公的企業・特殊法人
古田俊吉 『非営利企業の役割と課題』(北陸郵政局,1996年10月)
第2章「公的企業」(pp.6-27.)
公的企業・特殊法人
公的企業
1 公的企業
企業は、財・サービスを生産ないし供給し、費用をカバーするか否かによら
ず、それらを消費者や生産者にある価格で販売する一定の自立性をもった実体
であると特徴付けられる。また、公的とは、公共部門が資本の全部ないし一部
を所有し経営を統制することとして特徴付けられる。したがって、公的企業
(public enterprise)は、国ないし地方公共団体がその資本の全部ないし一部
を所有し経営を統制している企業であると定義することができる。1)
2 公的企業の形態
公的企業は、中央政府の公的企業(state enterprise)と地方公的企業(local
public enterprise)からなる。また、公的企業は様々な法律上あるいは企業
の形態を有している。それらは通常、現業(departmental agency)、公共法人
(public corporation)、公私混合企業(joint stock company)に分類される。現
業は、中央政府の省庁の部局ないし地方公共団体の部局に属し、それぞれの長
が経営の責任を負う非法人政府事業体である。公共法人は、設立は特別法に基
づいた、中央政府ないし地方公共団体出資の政府法人であって、間接経営方式
がとられる企業である。公私混合企業は、政府と民間の共同出資で設立され、
株式会社ないし有限会社の形態をとる企業である。2)
2.1 中央政府の公的企業
@現業
現業は、省庁の部局に属している事業であり、大ざっぱにいえば、財政制度
上では特別会計で行われている事業とみなすことができる。平成7年度では38
事業がある。このうち、いわゆる企業特別会計に属する、造幣局、印刷局、ア
ルコール専売、国有林野、郵政のいわゆる政府5現業が公的企業としてなじみ
が深い事業であり、新SNAでも公的企業に分類されている。一方、国立病院
や国立学校(高等教育)も、理論的には、医療サービスや教育サービスを有償
で提供しており企業活動を行っているとみなせるが、新SNAでは行政サービ
ス提供主体と位置づけられ、公的企業ではなく一般政府に分類されている。3)
さらに、特別会計の中には、港湾整備や道路整備事業などのように、明らかに
行政サービスであるが、財政法第13条第2項に従って一般の歳入歳出から区分し
て経理するという意味で特別会計で経理されているものもある。4)
ここで、特別会計において新SNAの公的企業に格付けされているものを列
挙すれば以下のようになる。
事業特別会計・・・・造幣局、印刷局、アルコール専売、国有林野、郵政、郵便
貯金
管理特別会計・・・・食糧管理
保険特別会計・・・・地震再保険、農業共済再保険、漁船再保険及漁業共済保険、
森林保険、貿易保険、自動車損害賠償責任再保険、簡易生
命保険、郵便年金
融資特別会計・・・・資金運用部、産業投資、都市開発資金融通
A特殊法人
特殊法人は、制度的には政府現業以外の公的企業の総称である。5) 表1に示
されているように、平成5年1月現在、92法人がある。内訳は、公団(13法人)、
事業団(17法人)、公庫(9法人)、特殊銀行・金庫(3法人)、営団(1法人)、
特殊会社(12法人:全て株式会社)、その他(37法人)となっている。以下そ
れらの特徴を要約しておく。
公団は、資金は政府、地方公共団体および民間から出資され、多様な公共事
業を行う、規模が大きい、独立採算性を有するといった特徴をもつ。
事業団は、資金は政府地方公共団体および民間(資本金を有しない機能法人
もある)から出資され、事業内容は多様、独立採算性は相対的に希薄である。
公庫は、全額政府出資、事業内容は金融業(政策金利で特定の対象に融資、
一般金融機関の補完的役割)、独立採算性は相対的に希薄である。
特殊銀行は、全額政府出資、事業内容は金融業(政策金利で特定の対象を相
手に融資、一般金融機関の補完的役割)、独立採算性は相対的に希薄である。
金庫は、商工組合中央金庫である。資金は中小企業等共同組合、商工組合、
輸出組合、輸入組合等の出資および政府の出資、事業内容は組合金融、独立採
算性がある。
新SNAとの関連では、公団・公庫・特殊銀行・営団の全ての法人、事業団
(社会福祉・医療事業団、畜産振興事業団、蚕糸砂糖類価格安定事業団、日本
国有鉄道清算事業団)、その他(日本原子力研究所、海外経済協力基金、理化
学研究所、日本育英会、日本体育・学校健康センター、日本中央競馬会、日本
貿易振興会、新エネルギー・産業総合開発機構(新エネルギー開発部門および
アルコール製造部門)、鉄道整備基金)が公的企業に含まれている。
表1 特殊法人一覧
特 殊 法 人 名 設立年 出資形態 新SNA
(公団 13法人)
水資源開発公団 昭和37 政府全額 公的企業
地域振興整備公団 昭和49 政府全額 公的企業
森林開発公団 昭和31 政府全額 公的企業
農用地整備公団 昭和49 政府全額 公的企業
石油公団 昭和42 政府全額 公的企業
船舶整備公団 昭和34 政府全額 公的企業
日本鉄道建設公団 昭和39 政府全額 公的企業
新東京国際空港公団 昭和41 政府全額 公的企業
日本道路公団 昭和31 政府全額 公的企業
首都高速道路公団 昭和34 政府他 公的企業
阪神高速道路公団 昭和37 政府他 公的企業
本州四国連絡橋公団 昭和45 政府他 公的企業
住宅・都市整備公団 昭和56 政府他 公的企業
(事業団 17法人)
新技術事業団 昭和36 政府全額
動力炉・核燃開発事業団 昭和42 政府他
宇宙開発事業団 昭和44 政府他
環境事業団 昭和40 政府全額
国際協力事業団 昭和49 政府全額
社会福祉・医療事業団 昭和29 政府全額 公的企業
年金福祉事業団 昭和36 政府全額
畜産振興事業団 昭和36 政府他 公的企業
蚕糸砂糖類価格安定事業団 昭和56 政府他 公的企業
金属鉱業事業団 昭和38 政府全額
石炭鉱害事業団 昭和38 政府全額
中小企業事業団 昭和55 政府全額
日本国有鉄道精算事業団 昭和62 政府全額 公的企業
簡易保険福祉事業団 昭和37 政府全額
労働福祉事業団 昭和32 政府全額
中小企業退職金共済事業団 昭和34 資本金なし
雇用促進事業団 昭和36 政府他
(公庫 9法人)
北海道東北開発公庫 昭和31 政府全額 公的企業
沖縄振興開発公庫 昭和47 政府全額 公的企業
国民金融公庫 昭和24 政府全額 公的企業
環境衛生金融公庫 昭和42 政府全額 公的企業
農林漁業金融公庫 昭和28 政府全額 公的企業
中小企業金融公庫 昭和28 政府全額 公的企業
中小企業信用保険公庫 昭和33 政府全額 公的企業
住宅金融公庫 昭和25 政府全額 公的企業
公営企業金融公庫 昭和32 政府全額 公的企業
(特殊銀行・金庫 3法人)
日本海発銀行 昭和26 政府全額 公的企業
日本輸出入銀行 昭和25 政府全額 公的企業
商工組合中央金庫 昭和11 政府他 公的企業
(営団 1法人)
帝都高速度交通営団 昭和16 政府他 公的企業
(特殊会社 12法人)
日本たばこ産業株式会社 昭和60 政府全額
電源開発株式会社 昭和27 政府他
関西国際空港株式会社 昭和59 政府他
北海道旅客鉄道株式会社 昭和62 清算事業団全額
東日本旅客鉄道株式会社 昭和62 清算事業団全額
東海旅客鉄道株式会社 昭和62 清算事業団全額
西日本旅客鉄道株式会社 昭和62 清算事業団全額
四国旅客鉄道株式会社 昭和62 清算事業団全額
九州旅客鉄道株式会社 昭和62 清算事業団全額
日本貨物鉄道株式会社 昭和62 清算事業団全額
国際電信電話株式会社 昭和28 政府出資なし
日本電信電話株式会社 昭和60 政府他
(その他 37法人)
北方領土問題対策協会 昭和44 基金(国債交付) 民間非営利団体
海外経済協力基金 昭和36 政府全額 公的企業
国民生活センター 昭和45 政府全額 民間非営利団体
日本原子力研究所 昭和31 政府他 公的企業
日本科学技術情報センター 昭和32 政府他
理化学研究所 昭和33 政府他 公的企業
公害健康被害補償予防協会 昭和49 資本金なし 民間非営利団体
奄美群島振興開発基金 昭和30 政府他
国際交流基金 昭和47 政府他 民間非営利団体
日本育英会 昭和19 政府全額 公的企業
私立学校職員共済組合 昭和29 資本金なし
国立教育会館 昭和39 政府全額
