第5回富山応用数学セミナー
講演情報
第5回富山応用数学セミナー
正則化混合最適輸送理論と細胞分化ダイナミクス推定への応用
概要
最適輸送理論は確率測度間の距離や最適マッチングを提供する変分問題として知られている. 近年では,正則化項を導入した正則化最適輸送の理論的・計算的進展により大規模データへの応用が現実的となり,幅広い分野で用いられるようになっている. 本講演では特に,正則化混合ガウス最適輸送理論について紹介する. また,この理論に基づいて開発された細胞分化ダイナミクスの包括的推定ソフトウェアscEGOTを取り上げる.scEGOT は従来手法が構築してきた細胞分化状態グラフに加え,各細胞における遺伝子発現の速度,その動態(アニメーション),分化の可塑性を表すポテンシャル地形,さらにそれを形作る遺伝子制御ネットワークまでもを,一貫した枠組みかつ非常に低い計算コストで推定できる点が特徴である. 実際に scEGOT を iPS 細胞から始原生殖細胞(PGC)への誘導を対象とした時系列scRNA-seq データに適用し,PGC 前駆細胞やその誘導過程における新規マーカー遺伝子を同定した結果についても報告する. 時間が許せば,講演者の最近の取り組みである混合Wassersteinスプライン補間についても触れる予定である.