕屑性ジルコン年代分布のデータから,南部北上古陸のシルル紀〜前期白亜紀の運動史を論じなさい。

キーワード:小本層(浅海成層),原地山層(安山岩類),北上花崗岩宮古層群,スレート劈開,カタクレーサイト,マイロナイト,円錐状褶曲左横すべり運動

 5.飛騨外縁帯,舞鶴帯,および黒瀬川構造帯の浅海成ないし陸成層:南部北上帯との比較(プリントスライド)…5月18日

 日本列島には,南部北上帯以外にも浅海成整然層で特徴づけられる地帯が分布します。しかし,それらの地帯には,南部北上帯よりも断片的な地層記録しか残されていません。第5回めの授業では,それらの地帯の浅海成整然層の特徴を,南部北上帯の浅海成整然層と比較しつつ解説します。

★第4回レポート:砕屑性ジルコン年代分布のデータから,飛騨外縁帯と南部北上帯のシルル紀〜三畳紀の運動史を比較しなさい。

キーワード:飛騨外縁帯[苦鉄質〜超苦鉄質基盤岩類,オルドビス系,シルル系,デボン系,石炭系,ペルム系,上部三畳系,中部ジュラ〜下部白亜系(手取層群)],舞鶴帯[ペルム系(舞鶴層群),下部三畳系(夜久野層群),上部三畳系(難波江層群)],黒瀬川構造帯(構造帯であって,右の浅海成整然層+基盤岩類の存在のみで定義されるわけではない)[先シルル紀花崗岩 類・角閃岩類(三滝火成岩類・寺野変成岩類),シルル〜デボン系,石炭系(柿迫層),ペルム系(小崎層・球磨層),中部三畳系(蔵法院層群),上部三畳系(川内ヶ谷層群),ジュラ系(鳥巣層群),下部白亜系(南海層群)

 6.飛騨帯の三畳紀からジュラ紀の変成作用,火成作用,および剪断運動(プリントスライド)…5月25日

 富山市を取りまく飛騨帯は,日本の他地域には見られない三畳紀からジュラ紀の変成岩および深成岩で特徴づけられる地帯です。飛騨帯の地質は,日本よりも韓国や中央アジア(モンゴルなど)の地質と関連する可能性があります。この様に,日本の中では特異な地帯として,飛騨帯の地質を紹介します。

★第5回レポート:西南日本内帯及び外帯のペルム紀〜白亜紀古生物地理の比較から読み取れるテクトニクスを論じなさい。

キーワード:飛騨変花崗岩類宇奈月変成岩類(中圧型変成岩類),飛騨変成岩類(高温型ないし中圧型の片麻岩類),飛騨花崗岩類手取層群

 7.古生代の付加体:付加体から読み取れること(プリントスライド)…6月8日

 第7回めの授業では,日本列島の付加体および火成岩類の時代と分布を概観し,アジア東縁部での沈み込みに関連した構造過程(付加体形成,付加体形成なし,構造侵食,横すべり運動)の変遷を考察します。次に,日本列島の付加体で特徴づけられる地帯の各論に移ります。第7回めは,三郡−蓮華帯,秋吉帯,超丹波帯,根田茂帯などの,古生代に形成されたとされる付加体について説明します。

★第6回レポート:秋吉帯のペルム系〜三畳系の砕屑性ジルコン年代分布から読み取れるテクトニクスを論じなさい。

キーワード:三郡−蓮華帯[超苦鉄質岩類,はんれい岩および 400-300 Ma 高圧変成岩類からなる 付加複合体],秋吉帯[前期石炭紀の海山の玄武岩類,前期石炭紀〜中期ペルム紀の礁成石灰岩およびチャートおよび中期ペルム紀砕屑岩類からなる付加体],超丹波帯[後期ペルム紀の珪質岩類(一部チャート?)および砕屑岩類からなる付加複合体]

 8.後期三畳紀から最前期白亜紀の付加体:日本列島の骨組みは,どのように形成されたか(プリントスライド)…6月15日

 第8回めの授業では,丹波−美濃−足尾帯,北部秩父帯,南部秩父帯,北部北上帯,および空知−蝦夷帯などに分布する,後期三畳紀から最前期白亜紀に形成されたとされる付加体について説明します。

キーワード:丹波−美濃−足尾帯[I 型地層群II 型地層群],北部秩父帯[沢谷層住居附層万場−上吉田層柏木層みかぶ緑色岩類],南部秩父帯[大平山層斗賀野層三宝山層],北部北上帯[葛巻−釜石帯田老帯安家−田野畑帯],空知−蝦夷帯[空知玄武岩類蝦夷層群

 9.白亜紀の付加体と浅海成地質単元(プリントスライド)…6月22日

 第9回めの授業では,日本列島を構成する白亜紀の様々な地質要素について解説し,白亜紀日本列島地殻の三次元構造の復元を試みます。日本列島の白亜紀の地層は,付加体,断層沿いの狭長な堆積盆を埋積した地層群,および長命な前弧海盆の地層群に分けられます。