日本芸術文化振興会 昭和41 政府全額
日本学術振興会 昭和42 政府出資なし 民間非営利団体
日本私学振興財団 昭和45 政府全額
放送大学学園 昭和56 政府全額
日本体育・学校 昭和61 政府全額 公的企業
保健センター
社会保険診療報酬 昭和23 政府他 民間非営利団体
支払基金
社会保障研究所 昭和40 資本金なし 民間非営利
心身障害者福祉協会 昭和46 政府全額
日本中央競馬会 昭和29 政府全額 公的企業
農林漁業団体職員 昭和34 資本金なし
共済組合
地方競馬全国協会 昭和37 資本金なし
農業者年金基金 昭和45 資本金なし
日本自転車振興会 昭和32 資本金なし
日本貿易振興会 昭和33 政府全額 民間非営利団体
アジア経済研究所 昭和35 政府他 公的企業
日本小型自動車振興会 昭和37 資本金なし
新エネルギー・ 昭和55 政府他 公的企業
産業技術開発機構
国際観光振興会 昭和34 政府全額
(財)日本船舶振興会 昭和37 政府出資なし
鉄道整備基金 平成 3 政府全額 公的企業
日本放送協会 昭和25 資本金なし
日本労働研究機構 昭和33 政府全額
建設業・清酒製造業・林業 昭和56 資本金なし
退職金共済組合
日本勤労者住宅協会 昭和42 政府出資なし
消防団員等公務災害 昭和31 資本金なし
補償等共済基金
(注)平成6年3月31日現在。新SNAの欄については、公的企業と対家計
民間非営利団体に格付けされているもののみを記している。
(資料)総務庁行政管理局編[119]、白川・井野[99]153-156頁。
2.2 地方公共団体の公的企業
地方公共団体の公的企業は、地方公共団体が直接経営しているかまたは出資
して、経営を統制している企業であり、サービスを民間に有償で販売するとと
もに、独立採算を経営の基本原則としている。地方公営企業は、経営形態によ
って地方公営企業と地方公社に分類される。直接経営方式をとるのが地方公営
企業であり、間接経営方式をとるのが地方公社である。6)
@地方公営企業
地方公営企業は、経営主体が地方公共団体である企業をいうが、この中には
地方公共団体が所有し直接経営する企業ばかりでなく、経営に関する事務の共
同処理を目的とした一部事務組合である企業団も含まれる。
平成6年3月現在の地方公営企業の事業数は表2に示されている。総事業数
は10,035あり、都道府県関係401(1都道府県当り8.5)、指定都市関係148(1
指定都市当り12)、市町村関係9,097(1市町村当り2.8)となっている。
事業の内訳では、都道府県では宅地造成、下水道、病院、工業用水道の事業
数が多く、これら4事業で全事業数の57%を占めている。また、市町村では上
水道、下水道、簡易水道が主たる事業であり、これら3事業で全事業数の69%
を占めている。
表2 地方公営企業の事業数
都道府県 指定都市 市町村 組合 合計
上 水 道 28( -) 12( -) 1,811( -) 140( -) 1,991( -)
簡易水道 1( -) 1( 1) 1,679(1,651) 6( 5) 1,687(1,657)
工業用水道 40( -) 8( -) 80( -) 9( -) 137( -)
交 通 6( -) 21( 2) 98( 46) 5( 1) 130( 49)
電 気 34( 1) 12(12) 18( 17) 9( 9) 73( 39)
ガ ス 2( -) 1( -) 66( -) 3( -) 72( -)
病 院 47( -) 12( -) 583( -) 99( -) 741( -)
下 水 道 62( 58) 17( 4) 2,800(2,733) 43( 39) 2,922(2,834)
港湾整備 37( 36) 6( 4) 76( 73) 5( 4) 124( 117)
市 場 10( 8) 13(11) 154( 145) 17( 17) 194( 181)
と 畜 場 1( 1) 7( 7) 141( 141) 30( 28) 179( 177)
観光施設 20( 9) 10(10) 766( 622) 13( 8) 809( 649)
宅地造成 78( 44) 18(14) 587( 558) 5( 4) 688( 620)
有料道路 12( 4) 2( 2) 3( 3) -( -) 17( 9)
駐車場整備 11( 6) 8( 8) 206( 198) 1( 1) 226( 213)
そ の 他 12( -) -( -) 29( -) 4( -) 45( -)
計 401(167) 148(75) 9,097(6,187) 389(116) 10,035(6,545)
(注)平成6年3月31日現在。
「その他」には、国際交流、情報処理、有線放送、採石、砕石、林業、製材、自動
車学校等が含まれる。
()内の数字は、法非適用企業の事業数を内数で示している。
(資料)地方財政調査研究会編[地方公社総覧](平成5年版)。
地方公営企業法第2条では、水道(簡易水道を除く)、工業用水道、軌道、
自動車運送、鉄道、電気、ガスの7事業について全部の規定の適用を、病院に
ついては財務規定の適用を、それぞれ義務づけている。その他の事業について
は、地方公営企業法を適用するか否かは任意であり、適用する場合は条例で定
められる。実際には、地方公営企業法の全部適用と一部適用の8事業を除くと、
そのほとんどは法非適用事業といえる。
ここで、地方公営企業と新SNAの公的企業との対応をみておくと、公共下
水道と病院を除く全ての地方公営企業が新SNAにおける公的企業に格付けさ
れている。9)
A地方公社
地方公社は、地方公共団体が出資し間接的に経営を行っている企業であり、
直接経営方式の地方公営企業とは一応区別される。一般的には、一つの地方公
共団体が25%以上を出資し監査対象となる民法や商法に基づく法人、および特
別法に基づく地方3公社(地方住宅供給公社、土地開発公社、地方道路公社)
が地方公社と総称される。ただし、地方公社には、例えば補助金交付といった
助成を目的としたものなど、一般に考えられている企業の範疇には入らないも
のが数多くある。なお、地方公社は、日本では「第三セクター」あるいは「外
郭団体」と呼ばれることが多い。7)
地方公社の種類と数、法人形態別の地方公社は表3、表4に示されている。
平成5年1月現在の地方公社総数は6,659公社であり、これを法人形態別でみる
と、民法法人3,722公社(構成比55.9%)、商法法人1,277(構成比19.2%)、
特別法人1,563(構成比23.5%)となっている。8) なお、民法法人の内訳は、
財団3,327(構成比50.0%)および社団395(構成比5.9%)、商法法人の内訳は、
株式会社1,216(構成比18.3%)およ有限会社61(構成比0.9%)である。
表3 地方公社数
都道府県 指定都市 市町村 計
地域開発・都市開発関係 168 ( 8.0) 48 (12.8) 1,886 (45.2) 2,102 (31.5)
住宅・都市サービス関係 86 ( 4.1) 22 ( 5.9) 57 ( 1.4) 165 ( 2.4)
観光・レジャー関係 65 ( 3.1) 20 ( 5.3) 552 (13.2) 637 ( 9.6)
農林水産関係 444 (21.0) 25 ( 6.6) 340 ( 8.1) 809 (12.1)
商工関係 241 (11.4) 28 ( 7.4) 106 ( 2.5) 375 ( 5.6)
社会福祉・保健医療関係 360 (17.1) 41 (10.9) 196 ( 4.7) 597 ( 9.0)
生活衛生関係 79 ( 3.7) 25 ( 6.6) 97 ( 2.3) 201 ( 3.0)
運輸・道路関係 161 ( 7.6) 50 (13.3) 92 ( 2.2) 303 ( 4.6)
教育・文化関係 248 (11.7) 71 (18.9) 588 (14.0) 907 (13.6)
公害・自然環境保全関係 28 ( 1.3) 5 ( 1.3) 34 ( 0.8) 67 ( 1.0)
その他 231 (10.9) 41 (10.9) 224 ( 5.4) 496 ( 7.4)
合 計 2,111(100.0) 376(100.0) 4,172 100.0) 6,659(100.0)
(注)平成5年1月1日現在。()内の数字は構成比(%)
(資料)地域政策研究会編[120]。
表4 業務別・形態別地方公社数
民法法人 商法法人
特別法人 合 計
