環境分析化学研究室  
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研究内容

 

生体内環境をモニターする皮下埋め込み型オプティカルセ ンサーアレイの開発研究

(この研究は遠田教授が進めています)

近 年,血糖値を連続的にモニターできるグルコースモニターが開発されています。これらは針状のセンサーを皮膚に突き刺すことにより血糖値を測定するもので, 皮膚を貫くワイヤーのために感染症を引き起こし,またセンサー表面に繊維皮膜を生じるため,三日以上の連続使用はできません。

そこで我々は,グルコース及び電解質濃度変化に応じて色 (吸収スペクトル)が変化する複数のオプティカルセンサーを1つの基板に組み込んだ微小オプティカルセンサーアレイの実用化に向けた開発研究を行っていま す。

このセンサーアレイを皮膚直下に完全に埋め込み,間質組 織液中のグルコースや電解質濃度変化の情報を基板上の各センサーの可逆的な色変化の情報として対外におかれたカラーCCDカメラで読み取ることにより,非 侵襲的に上皮層を介して血糖値や電解質濃度を連続的にモニターすることが可能になるものと考えられます(図1)。

これまでに試作したセンサーアレイは幅0.5mm,長さ2mm,厚さ160mmの透明なプラスチック基板に極小型のオプ ティカルカリウムイオン,pH,グルコースセンシングカプセル及び光学参照カプセルを組み込むことにより構成されています(図2)。 イオンセンシングカプセルは対応するイオン濃度に応じて色が変わるセンシングビーズを,グルコースセンシングカプセルはpHセンシングビーズとグルコース 酸化酵素(G0X)固定化ビーズを混ぜ合わせ,これをハイドロゲル薄膜で覆うことにより構築しました。グルコースはこの薄膜を透過しセンシングカプセル中 に入り,ここでGOXにより酸化されてグルコン酸を生じます。これによりカプセル内のpHが変化し,センシングカプセルの色変化をもたらします。

図3にシャーレ中に置かれ たセンサーアレイのグルコースに対する応答を示しています。グルコースセンサーの色はグルコース濃度の増加に伴ってオレンジ色から青色ヘと変化し(図 3a-f),グルコースを含まない溶液でセンサーを洗うともとのオレンジ色に可逆的に戻ります(図3g)。

 

このシステムが開発できれば、皮膚を貫くワイヤーなどが ないのでセンサー挿入時の傷が癒えた後は感染の恐れがなく,しかも極小型なのでセンサー装着時の患者の負担の少ない診断分析法となります。しかし,たとえ ば酵素の熱的,化学的安定性の改善など,実用化のために解決しなければならない問題点も多く残っています。そのため,実用化を目指した以下のプロジェクト が現在進行中です。

 

なお,この関連研究が日本 分析化学会第68回分析化学討論会(2007/05/19-20)の「展望とトピックス 地球と人間の未来をみつめる分析化学」の「新素材・先端技術」分 野において,優れた研究に選ばれ,掲載されました。

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