薬学部・薬科学科 シラバス


目次


微分積分(Calculus)

担当
南部 徳盛
 
開設時間
前期:木曜 10:30 - 12:00
 
キーワード
指数関数、対数関数、分数関数、無理関数、三角関数、逆三角関数、微分、 ライプニッツの公式、不定形の極限値、2変数関数f(x,y)とその等高線、偏微分、合成関数の偏微分、テイラーの定理、関数の極値、有理型関数の積分、1階の微分方程式、 2階線形微分方程式、定積分、広義の定積分、2重積分、体積、曲面積
 
一般学習目標(授業の位置付け)
1変数関数f(x)の微分と積分に関する基礎事項と高等学校では取り扱わなかった項目(逆三角関数とその微分、不定形の極限値、有理型関数の不定積分、広義積分等)を取り上げる。さらに、2変数関数f(x,y)を中心とする多変数関数の偏微分と重積分に関する基礎概念とその基礎的事項を考察する。
 
達成目標
三角関数、指数関数、対数関数、無理関数等の性質と逆三角関数の性質(定義域、値域、グラフの概形)、2変数関数f(x,y)の偏微分と重積分に関する基礎概念を理解する。特に、2変数関数の幾何学的考察を通して、偏微分、合成関数の偏微分、極値、2重積分の基本的概念を理解すると共にその計算法を身につける。
 
授業の形式
講義。
学生諸君の理解度に応じて講義を進めるで、下記の授業計画通りに講義が進まないことがある。
 
成績評価の方法
小テストと筆記試験
 
教科書/参考書
教科書:
微分積分概論 南部徳盛著(近代科学社)

参考書:

1. 詳解微積分演習 福田・鈴木・安岡・黒崎著(共立出版)
2. 微分・積分30講 志賀浩二著(朝倉書店)
 
メッセージ
  1. この講義では高校の「数学III」の内容を理解していることが望ましい。講義では高校の「数学III」の内容に該当する事項は結果説明にとどめるので、その箇所は各自必ず独習するように。
  2. 演習時間を設けないので、毎回、教科書の「問」、「演習問題」を解いておくこと。
  3. 不明な箇所は、日頃、オフイスアワー等を使用して質問にくること。
授業計画

主題と位置付け

学習方法と内容

備考

1変数関数、逆三角関数

関数f(x)、逆関数、指数関数、対数関数、分数関数、無理関数、三角関数、逆三角関数について考える。関数の定義域、値域、グラフの概形等を考える。

教科書 第3章

1変数関数の極限と微分

1変数関数f(x)の極限と微分を考える。極限と微分の諸公式、微分の諸性質について考察する。

教科書 第4章、5章(p.53まで)

1変数関数の高次導関数

n次の導関数, ライプニッツの公式、平均値の定理、不定形の極限値について考察する。

教科書 第5章

2変数関数とその微分

2変数関数f(x,y)とそのグラフと偏微分について考える。偏微分の意味とその幾何学的考察を行う。

教科書 第6章、第7章(p.75 まで)

合成関数の偏微分について

変数変換とその幾何学的考察を行う。合成関数の偏微分について考える。

教科書 第7章(p.75以下)