財団法人 社団法人 株式会社 有限会社
地域開発・ 373( 17.7) 10( 0.5) 154( 7.3) 2(0.1) 1,563(74.4) 2,102(100.0)
都市開発関係
住宅・都市 80( 48.5) 3( 1.8) 26(15.8) 0(0.0) 56(33.9) 165(100.0)
サービス関係
観光・ 275( 40.3) 26( 4.1) 346(54.3) 8(1.3) 0( 0.0) 637(100.0)
レジャー関係
農林水産関係 246( 30.4) 297(36.7) 238(29.4) 28(3.5) 0( 0.0) 809(100.0)
商工関係 271( 72.3) 9( 2.4) 91(24.3) 4(1.1) 0( 0.0) 375(100.0)
社会福祉・ 579( 97.0) 11( 1.8) 7( 1.2) 0(0.0) 0( 0.0) 597(100.0)
保健医療関係
生活衛生関係 149( 74.1) 4( 2.0) 41(20.4) 7(3.5) 0( 0.0) 201(100.0)
運輸・道路関係 53( 17.5) 2( 0.7) 55(18.2) 10(3.3) 41(13.5) 303(100.0)
教育・文化関係 871( 96.0) 21( 2.3) 14( 1.5) 1(0.1) 0( 0.0) 907(100.0)
公害・自然環境 67(100.0) 0( 0.0) 0( 0.0) 0(0.0) 0( 0.0) 67(100.0)
保全関係
その他 381( 76.8) 12( 2.4) 102(20.6) 1(0.2) 0( 0.0) 496(100.0)
計 3,327( 50.0) 395( 5.9) 1,216(18.3) 61(0.9) 1.660(24.9) 6,659(100.0)
(注)平成5年1月1日現在。()内の数字は構成比(%)。
(資料)地域政策研究会編[120]。
地方公社のうち非営利企業に分類できるのは、民法法人のうちの助成あるい
は贈与を事業目的としていない法人と特別法人といえる。これらの業務別・法
人形態別の具体的事業内容は以下のようになっている。
地域・都市開発関係・・・・用地の取得、造成、処分及び都市整備等
財団法人・・・・住宅・商工業用地の取得・造成・分譲・斡旋、公用地、公
共用地および関連する施設の取得・建設・賃貸等
社団法人・・・・その他に霊園の造成・分譲の事業
土地開発公社・・・・公用地の先行取得
住宅・都市サービス関係・・・・住宅の賃貸、分譲、宅地分譲等
財団法人・・・・ 住宅用地、企業用地の取得・造成・分譲
社団法人・・・・宅地分譲・住宅建設等
地方住宅供給公社・・・・勤労者の住宅建設事業
観光・レジャー関係・・・・観光・レジャー施設の整備、運営等
財団法人・・・・公営観光施設の管理・運営、観光宣伝
社団法人・・・・観光施設の業務管理、宿泊等
農林水産関係・・・・農用地等の取得、造成、処分等
財団法人・・・・森林造成、魚類の増殖、河川環境保全等
社団法人・・・・植木、花、園芸資材の販売、造林事業、緑化事業等
商工関係・・・・中小企業に対する設備貸与、融資、経営指導等
財団法人・・・・中小企業に対する設備貸与、情報の収集と提供等
社団法人・・・・産業用地の取得・処分等
社会福祉・衛生関係・・・・社会福祉施設、保健衛生施設の管理等
財団法人・・・・勤労者福祉、在宅福祉、し尿収集・運搬等
社団法人・・・・し尿収集・運搬、ボランティアの登録・研修・派遣、シ
ルバー人材センター等
運輸・道路関係・・・・有料道路の建設、管理及び交通事業、埠頭、空港の経営等
財団法人・・・・フェリー埠頭の建設・整備・管理、ヘリポートの管理、有
料道路の料金徴収等
社団法人・・・・測量・調査・設計および工事監督等
地方道路公社・・・・有料道路事業
教育・文化関係・・・・私学振興、社会教育施設の管理、育英事業、スポーツ振興等
財団法人・・・・社会教育施設の管理、スポーツ施設の管理・運営等
社団法人・・・・私学振興(資金貸与・助成、教職員研修助成)等
公害・自然環境保全関係・・・・産業廃棄物の処理、自然保護事業等
財団法人・・・・民有地の緑化、廃棄物処理・埋立地造成、下水道処理場
の維持保守、生活環境の保全に関する調査・研究等
その他・・・・各種会館の管理、出稼ぎ対策、海外移住等
財団法人・・・・地域産品の開発、各種イベント事業等
社団法人・・・・企業誘致支援、Uターン促進、広報・イベント事業等
地方公社の出資構成をみたのが表5である。地方公共団体が全額出資してい
る公社が全体の57%と大半を占めている。他の地方公社は共同出資の形態をと
っている公社であるが、これらは地方公共団体が50%以上を出資している公社
(全体の28%)と民間が50%以上を出資している公社(全体の15%)からなっ
ている。これからも分かるように、地方公社の多くのもの、特に地方公共団体
が全額出資している公社は行政の肩代り的存在としての性格を強くもっている。
なお、地方公社のうち新SNAにおいて公的企業に格付けされているのは、
地方3公社(地方住宅供給公社、土地開発公社、地方道路公社)と地方駐車場
公社である。9)
表5 業務別・出資割合別地方公社数
地方公共団体 地方公共団体50 民間50%以
全額出資法人 %以上出資法人 上出資法人 合 計
地域開発・ 1,899(90.3) 132( 6.3) 71( 3.4) 2,102(100.0)
都市開発関係
住宅・都市 112(67.9) 36(21.8) 17(10.3) 165(100.0)
サービス関係
観光・ 214(33.6) 276(43.3) 147(23.1) 637(100.0)
レジャー関係
農林水産関係 99(12.2) 441(54.5) 269(33.3) 809(100.0)
商工関係 107(28.5) 189(50.4) 79(21.1) 375(100.0)
社会福祉・ 285(47.7) 216(36.2) 96(16.3) 597(100.0)
保健医療関係
生活衛生関係 124(61.7) 46(22.9) 31(15.4) 201(100.0)
運輸・道路関係 85(28.1) 131(43.2) 87(28.7) 303(100.0)
教育・文化関係 632(69.7) 199(21.9) 76( 8.4) 907(100.0)
公害・自然環境 32(47.8) 25(37.3) 10(14.9) 67(100.0)
保全関係
その他 226( 45.6) 193(38.9) 77(15.5) 496(100.0)
計 3,815( 57.3) 1,884(28.3) 960(14.4) 6,659(100.0)
(注)平成5年1月1日現在。( )内の数字は構成比(%)。
(資料)地域政策研究会編[120]。
3 公的企業の領域
3.1 社会資本との関連
社会資本(social overhead capital)は、社会的外部性を有する資本と定
義できるが、より具体的には公的資本および社会的外部性を有する民間資本の
総称である。
公的資本には、道路、港湾、郵便などの交通・通信施設、公営住宅、上下水
道、ごみ処理などの住宅・生活環境施設、国公立病院、社会福祉施設、国立公
園などの厚生福祉施設、国公立学校、職業訓練などの教育訓練施設、治山、治
水などの国土保全施設、灌漑排水、林道、漁港などの農林漁業の各施設、その
他中央政府や地方公共団体の庁舎などが含まれる。一方、民間資本のうちで社
会資本に含まれるものは、私鉄、電信・電話、有線放送、私立学校、私立病院、
私立社会福祉施設などの各種施設である。これら社会資本が有する特徴は、建
設費が多額、資本に一括性がある、長期収益的である、民間活動の基盤として
の機能を果たすといったことである。
公的企業と社会資本との関連では、一般道路や治山・治水一般、義務教育と
いった外部性が公共的、社会的であるいわば純公的資本の形成にとっては公的
企業は適していない。これらのサービスはある意味で純粋公共財の性質をもち、
価格を設定して消費者ないし生産者に販売する性質のサービスではないからで
ある。もちろん、道路や治山・治水事業からの便益が限られた地域の住民にの
み及ぶ場合には、公的企業が供給する余地はある。公的企業の対象となるのは、
一般的に純公的資本を除いたいわば準公的資本の領域であるといえよう。
3.2 公益事業との関連
公益事業(public utility)は、電気、ガス、電話、水道、交通など多様な
