Fourier 級数:周期 2 π の周期関数の Fourier 級数

f(x) を周期関数とする。すなわち、ある正の定数 a があって、全ての x に対して f(x+a)=f(x) がみたされているものとする。このような af(x)周期という。

取り敢えず、先ずは f(x) の周期が 2π である場合を考えよう。

周期が 2π であるような周期関数の代表的なものとして誰でもが思い付くのは、cos xsin x であろう。さらに、これだけのみならず、定数関数や、cos kxsin kx (k=2,3,... ) もやはり周期 2π の周期関数である。

よって、周期が 2π の場合の Fourier 級数とは、「周期が 2π の周期関数 f(x) を、cos kx (k=0,1,2...)sin kx (k=1,2,...) の級数として表したもの」ということになる。


いきなり f(x) の Fourier 級数を求めようとしても無理がある。そこで、逆に、もしも f(x) が cos や sin の級数として表せているとしたら、どのような状況になるのか?ということを考えよう。

f(x) が cos と sin の級数として表されていたとする:すなわち、

--- (1)

と書かれていたとする。このとき(積分と無限級数の和の順序を交換できるか否かというような細かいことを一切無視すれば)、m=0,1,2,... に対して、

となる。(ここで、cos, sin の積の積分に関する公式を使用した。)

すなわち、

---(2)

となっていなくてはならない。同様に、

---(3)

となっていなくてはならない。


与えられた周期 2π の周期関数 f(x) に対して、(2), (3) によって am , bm を定めるとき、(1) の右辺のような級数を f(x)Fourier 級数(あるいは、Fourier 展開)という。

一般に、f(x) の Fourier 級数が収束するかどうか、さらに収束するとしても f(x) と等しくなるかどうかはわからない。よって、

という書き方はできない。そこで、「=」ではなく、「〜」という記号を使って、

と表すことにする。


では、f(x) の Fourier 級数は、f(x) と等しくなるのか??

この問題について、以下のような定理が知られている。

定理(Fourier の定理)

周期 2π の周期関数 f(x) が区分的に滑らか(つまり、有限個の点を除いて C1 級)ならば、f(x) の Fourier 級数は、

  1. f(x) が連続な点 x では、f(x) に収束する。
  2. f(x) が不連続な点 x では、に収束する。

特に、f(x) が滑らか(連続!)ならば、Fourier 級数は f(x) に収束する。


次に、具体的な例について、その Fourier 級数を計算し、収束の様子を見てみよう。
Fourier 級数の例


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