★第7回レポート:浅海成整然層および付加体で特徴づけられる地帯を,それぞれ2列(以上)つくる方法を丁寧に解説しなさい。

キーワード:断層沿いの狭長な堆積盆を埋積した地層[和泉層群,手取層群,物部川層群 相当層,南海層群相当層],長命な前弧海盆の地層[蝦夷累層群,天草の白亜系],四万十帯付加体[北部四万十帯中部四万十帯南部四万十帯],イドンナップ帯付加体

 10.高圧型変成帯の形成とその上昇(プリントスライド)…6月29日

 日本列島の白亜紀の重要な地質構成要素として,三波川変成岩類が挙げられます。三波川変成岩類中には,70 km以深の深さで形成されたエクロジャイトという変成岩も含まれます。第10回めの授業では,三波川変成帯の地質構造から,高圧変成岩の上昇と高圧変成帯の形成について考えます。

キーワード:三波川変成帯三宝山ユニット(南部秩父帯),四万十帯エクロジャイト絞り出しwedge extrusion

 11.古第三紀の付加体と,西南日本・東北日本の分化(プリントスライド)…7月7日(土曜日4限・補講)

 西南日本の太平洋岸に沿った瀬戸川−中村帯という地帯に,古第三紀から前期中新世の付加体が分布します。第11回めの授業では,瀬戸川−中村帯の付加体について解説するとともに,白亜紀から古第三紀に至る島弧−海溝系の変遷について考察します。

★第8回レポート:花崗岩(=火山前線?)と付加体(=海溝?)の分布から,白亜紀と古第三紀の間に何が起こったか考察しなさい。

キーワード:古第三紀,始新世,漸新世,中新世,瀬戸川−中村帯,付加体,音無川層群牟婁層群山陽花崗岩山陰花崗岩

 12.付加体以外の古第三紀〜新第三紀層と日本海の形成(プリントスライド)…7月13日

 現日本列島の日本海側には,秋田県の男鹿半島や富山県の八尾地域を模式地として,第三紀の地層が厚く分布します。これらの地層の層相の上下変化や古地磁気の方位は,新第三紀のある時期に日本海が形成されたことを強く示唆します。第12回めの授業では,日本海側の新生代の地層から,日本海の形成について考えます。

★第9回レポート:男鹿半島の層序から読み取れるテクトニクスについて論じなさい。

キーワード:男鹿半島,台島層,西黒沢層,女川層,八尾地域,楡原層,岩稲層黒瀬谷層東別所層,古地磁気,偏角

 13.日本列島の形成過程の復元(プリントスライド)…7月20日

 最後の授業では,日本列島の形成過程を復元します。まず,日本海形成前の日本列島の姿を復元したあと,白亜紀横すべり運動の復元に挑みます。しかし,白亜紀より前には,まだまだ解き明かされていない3億年以上の歴史が秘められています。

キーワード:日本列島,ロシア沿海州,古地磁気データ,剛体回転 vs. 島弧内変形変位マーカー,中央構造線,棚倉構造線,畑川構造線,シホテアリン中央断層,パルチザンスク断層,黒瀬川帯断層系,古生物地理的拘束条件(物部川動物群南海動物群

 14.期末試験…7月27日

暗記問題と考えさせる問題を適度に混ぜて出題します…

 

成績評価方法

 3回のレポート(各 15 点満点)および期末試験(60 点満点)の成績をもとに,総合的に評価させていただきます。

教科書・参考文献・資料

 教科書:配布するプリントを教科書とする。


 参考文献,資料:

磯崎行雄・丸山茂徳,1991,日本におけるプレート造山論の歴史と日本列島の新しい地体構造区分.地学雑誌,第100巻,pp. 697-761

松岡 篤・山北 聡・榊原正幸・久田健一郎,1998,秩父累帯研究の新展開ー四国西部からの発信.地質学雑誌,第104巻,pp. 563-653

大藤 茂・佐々木みぎわ,1998,古生代〜中生代の“アジア大陸”と“日本列島”.地質学論集,no. 50pp. 159-176

大藤 茂・清水正明・氏家 治・ハスバートル・佐々木みぎわ・安部美佐・山北 聡,2000,日本海形成前の東アジアの地体構造の復元 その1 先第三紀 地体構造の枠組み.富山大学環日本海地域研究センター研究年報,XXVpp. 115-166

Sasaki, M., 2001, Restoration of Early Cretaceous sinistral displacement and deformation in the South Kitakami Belt, NE Japan: an example of the Motai-Nagasaka area. Earth Science (Chikyu Kagaku), 55, pp. 83-101.

 

 地図帳を持って来て下さい(地質学的に関連が深くても地理的には離れた場所へ,話がしばしば飛びますので)。

受講要件

 一般地質学,層序学および構造地質学の単位を取得していることが望ましい。

コメント

 「地質学巡検」の履修には,この授業を履修中であることが望まれます。

 予習・復習を怠ると,十分な理解は望めません。授業に関する質問は,いつでも歓迎します。

その他