事業の総称である。10) したがって、他の一般の企業と異なって、一つの特徴
でそれらを区別することは不可能である。それらが有する特徴をあげるとすれ
ば、自然独占、価格設定に関して政府の規制を受ける、新サービスの供給ある
いは特定サービスの拡大・変更・廃止に関して政府の規制を受ける、財務会計
上の規制や資金調達上の規制を受ける、需要者へのサービス供給を拒否できな
い、本拠地の地域内で独占的販売権をもつ、等である。なお、公益事業を経営
対象とする企業を公益企業という。
また、公益事業が供給するサービスは現代生活に不可欠なサービスであるが、
いわば伝統的公益事業ではそれらは二つの範疇に分類される。一つは、供給者
の施設と消費者の家屋がある程度恒久的、物理的に連結され、直接的か間接的
あるいは連続的か断続的に供給されるサービスである。電気、ガス、水道、電
話、テレビなどがこの範疇に入る。他の一つは、公共交通事業であり、鉄道、
バス、航海、航空などがこの範疇に入る。
公益事業は、その大半は民間の公益企業で経営されており、営利を目的とす
るか否かを別にすれば、公的企業でもそれらの事業を実施することは可能であ
る。したがって、公的企業の領域は公益企業の領域を含むといえる。
3.3 公的企業の領域
これまでみてきたように、公的企業がカバーしている領域は非常に広くまた
多様である。ごく荒っぽく要約すると、国防、司法、警察、消防といったいわ
ゆる純粋公共財以外の、「公共性」と「企業性」の双方の性格を併せもつ財・
サービス供給の分野が公的企業の領域ということになろう。ここで公共性とは、
広く社会的外部性を有することと定義されよう。公共部門と民間部門、一般行
政と民間企業、公共性と企業性、所有と出資、直接経営と間接経営といった観
点から公的企業の位置づけを示したのが表6である。
表6 公的企業の領域
公 共 部 門 中 間 領 域 民 間 部 門
供 給 主 体 一般行政 公的企業 第三セクター 民間企業
(地方公社) 非営利 営利
(公益法人)
財・サービス 純粋公共財 準公共財(準民間財) 民間財
公 共 性 大 なし
企 業 性 なし 独立採算 大
所 有 形 態 所有 所有ないし出資
経 営 方 式 直接経営 間接経営
4 公的企業の存在理由および公的生産・民間消費の根拠
4.1 公的企業の存在理由
公的企業の存在理由を歴史的にみると、二つの理由がある。11) 一つはイデ
オロギーや倫理的価値判断に基づくであり、公的企業が政治家の信念や哲学に
基づいて設立されたということである。これは、特定の産業がある国では民間
企業で成り立ち別の国では公的企業が担っていることでも示される。例えば、
イギリスにみられるように、政権の交代ごとに民間企業の国有化と非国有化が
繰り返されてきたいう経緯がある。石炭、ガス、自動車、造船など多種多様な
企業がこれに含まれている。日本では、これに対して、官業で出発し、後に特
殊会社への改組というような一定の方向が見受けられる。12) もう一つの理由
は経済的理由であり、市場の失敗の修正、経済安定化政策、所得・富の再分配、
および商品の社会化がこれに含まれる。
@市場の失敗の修正
厚生経済学の基本定理は、適切に機能する競争市場機構が効率的な資源配分
を達成することを示すが、自由市場機構の前提ないし環境が欠如すれば、市場
は効率的な資源配分を達成できない。「市場の失敗」(market failure)とは、
狭義には、市場が効率的な資源配分を達成できないことをいう。さらに、広義
には、市場が適正な所得分配の達成に失敗することも含む。その理由は、市場
機構で達成される所得配分が社会的厚生を最大にする保証はないからである。
もし市場機構で決定される所得分配が公正の観点から望ましくないと判断され
る場合には、政府がこれを矯正するために介入する必要が生じる。
市場の失敗が生じる原因とそれに対応した政府活動のタイプは表7に示され
ている。
表7 市場の失敗と政府活動のタイプ
自由市場機構 市場の失敗の要因 政府活動のタイプ 基 準
私有財産制の侵害 国防、司法、警察 合理性
私的財産所有制
所得格差 所得再分配政策 公平性
教育・職業訓練
価格支配力の存在 産業組織政策
価格のパラメータ機能 独占・寡占規制
前 価格調整力の欠如 経済安定政策
提
財・生産要素の完全移動 不完全移動 産業構造政策
労働流動化政策
効率性
公共財の存在 公共支出政策
市場の普遍性 外部性の存在 環境政策
環 不確実性の存在 情報政策
環 将来財の存在 経済成長政策
凸 性 規模の経済の存在 公共料金政策
公的企業
(資料)本間[109]に依拠し、修正して作成。
市場の失敗のうち、効率の側面から公的企業が担う重要な役割の一つは自然
独占の弊害の除去である。自然独占は、費用関数の劣加法性と持続性によって
特徴づけられる。この場合、費用の側面からは一つの市場を一つの企業が独占
するのが好ましいが、独占企業が利潤最大化行動をとるならば効率損失が生じ
る。この点で、公的企業の根拠は、公的独占によって費用面での効率性を満た
すと同時に社会的厚生の最大化を図ることに求められる。13)
これと関連して、Ware[79]は自然独占から自然複占への移行過程における参
入動学を分析している。いま、市場が自然独占にあるとしよう。需要が増大す
ると、自然独占はあるところで自然複占に変化する。自然複占とは、最大化さ
れる余剰が1企業の場合と2企業の場合で同一となる需要水準によって特徴付
けられる。さらに需要が拡大すると、市場は参入がちょうど実現可能なある規
模に達する。実現可能性は、既存企業の生産が最小水準にあって、参入企業が
ちょうど利潤を得られることを要求する。
以上から、公的企業による独占市場に民間企業が参入するケースを想定する
と、自然複占市場においては既存の公的独占者が確実に参入を誘発できない可
能性があることがわかる。この原因は、公的企業が総余剰の最大化行動をとる
ことにある。こうした状態は不自然独占(unnatural monopoly)と呼ぶことが
できる。Wareの分析は、自然独占以外についても、市場の失敗の観点から公的
企業が役割を担う根拠が与えられることを示しているといえる。
また、民間資本市場が不完全あるいは未発達であって、民間企業が資金調達
に制約を受ける場合には、動学的資源配分の観点から公的金融機関による民間
資本市場の補完が要請される。同様に、新技術開発、新資源開発等も公的企業
が担う重要な役割といえる。
A経済安定政策
経済安定政策は、極端な経済変動を回避するための諸政策として位置づけら
れる。この中には、短期の経済安定政策と長期の経済成長政策が含まれる。公
的企業がこれらの政策に果たす役割としては、前者については価格設定と投資
調整、後者については特定企業ないし特定産業の保護と振興、インフラストラ
クチャーの整備、貿易振興等である。なお、特定産業の保護に関しては、市場
が競争的である場合でも公的企業の市場への参入が要請される場合が有り得る。
これは、例えば、公的企業が参入し市場でリーダー役を果たすことによって外
国企業の市場参入に対抗することが求められる場合である。
B所得と富の再分配
厚生経済学の基本定理は、適切に機能する競争市場機構が効率的な資源配分
を達成することを示すが、その資源配分が社会的厚生を最大にする保証はない。
もし、市場機構で決定される所得分配が公平の観点から望ましくないと判断さ
れる場合には、政府がこれを矯正するために介入する必要が生じる。
所得と富の再分配を目的とする場合、その手段としては租税、直接的移転、
公益企業の料金規制、公的企業による価格設定などがあるが、準公共財の供給
の場合には、とりうる手段は料金規制ないし公的企業の価格設定であろう。た
だし、再分配政策の一環として公的企業が設立されるあるいは公的企業が民間
企業にとって代るというケースは稀であろう。
C商品の社会化
「商品の社会化」(socialization of commodities)とは、Usher[78]によれ
ば、公共部門が購入あるいは生産によって全体の供給を占有し、その供給を消
費者の間で均等方式かあるいはある金銭以外の基準によって再配分することと
定義される。義務教育、学校給食、公営住宅がこの例である。商品の社会化は、
財・サービスが低料金か無料で消費者に供給することを意味する。このような
方法で財・サービスを供給できるのは制度的には政府か公的企業である。
