就職に対する心構え

富山大学『学園ニュース』 No.97(1998.10),p.4.(Webに再掲)

 超氷河期を脱したかに見えたのが昨年の就職戦線でした。
しかしそれもつかの間、昨年末から生じた金融大型破綻や
アジア経済不安の下で、日本の経済状況は急激に悪化し、
今年の6月には失業率が4.3%にまで上昇しています。さら
に、余剰人員がまだ200万人程度いるともいわれてます。
 こうした経済情勢の下で、企業はこれまで以上にリスト
ラに迫られており、特に経費削減のため、新卒採用を含む
正社員の削減を強化せざるを得なくなっています。したが
って、来年以降の就職戦線が「超超氷河期」の様相を呈す
ることも十分予想されます。
 こうした点を踏まえ、就職に対してどのような心構えが
必要かを以下に記しておきます。

[基本的心構え]
 3年生の皆さんには、まず、「来年は就職口が見つから
ないかもしれない」という危機感をもってもらわなければ
なりません。また、2年生の皆さんには、景気が上向いた
としても、企業の新卒採用増加に期待をかけるのは無理だ
ということを認識してもらわなければなりません。
 なぜなら 企業は今や赤字の回避と短期利益の確保に躍
起であり、お金や時間をかけて新卒者を教育することより、
専門能力をもった即戦力のある人材の中途採用を優先させ
るからです。

[就職の成否は学力]
 採用において、「成績より人物」、「学歴不問」などを
掲げる企業が増加傾向にあることは確かです。しかし、こ
のような経済不況の下では、バラエティにとんだ人材構成
などと悠長なことをいっておれる企業はごく一部です。大
多数の企業は守りの経営を余儀なくされていますから、採
用選考において、有名大学の学生や成績優秀者を優先する
ことが当然の成り行きといえましょう。
 したがって、就職活動において有利な位置を占めるため
には、まず勉強し良い成績をとることが何より大切です。
成績は、端的にいって、教養や専門知識の水準、作文能力
や表現能力の水準を表します。それ故に、成績優秀者ほど
人気企業の試験や公務員試験に合格する確率が高いのです。
ちなみに私のゼミの例では、NTT本社採用になった学生
は国税専門官試験にも合格しました。
 また、経済のグローバル化・情報化の進展を考慮すると、
英語ができること、パソコンを扱えることが必須です。英
語では、英検準1級以上の試験に合格することを目指して
下さい。パソコンでは、Eメール・ワープロ・表計算ソフ
トの操作能力が最低限必要です。
 とにかく、期末試験や公務員試験あるいは資格試験など、
どのような試験であれ高得点と合格を目指して全力を尽く
すことです。そうすれば自ずと道が開けます。

[4大卒は総合職]
 守りの経営の下では、少数精鋭の経営方針が採られます
から、4大卒の求人は必然的に総合職ということになりま
す。また、企業活動の基本は物とサービスの販売にありま
すから、総合職といっても営業が基本業務ということにな
ります。
 女子学生はこの点の認識が非常に甘いといえます。いま
だに一般事務志望などといっている女子学生がいますが、
そのような求人などほとんどないのが実状です。一般事務
で採用されるのは、税理士資格、英検1級以上合格など、
独立した職業としても成り立つような能力をもっている場
合に限られています。今一度、自分の能力を冷静に見つめ
直して下さい。


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