テイラーの定理と関数の近似式

1変数関数f(x)、2変数関数f(x,y)を「多項式で近似する」ことと「関数のべき級数展開」を考える。近似式の意味することを考える。

教科書 第8章

関数の極値

関数f(x),f(x,y)の極値について考える。極値の幾何学的考察と極値の判定法を考える。陰関数の極値について考える。

教科書 第9章

不定積分

不定積分とその諸公式を考える。また、高校で取り扱わなかった有理型関数の不定積分を考える。

教科書 第10章

定積分

定積分の意味と広義の定積分を考える。微分積分学の基本定理を理解し、定積分の計算法を練習する。

教科書 第11章

10

数学モデルの簡単な微分方程式

自然現象の数学モデルの微分方程式を導出し、変数分離型、同次型、1階線形微分方程式とそれらの解法について考える

教科書 第13章

11

2階線形微分方程式

2階線形微分方程式の解法について考える。

教科書 第13章

12

2重積分

2重積分の概念を理解し、重積分の幾何学的考察をう。累次積分による重積分の計算を考える。積分区域を正しく図示する。

教科書 第12章

13

2重積分

変数変換による2重、3重積分の計算法を考察する。1変数の置換積分法が2重,3重積分の計算法ではどうなるかを考える。

教科書 第12章

14

2重積分

2重積分の広義積分について考える。定積分∫-∞ Exp(-x2)dxを求める。

教科書 第12章

15

2重積分

2重積分の応用を考える。体積の計算と曲面積の計算を行う。

教科書 第12章

 

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線型代数学(Linear Algebra)

担当
南部 徳盛 
 
開設時間
後期:火曜 10:30 - 12:00
 
キーワード
外積ベクトル、行列、基本変形、はきだし法、行列式、数ベクトル、数ベクトルの一次独立性、部分空間、基底、線形写像、固有値、対角化
 
一般学習目標(授業の位置付け
線型代数の基本的な事柄を理解させることを目標とする.線型代数はベクトルと行列に関する理論である。この理論の基本的な考えは数値計算, 統計解析や線形計画法等でも幅広く応用されている。
 
達成目標
線型代数学における基礎的な事柄(行列,行列式,数ベクトル空間,線形写像に関する事等)を理解する。 計算法を身につけるとともに定義、定理の概念を理解しそれらのつながりを各自明確にする。
 
授業の形式
講義
学生諸君の理解度に応じて講義を進めるで、下記の授業計画通りに講義が進まないことがある。
 
成績評価の方法
小テストと期末試験 
 
教科書/参考書
 
教科書
線形代数概論 南部 徳盛著 (近代科学社)
参考書
線形代数30講 志賀浩二著 (朝倉書店)
詳解線形代数演習 鈴木・安岡・黒崎・志村著 (共立出版)
明解演習 線形代数 小寺平治著 (共立出版)
 
メッセージ
時間的制約から演習時間がとれないので、毎回復習を兼ねて教科書の演習問題を解くこと。
数学を応用するとき,大事なことは, 公式だけを覚えることだけではなくて,その考え方や概念を正しく理解しているかである。

 

 
授業計画
 

主題と位置付け

学習方法と内容

備考

数ベクトルへの助走

平面または空間における幾何ベクトルについて考える。空間における外積ベクトルを考える。

行列(Matrrix)

行列の演算を学ぶ:n×m型行列(マトリックス)の演算(和,スカラ−倍,差,積)について考える。

行列(Matrrix)

正則行列,転置行列、行列の区分けについて考える。

行列の基本変形

行列の3つの基本的な変形について考察する. 「掃き出し法」による連立一次方程式の簡便な解法について考える。

行列式(Determinant)

行列式(Determinant)の定義とその性質について考える。 行列式の計算を行う。

行列式

余因子行列

n次(n>2)の行列の逆行列の表現, 余因子行列,ラプラスの定理について考察する。

行列式の応用

クラメルの公式、n元連立1次方程式の解の公式について考察する. 行列式の応用として平行六面体の体積、平面の方程式を求めたり等を考える。正則行列と行列式の関係をみる。

N次元数ベクトル空間

N(>3) 次元数ベクトル空間を考える。

ベクトルの一次独立性

数ベクトルの1次独立と1次従属の概念を考察する。

10

部分空間

数ベクトル空間の部分空間について考える。部分空間の次元と基底を考察する。

部分空間基底、次元

11

正規直交基底

部分空間の正規直項基底とその構成法を考える。

12

線形写像

線形写像と行列の対応について考える。数ベクトル空間から数ベクトル空間への線形写像とそれを表わす行列について考察する。

13

行列の固有値

正方行列の固有値と固有ベクトルについて考察する。

14

行列の対角化

正則行列による行列の対角化と実対称行列の対角化についても考察する。

15

固有値の応用

対角化の応用として、実2次形式の標準形を求めることを考え、2次曲線,2次曲面の分類を行う。さらに定数係数の1階線形の連立微分方程式を解く。

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情報処理学(Information Processing)