Usherは、簡単な一般均衡モデルを用い、商品の社会化の目的が所得不平等
の是正にあるケースについて公共選択の問題を分析している。相対的な貧者は
社会化を望み、相対的な富者は競争市場での供給を望むものとすると、社会化
の決定が多数決ルールに基づくのであれば、中位投票者の所得が平均未満であ
れば商品の社会化が選択されることになる。彼らの分析結果によれば、社会の
所得分配の不平等度が大きければ大きいほど商品の社会化が受け入れられ易く、
商品に対する選好の多様性が大きいほど社会化が多数派を得る傾向は小さくな
る。
これに対しWilson and Katz[83]は、均等利用といっても現実には消費が個
々人で異なることを重視し、商品に対する補助金を商品の社会化と捉える。彼
らの簡単な2財一般均衡モデルでは、1財が補助されるとして、社会が多数決
で商品補助を増大させるか否かは、効率損失(需要の価格弾力性)、嗜好と所
得の結合分布、需要の所得弾力性と租税変化との関係に依存する。彼らの分析
結果によれば、需要の価格弾力性が小さい(効率損失が小さい)場合、中位の
消費水準が平均的消費水準より高い場合、そして所得分布に歪みがある時で中
位の所得水準が平均的な所得水準よりも低い場合に、商品の社会化が受け入れ
られる。
ところで、Usher、Wilson and Katzの商品の社会化に関する分析は主として
公平の観点からのものであるが、効率の観点からも均等利用を正当化すること
ができる。Shoup[71]の「集団消費財」(group consumption goods)の議論がこ
れである。集団消費財は、どの個人も排除することなく同時に一定量を供給す
ることが保証され、さらに一人当りサービス費用が市場方式で供給されるより
も低いという性質をもつ財・サービスと定義される。また、こうした民間財の
性質をもつ財・サービスが公的に供給される理由は、排除原理を適用する市場
的供給方式よりも、排除原理を適用しない非市場的供給方式の方が効率的に財・
サービスを供給できるならば、排除原理を適用せず全構成員に均等に利用させ
ることが効率の側面からも望ましいことにある。Goldin[23]も同様に、公共財、
準公共財、外部性という観点よりも、均等利用と選択的利用の観点を重視すべ
きだと主張している。市場供給と非市場的供給という観点からは、市場供給は
選択的利用を、また非市場的供給は均等利用を意味する。
Musgrave[52]の価値財(merit goods)も、商品の社会化の範疇に含めることも
できる。彼は、政府が社会的、倫理的価値判断に基づいて、その供給が社会的
に価値があるとみなし、財・サービスを供給するケースがあることを強調して
いる。公共財と価値財の相違は、公共財の場合はその消費が消費者の選択に委
ねられるのに対し、価値財の場合はその消費が個人の選択に委ねられるのでは
なく政府によって強制されるという側面をもつ。また価値財供給の背景には、
消費者の不完全な知識から消費水準が社会的に望ましい水準よりも低いという
政府の判断が背景にある。義務教育、公営低家賃住宅、学校給食などがこの例
である。
4.2 公的生産・民間消費の根拠
公的企業の機能は、基本的に準公共財(準民間財)の公的供給にある。つま
り、準民間財を公的に生産し、それを民間に有償で販売することにある。財・
サービスが公的生産され民間消費される根拠は以下のとおりである。
まず、公的生産の理由は、公的企業が一般行政の補完、民間で生産されない
財・サービスの生産、企業活動の補完等の役割を担っていることにある。この
ため、独占による事業、外部性の内部化、社会資本の整備等の事業を行ってい
る。
次に、民間消費の根拠は、公的企業が提供する財・サービスはが競合性と排
除性を有する準民間財としての性格をもち、したがって、これらの財・サービ
スは民間に有償で販売されることが可能でありまたそのほうが望ましい、とい
うことにある。
公的企業が、公的所有の下で直接経営されるか間接経営されるか、あるいは
公的出資の下で間接経営されるかの判断は、実際には表6に示したように、一
般行政としての性格が強いか、供給の安定等の目的で公共的コントロールが必
要か、社会的外部性が大きいか、経営効率の観点から企業性・収益性が重要か
といった判断基準に基づいてなされている。
5 公的企業の諸理論
5.1 公共選択アプローチ
前述したように、公的企業の経済的根拠の一つは、公的な独占の下で費用面
での効率を達成すると同時に社会的に適切な価格と供給量を決定することがで
きることである。
これに対し、公共選択アプローチをとる論者は、公的企業の現実の行動が消
費者、官僚、政治家、生産者などの利益集団の行動に左右されるため、公的企
業の行動と公益とが整合するものではないと主張する。このアプローチに共通
するのは「政府の失敗」(government failure)を強調する点である。14)
政府の失敗を公的企業に限定した場合には、その主たる要因は行政的非効率
である。これには、需要側面における消費者、生産者、政治家、官僚の行動と、
供給側面におけるX-非効率、技術的非効率が考えられる。
需要側面での非効率は第1に、消費者と政治家の行動によって生じる。消費
者は、政治家の投票を通じて間接的にしか公的企業の意思決定に関わることが
ないから、直接的影響のある価格設定に最大の関心をもつ。一方、政治家は一
般的に得票数最大化行動をとると想定される。消費者の関心が価格にあるから、
政治家にとってはいわゆる政治価格を設定する誘因が働く。この結果、価格が
限界費用を下回り非効率が生じる可能性がある。
第2の非効率の要因は官僚の行動である。Niskanen[55]によれば、予算の残
余について自由裁量的な権限をもたない官僚は、自らの給与、権力、権威を最
大にする動機から、予算規模を最大化する行動をとり、過大な予算をもたらす。
官僚が公的企業の意思決定者としてこのような行動をとるとすると、生産量は
結果的に過大となる。意思決定において官僚が優位に立つ原因の一つは情報の
非対称性にある。官僚は行政、管理に関して政治家よりも良い情報をもってお
り、政治家は官僚の意思決定を尊重せざるを得ない。ここに、代理人(官僚)
の行動が直接には観察できないあるいは検査できないために、代理人の活動と
ランダムな出来事の結果から情報を拾い集める以外にない依頼人(政治家)は、
代理人に効率への誘因を与えられるかという、いわゆるプリンシパル・エージ
ェント問題が生じる。15)
第3の非効率の要因は、生産者の「レント・シーキング」(rent seeking)で
ある。「レント・シーキング」という用語は Krueger[43]によって最初に用い
られた。レント(地代)とは、経済の総生産量の増加と結びつかない活動から
生じる所得のことをいう。言い換えると、レントとは、資源の所有者が得る機
会費用を上回る収益を指す。市場が競争的であるならば、価格は限界費用に等
しく超過利潤は発生しない。しかし、産出量がそこで決まる産出量より小さい
ところでは超過利潤が発生するから、生産者はレントを求めて、政府に何らか
の規制を設けさせ、生産量を社会的に最適な水準以下に削減しようとしてロビ
ー活動を繰り広げる。レント・シーキングとはこの超過利潤を求める行動を指
す。産出規制(独占)、輸入の数量規制、関税等がこの対象になる。レント・
シーキングはこのように、非効率を生じさせ、社会的費用を伴う。
次に、供給側面において生じる非効率の要因の一つは「X非効率」(X-
inefficiency)である。X非効率とは、現在の技術を所与として、組織の改善
の遅れ、労働者の労働意欲の欠如、まずい経営管理手法の採用等により生じる
非効率をいう。公的企業のX非効率の原因には、予算制約がゆるいこと、民間
企業と異なり組織内部の標準(組織目標、成果と個人評価等)を作る必要があ
ること、報賞制をとり難いことなどがある。16)
供給側面における非効率の他の一つの要因は「技術的非効率」である。これ
は、利用可能な最良の技術を見つけ出せないか、あるいは用いることができず、
生産コストの引き下げと品質の向上を実現できないことを意味する。この原因
としては、料金改定の遅れによる新技術導入の遅れ、民間企業と異なりサービ
ス区域が固定的といったことがある。
公共選択アプローチは、このように、理論的な最適ルールを現実に適用する
場合には注意深くなければならないこと、民間企業と公的企業の行動が異なる
とに注意を喚起したことにおいて評価できよう。ただし、背景にある理論は基
