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左図はこの2層系二重拡散対流の発生から消失までの様子について、当研究室の実験により得られた写真を連続的に示すものです。実験では下層流体を白色染料にて着色し、下層流体が上層へ移動する様子を可視化しました。更に温度場と流れ場の関係を見るために上層流体には感温液晶を少量懸濁させてあります。右図は装置図です。
感温液晶を懸濁した上層について、初期均一温度29.7℃として緑色であった流体のその上部に加熱壁側より青色の高温域(30.1℃以上)が、下部に冷却壁側より赤色の低温域(29.3℃以下)が拡大していき、間もなく等温線は水平方向に一様となります。これは上層においての熱対流の発達を意味します。上層と下層の流れは容器中心に対して点対称であり、下層についてもこれは同様です。つまりこのとき系内に反時計回りの2つの対流(セル)が積み重なって存在しています。
層間に薄い境界を伴った2層系の状態は比較的長い間持続しますが、層間濃度差の減少(境界面を通しての分子拡散による)を原因として、やがてこのセル構造は不安定挙動(境界の波打ち)を示すようになります。 急激な境界面の傾きの増加と共に、それは壁面に近い部分から崩壊し、下層(上層)の流体が上層(下層)に流れ込み、上下層の混合が始まります。このとき対流は3次元的であり、その流れに伴って等温線は大きく乱れます(ソルトフィンガー現象)。その後流体の濃度は均一化し、一つの熱対流に支配されるようになります。