本的に実証理論であり、公的企業にとっての適切な政策指針を与えることがで
きないという問題点を内包している。17)
5.2 公的所有の理論
公的所有は企業を公的に統制するための一つの手段であるが、何を目的とし
て統制するのか、あるいは統制の根拠は何かについて明確に議論を展開する理
論分析はほとんどない。
Mayer[51]の公的所有の理論は、この点に関する一つの貢献といえる。彼は、
公的企業の資産を人々の間で均等に分配する方式であり、私的所有は市場が決
定する分配方法であることに着目する。公的所有は企業の資産保有に対して制
約を課すことを意味するから、公的所有の根拠はそのような制約の正当性に基
づいていなければならない。公的所有が正当化されるための条件は三つある。
第1の条件は、市場の供給側もしくは需要側の一方に集中が存在する必要が
あることである。つまり、投資家と企業との間に企業を監視するための仲介機
関が介在すること、あるいは生産者と消費者との間に媒介機関が介在する必要
があることである。市場の集中は監視ないし調整の産物としての性格をもつ。
投資家と企業の関係では、個々の投資家は企業の成果を評価しなければならな
いが、それが困難な場合もあるし、他の投資家の評価にただ乗りする投資家も
出てくる。もし、仲介期間が分散投資と監視によって企業の成果を評価するな
らば、投資家は企業の成果を評価する必要がなくなるから、投資家の間で発生
する外部性も解消される。他方、消費者と生産者の関係では、消費者間で消費
の外部性が発生することもあるし、消費者が生産物の品質を適切に評価できな
い場合がある。こうした場合には、消費者と生産者との間に媒介機関が介在し
適切な調整を行う必要がある。
第2の条件は、完全な契約が実現不可能か費用が高すぎることである。仲介
機関ないし媒介機関の必要性だけでは公的所有を正当化することにはならない。
何故なら、市場における集中は仲介機関や媒介機関の潜在的な権力の乱用をも
たらす危険があり、場合によっては投資家や消費者が損害を被ることも有り得
るからである。この潜在的な権力の乱用が所有権の配分や企業の統制と関わっ
てくる。ただし、完全な契約が可能であり、これによって権力の乱用が防止で
きるならば公的所有の根拠は弱い。したがって、公的所有は、監視や調整によ
って集中市場が形成されている産業において、それに伴う弊害を、契約的な取
り決めでは回避できないか、あるいはそれによっては回避されるべきではない
という場合にのみ要請されるといえる。
公的所有の第3の条件は、生産や分配に対する企業の適応性を配慮すること
の方が企業の投資計画に対する投資家の関与を配慮することよりも重要なこと
にある。いま、2期間を考え、第1期に企業が投資し、第2期に生産、分配す
るものとする。すると、第2期の生産と分配に適応性が大きいほど消費者の利
益が図られ、他方、第1期の投資を促進するためには第2期の適応性が制約さ
れる必要がある。したがって、第2期における消費の調整から生じる便益が重
視されるほど消費者の統制に大きな価値が付与され、逆に、第1期の投資選択
が第2期の成果に与える効果が重視されるほど、投資家の統制や第2期の適応
性の制限に価値が付与されることになる。これらのことから、公的所有は、私
的所有の財産権が消費者の需要に十分に応えないような状況において要請され
る。18)
Mayerは選択と関与との間の対立の解決に公的所有の根拠を求めているが、別
の観点からも公的所有の根拠が与えられる。例えばKay and Thompson[40]は、
市場の競争状態や効率誘因、さらに企業の破産や買収の可能性といった観点も
含めて、民営化との関連で公的所有の問題を議論している。19)
純粋な市場経済では、私的所有と競争が効率を促進すると一般に受けとられ
ている。競争市場においては、生産物市場における顧客の争奪競争少や資本市
場における破産および買収の脅威が存在するからである。逆に、破産や買収の
恐れがなければ、市場にほとんど競争がなくなり企業が配分効率と生産効率を
達成する誘因も弱いものとなる。競争、効率誘因、企業形態と所有形態との関
連をまとめたものが表8である。
ここで、表8の見方を変えると公的所有の根拠がより明確になる。いま、簡
単のために「No」は社会的に望ましくないとの判断を、「Yes」は社会的に望ま
しいとの判断をそれぞれ表すものと想定する。これより、公的所有は主として
破産と買収が社会的に望ましくない場合に要請されるとみることができる。こ
れは特に、郵便、水道などのように財・サービスが基礎的、必需的な場合や、
航空やテレコムなどのように外国企業による買収が望ましくないサービスの場
合に当てはまる。また、競争か独占かは効率達成の必要性あるいは重要性の程
度に依存する。20)
ただし、公的企業を設立するか民間企業を監視するかの判断は、公的企業と
民間企業の効率性と監視費用に依存する。公的企業が選択されるのは、双方の
企業が同程度に効率的である場合には公的企業の方の監視費用が小さいとき、
また、公的企業の方の効率が低い場合で、民間企業の監視費用が効率損失の費
用よりも大きいときである。21)
表8 所有、競争および効率誘因
企業は破産可能か No No Yes Yes Yes
企業は買収され得るか No No No Yes No/Yes
生産物市場は競争的か No Yes No No Yes
配分効率への誘因 No Yes No No Yes
生産効率への誘因 No No No Yes Yes
企業の種類 公的所有 公的所有の 大規模な 小規模な 競争的な
の独占 競争企業 私的独占 私的独占 私的企業
(資料) Kay and Thompson[40]p.21、Table 1。
5.3 制度的取り決めの理論
公的企業の生産物の量や質は、その意思決定者にとっての制度的取り決めに
依存する。Schimmelpfennig[68]は、二つの制度的取り決めを想定しこの問題の
分析を行っている。一つは、まず官僚が公的企業の品質を決定し、次に政治家
は官僚の決定に基づいて生産量と赤字の場合の補助金を決定するというもので
あり、これは2段階の連続的なゲームとしてモデル化される。他の一つは、政
治家が品質と生産量の双方を同時に決定するという取り決めであり、本質的に
1段階のゲームとなる。また、官僚も政治家も自らの効用を最大化する行動を
とると想定される。
彼のモデルからは、公的企業が政治家の妨げを受けずに品質を決定できるな
らば、品質がより高くなるという結果が得られる。これは、例えば品質の評価
が困難な芸術や薬品等については、政治家は官僚の決定を尊重せざるを得ず公
的企業に対する命令と統制が困難なことを示唆する。逆に、公共交通や電信電
話などのように品質の評価が比較的容易な財・サービスについては、公的企業
に対する命令と統制が容易である。いずれにしても、彼の分析は、意思決定者
の行動や品質の評価の可能性に対応した適切な制度的取り決めが重要なことを
示唆しているといえよう。22)
5.4 パフォーマンス測定の理論
公的企業の存在理由としてすでに論じたように、公的企業は市場の失敗の修
正、経済安定、所得と富の再分配など多用な使命を担っている。したがって、
公的企業のパフォーマンスの尺度は複合目的の達成度を示すものでなくてはな
らない。
ところが、目的達成の評価に関連して幾つかの問題がある。一つの問題は、
どの二つの目標をとってもそれらが両立可能というわけではないということで
ある。この点で、他の目的の達成を妨げないのは生産(技術)効率の目的のみ
である。別の問題は、各目的の達成度が数量化されたとしても、社会的判断を
行うためには、それらが一つの尺度に統合される必要があるということである。
この場合、各目標は一般に異なる次元で評価されるので、費用便益分析の場合
と同様に、統合に当っては何らかの荷重和を用いざるを得ない。また、ウエイ
トの決定には価値判断が伴う。さらに、配分効率とその他の効率とのトレード
オフ関係が企業の統制可能性に対して影響を与えるという問題が残る。
こうした問題点の検討を通じて、Pestieau and Tulkens[56]は、公的企業と
民間企業のパフォーマンスの比較は生産効率の基準のみに基づくべきであると
主張している。23) そこで、生産効率に関して少し詳しくみておくことにする。24)
いま、産出量をQ、投入要素をX1、X2、生産関数をQ=f(X1,X2)とする。
さらに、生産関数は1次同次とすると、1=f(X1/Q,X2/Q)となる。また、
これを図示すると図1のようになる。曲線IIは生産量1単位の等量曲線である。
点線は費用線を、またその勾配は要素価格比率を示す。
産出量1単位を生産する場合では、図から分かるように、X1に対するX2の
比率を固定したままで0Aに沿って点Aから点Bに移動することによって投入
量を最小化できる。つまり、点Bで生産効率(技術効率)が達成される。した
がって、Aに対する生産効率の得点を0B/0Aで表すことができる。他方、
配分効率は費用制約の下で生産量を最大化することで達成される。図1では、
費用線に沿って点D(実線0Aと費用線との交点)から点Cに移動することに
より生産量を最大化できること、つまり等量線IIと費用線との接点Cにおいて
配分効率が達成されることを示している。したがって、配分効率の得点は0D
/0Dで表すことができる。これらから、総効率は生産効率と配分効率の積
(0D/0A)によって与えられる。
Pestieau and Tulkens[56]は、生産効率の基準を用いて公的企業と民間企業
のパフォーマンスを比較した数多くの実証分析を展望している。その結果、彼
らは、生産効率の点で公的企業が民間企業よりも決して劣るものではないと結
論付けられるとしている。25)
図1 生産効率と配分効率
X2
I
A
B
D
C
I
0 X1
5.5 民営化の理論
公的企業の民営化および関連する諸問題についてはすでに多くの論者が論じ
ている。そこで、ここでは、Blankart[9]に従って民営化の限界を概観するだ
けにとどめる。いま、政府が保健、公共交通、街路、高速道路等の種々のサー
ビスを生産する企業とみなす。すると、この企業の管理者にとって問題になる
のは、一定のサービス水準を達成するとしていかに最低コストを実現するか、
換言すると、政府は外部委託すべきかあるいは自らの生産手段を用いて生産す
べきか、ということである。
この意思決定に関連して、規模と範囲の経済、調達市場の競争の程度、調整
コスト、財・サービスの品質が問題になる。規模と範囲の経済は、政府と民間
企業のいずれが規模と範囲の経済を有しコスト面で優位かを表す。民間企業が
コスト面で優位にあるならば、政府生産よりも民間委託が安くつく。次に、調
達市場の競争の程度は、政府が自らの生産手段を用いて生産するのがコストの
面で安くつくか、あるいは民間から調達するほうが安くつくかに影響する。調
整費用も同様である。最後の、財・サービスの品質は、民間生産者は政府と同
質の財・サービスを生産するか、必要なときに供給するかといった問題と関連
する。
ここで、財・サービスの品質の問題は、生産技術と消費技術の二面から捉え
ることができる。生産技術は埋没費用(sunk cost)と対応している。埋没費用
の大きな資本を用いて生産される財・サービスは「埋没費用財」と呼ばれるが、
こうした財・サービス、例えば水道などでは、民間企業に委せることは困難で
ある。いま、政府が民間企業と長期契約を結び、民間企業に水道事業を委せた
としよう。民間企業は退出時の埋没費用を考慮しなければならないから、次回
にも契約を結ぶことを優先させる。その結果、契約直後の初期時点では経営努
力をせず、再契約の時点が近づくにしたがって経営努力を集中する傾向をもつ。
契約企業の戦略の余地が大きい場合には、契約は政府に不利なものとなる。結
局、埋没費用が大きい場合には、もちろんその大きさは程度の問題であるが、
そうした資本と結び付いた財・サービス供給の民営化には限界があるといえよ
う。
消費技術では、財・サービスの品質について、不確実性のほとんどないもの、
経験によって品質の評価が可能なもの、信頼が基本にあるものに分類される。
財・サービスのうちで品質に関する不確実性のほとんどないものは「点検財」
(inspection goods)と呼ばれる。これらの財・サービスは原材料、出版物など
のように点検によって品質の評価が可能である。また、経験によって品質の評
価が可能な財・サービスは、天気予報、コンサルティング業務などであり経験
財(experience goods)と呼ばれる。最後に、財・サービスの品質に大きな不確
実性が存在し、個人が信頼して消費せざるを得ない国防、一般行政、外交、基
本的な社会福祉などは「信頼財」(trust goods)と呼ばれる。民間委託あるいは
民営化の可能性は、点検財で最も大きく、経験財がそれに次ぐといえる。ただ
し、信頼財については、品質の不確実性が大きいために、民間委託や民営化の
可能性はほとんどない。
以上のことを要約すると、一般的には、埋没費用財や信頼財については民間
委託ないし民営化は考え難いということである。
注)
1) 植草[89]p.237、Bos[11]p.9参照。植草氏は、公的企業の性格として「公共
的性格」と「企業的性格」の二重性格をもつことにその特徴を挙げている
が、公共的性格としては「所有の公共性」と「規制の公共性」を最も重視
すべきであるとしている。しかし、規制は程度の問題であるから、公共的
性格として特に規制の重要性を強調する必要ないともいえる。
2) Bos[11]p.10、、Muzolf[53]pp.232-233、植草[89]237頁参照。なお、Hood
and Schuppert[36]は、公共政策の観点から公的企業を分類し、「中核政府
企業」、「独立公的法人」、「私的または独立の実体として設置された企
業」に類型化している。また、機関あるいは組織のタイプを説明するアプ
ローチとして、国家スタイルのアプローチ、行政的のジレンマのアプロー
チ、下部組織・取引問題アプローチがあるとしている。彼らは、三つのア
プローチを、異なるタイプの機関が異なる業務に用いられている理由を説
明できるか、準政府的組織の方向へのメガトレンド説明できるか、といっ
た観点から比較検討し、有力な方法はある種の取引アプローチであるとし
ている。
3) 新SNAでは、公的企業と民間企業および公的企業と一般政府の分類は、
政府の出資割合、政府の指揮・監督権、業務内容、料金のレベル、規模等
によって定められている。経済企画庁国民所得部[96]69頁参照。
4) 財政法第13条第2項では、「国が特定の事業を行う場合、特定の資金を保有
してその運用を行う場合その他特定の歳入を以て特定の歳出に充て一般の
歳入歳出と区分して経理するする必要がある場合に限り、法律を以て、特
別会計を設置するものとする。」と規定されている。
5) 特殊法人は、広義において、特別の法律に基づいて限定数設けられる法人
のことを特殊法人ということが多いが、狭義においては、「法律により直
接設立される法人又は特別の法律により、政府が命ずる設立委員が行う設
立行為をもって設立すべきものとされる」法人のことをいう。総務庁行政
管理局[120]315頁参照。なお、特殊法人の統合計画は以下のようになって
いる(日本経済新聞 96年1月10日付)。
畜産振興事業団〓蚕糸砂糖類価格安定事業団 96年10月メド
新エネルギー・産業技術総合開発機構〓石炭鉱害事業団 96年度中頃
新技術事業団〓日本科学技術情報センター 96年10月メド
中小企業退職金共済事業団〓建設業・清酒製造業・
林業退職金共済組合 早ければ96年度に
私立学校教職員共済組合〓日本私学振興財団 97、98年度メド
日本貿易振興会〓アジア経済研究所 97、98年度メド
船舶整備公団〓鉄道整備基金 97、98年度メド
海外経済協力基金〓日本輸出入銀行 99年までに
6) 地方公共団体の公的企業の制度、機能、財政等については、拙稿(能勢・
丸山[105]15章)、能勢[104]を参照されたい。
7) 日本の第三セクターについては、出井[100,101]、遠山[102]を参照されたい。
8) 自治省地域政室編『地方公社総覧』では、平成5年版から、単独の地方公
共団体の出資額が25%未満の法人についても付加調査がなされデータが掲
載されている。これらの法人数は、平成5年1月現在で、1,587公社ある。
したがって、これらの公社を含めた場合の地方公社総数は8,246公社となる。
なお、社団と財団の区別を参考までに掲げておく。社団法人は、多数の
個人が集まった団体に法人格が与えられたものであり、他方、財団は、財
産の集合に法人格が与えられたものである。また、社団法人の営利法人は
会社としての形態をとる。
9) 公営事業会計以外の事業会計では、収益事業、農業共済事業、交通災害共
済事業が新SNAの公的企業に含まれる。
10) 公益事業の特徴、機能、規制、価格設定に関しては、Howe and Rasmussen
[37]、一瀬・大島・肥後[86]を参照されたい。
11) 公的企業の存在理由に関してはBos[12]、Rees[60]を参照されたい。
12) 民営化を含む各国の公的企業の動向については、Thiemeyer and Quaden[76]
を参照されたい。
13) 公的企業の価格設定については、Bos[12]、Faulhaber[20]、Rees[60]を参
照されたい。
14) 公共選択アプローチによる展望論文にはBlankart[8]である。Lawson[45]も
参照されたい。
15) プリンシパル・エージェント問題については、Marchand,Pestieau and
Tulkens[50]pp.21-24を参照されたい。
16) 公的企業のX-非効率に関しては、De Alessi[15]を参照されたい。
17) このような指摘は、Marchand,Pestiau and Tulkens[50]p.21にみられる。
18) Mayer[51]は以下のような結果を得ている。(1)公的所有は、監査と調整が
集中市場を形成している産業において、集中の弊害が契約的な取り決めで
は回避できないあるいは回避されるべきではないというときにのみ考慮さ
れるべきである。(2)公的所有の根拠が明白であるような場合においても、
生産や分配の適応性、投資計画に対する関与に付与されるべき相対的重要
性を十分考慮すべきである。(3)民間所有あるいは公的所有は、いずれも普
遍的に適切であるということはありえない。(4)民間所有は、産業の適応
性が支配的な場合に妥当であり、一方、公的所有は関与が投資刺激にある
場合に望ましい。(5)所有の変更は、技術革新によって正当化される場合が
しばしばある。したがって、所有のライフサイクル生じ得る。(6)異なる諸
国における産業の所有パターンは関与と適応性によってかなりの程度説明
され得る。(7)生産物市場と資本市場の規模の両方が好ましい所有のパター
ンに影響する。(8)一つの産業において、全ての生産段階で所有が全て同一
あるのが適切であるということはほとんどありえない。(9)所有の基本的原
則は、(1)(2)と(4)で要約されるが、金融市場が企業投資を促進しない場合
には当てはまらない。逆に、政府行政が公的企業の投資促進に関与しうる。
19) 効率は生産効率と配分効率を含む。生産効率は最低費用での生産を行うこ
と、配分効率は供給コストを反映する価格で消費者のニーズを満たすこと
をそれぞれ意味する。これらの測定については後で詳細に検討する。
20) 公的独占の問題と関連して、Roemer and Silvestre[62]は種々の所有と規
制の制度を社会的厚生によって評価している。彼らの理論分析では、補助
と固定資本費用を等しくすることによって公的企業は常に最善の社会的厚
生を達成する、限界費用に関する不確実性がある場合では規制を受ける公
的企業は規制を受ける私的企業よりも常に(弱く)優位である、補助を受
けない公的企業は規制を受けない私的企業よりも望ましい、といった結果
が得られている。
21) Lawson[45]p.286参照。
22) 制度的取り決めに関する包括的な分析は、Laffont and Tirole[44]でなさ
れている。
23) パフォーマンスの測定は、通常、要素生産性の成長、価格、標準的な会計
上の比率(実質総売上高、利潤マージン、株価等)などで測定される。こ
れらに関しては、Marchand,Pestieau and Tulkens[50]、Pestieau and
Tulkens[56]を参照されたい。
24) 生産効率と配分効率の詳細については、Levitt and Joyce[46]、Marchand,
Pestieau and Tulkens[50]を参照されたい。なお、Levitt and Joyce(pp.
95-96)は、効率を改善するために必要な条件を六つあげている。(1)意図す
る産出および関連した費用を定義し可能ならば数量化する。(2)管理上で統
制できない諸要因を考慮した後の、投入変化の産出への影響を評価し可能
ならば数量化する。(3)特定のサービスにおいて、目的は投入の最小化か産
出の最大化かを決める。(4)技術効率を改善するための範囲を評価化し可能
ならば数量化する。(5)配分効率を改善するための範囲を評価化し可能なら
ば数量化する。(6)最悪の行為者を平均もしくは最良のそれまでもっていく
ことで、効率がどの程度改善されるかを評価し可能ならば数量化する。
25) Pestieau and Tulkensの結論は、Borcherding,Pommerehne and Schneider
[11]の結論とかなり異なる。Borcherdingらは、1980年までの非常に多くの
実証分析を展望し、一般に民間生産は公的に所有され管理される生産より
も安いと結論づけている(特に、pp.128-136)。
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Last Modified: February 1996
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[108] 藤田暁男「生活の向上と公共・非営利組織としての郵便局・郵便貯金の役割」
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[109] 本間正明「政府活動」飯野・林・深谷他『テキストブック 財政学』有斐閣,1979年,
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[110] 本間正明編著『フィランソロピーの社会経済学』東洋経済新報社,1993年.
[111] 本間正明「フィランスロピーと寄付金税制」貝塚啓明・金本良嗣編『日本の
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[112] 森泉 章『公益法人の現状と理論』勁草書房,1982年.
[113] 山内直人[フィランソロピーの経済分析]本間正明編著[110],77-106.
[114] 山内直人[フィランソロピーと税制]経済企画庁『ESP』9,1994,19-25.
[115] 吉岡伸彦[NPOにかかわる制度について]経済企画庁『ESP』9,1995,
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[116] 渡辺淑夫『公益法人課税の理論と実務 四訂版』財経詳報社,1990年.
[117] 自治省編『地方財政白書』<平成7年版>,大蔵省印刷局,1995年.
[118] 総務庁行政観察局編『公益法人の現状と問題点』,大蔵省印刷局,1985年.
[119] 総務庁行政管理局編『特殊法人総覧』<平成5年版>,行政管理研究センター,
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[120] 地域政策研究会編『地方公社総覧』<平成5年版>,ぎょうせい,1993年.
[121] 地方財政調査研究会編『地方財政統計年報』<平成7年版>,地方財務協会,
1995年.
[122] 富山中央郵便局『暮らしに役立つ郵便局百科』,1995年.
[123] 北陸郵政局『豊かな潤いのある地域づくりのために』,1995年3月.
[124] 郵政省『「郵便局に関するご意見お伺い」結果概要』,1995年7月.
[125] 郵政省貯金局『郵便貯金』(各年版).
[126] 郵政省郵政研究所『金融機関利用に関する意識調査』(平成3年度),1992年7月.
[127] 郵政省郵政研究所『金融機関利用に関する意識調査』(平成5年度),1994年9月.
[128] 郵政省郵政研究所『郵政研究所月報』(No.1-53).
[129] 郵便貯金資金運用研究会『郵便貯金資金運用研究会平成6年度報告』,1994年
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[130] 郵便貯金に関する調査研究会『第5回貯蓄行動と貯蓄意識に関する調査報告
書』,1994年6月.
[131] 郵便貯金に関する調査研究会編『1990年代の郵便貯金ビジョン』,1989年7月.