担当
笹野 一洋
 
開設時間
前期:金曜 10:30 - 12:00
 
キーワード
情報リテラシー、Macintosh、統合型ソフトウエア、ワードプロセッシング、表計表、グラフィクス、プレゼンテーション、データベース、Internet、Web browsing、情報検索、e-mail
 
一般学習目標(授業の位置付け)
情報リテラシー(読み書きの能力)として、ワードプロセッサーをはじめとする種々の機能とインターネットを活用できるようになる。
 
達成目標
 
  1. Macintoshの基本操作ができるようになる。
  2. AppleWorksを用い、表計算・グラフィクス・グラフなどを駆使した文書をワードプロセッサーで作成することができるようになる。
  3. Microsoft PowerPoint を用いてプレゼンテーションができるようになる。
  4. Filemakerを用いてデータベースの構築と利用ができるようになる。
  5. インターネットの概要について説明できるようになる。
  6. Web pageを検索して情報を収集できるようになる。
  7. e-mailを使用して情報の交換を行えるようになる。
 
授業の形式
実習
 
成績評価の方法
毎回出席することが最低必要条件。その上で、ほぼ毎回提出して貰う課題と、プレゼンテーションの実演、および実習終了後に作成・提出して貰うレポートによって評価する。 
 
教科書/参考書
とくに指定しない。
プリントを配布するが、各人が解説を聞いて必要事項を書き込みすることで初めて完成するように、敢えて簡略化してある。プリントを貰っただけで安心しないこと!
 
メッセージ
解説を良く聴くことと、それを体験として体にたたき込むことが大切である。既にパソコンに触れたことのある者にとっては、最初のうちはつまらないかもしれないが、授業のスピードは極めて速く、また内容も系統的で濃いため、「気が付いたら落ちこぼれていた」ということのないように十分注意すること。
 
備考
学生諸君の到達度に応じて進度は変更されるので「授業計画」はあくまでも目安である。なお、毎回の授業を、「課題が出来た人から終了」という形態にすることもあるので、授業中の説明をしっかりと聞いて、「何をすればよいのかわからない」という状態にならないように注意すること。
 
授業計画
 

主題と位置付け(担当)

学習方法と内容

オリエンテーション
基本操作(1)

・オリエンテーション
・コンピューターの構造
・Macintoshの電源のオン・オフから始まる基本操作

基本操作(2)

・ウィンドウとファイルシステム
・オブジェクト指向
・プログラムの起動と終了・プログラムと文書の関係

基本的な編集

・文書の作成・保存・編集・印刷
・ファイルサーバーの利用方法
・日本語の入力など

インターネット(1)

・インターネットの概要の理解
・サーチエンジンを用いた情報の検索

インターネット(2)

・インターネットの問題点、危険性、マナー
・コンピューターウイルス、ワーム、トロイの木馬
・e-mail プログラムの設定と利用

6〜8

統合型ソフトウエア(1):
 ワードプロセッサー環境

・統合型ソフトウエアの意味
・異なる環境の混在方法
・AppleWorksのワードプロセッサーの基本機能
・AppleWorksのワードプロセッサーの応用機能
・文章の作成実習
・アウトライン形式とその利用
・より高度なワードプロセッサー(Microsoft Word)とその功罪

統合型ソフトウエア(2):
 表計算環境

・表計算とは?
・表計算環境の利用実習
・グラフの作成
・より高度な表計算ソフト(Microsoft Excel)とその功罪

10

統合型ソフトウエア(3):
 グラフィクス環境

・グラフィクスの種類とその使い分け
・ペイント形式とドロー形式の双方について、作成実習
・ワードプロセッサー、表計算、グラフィクスの全てを使用した文書の作成実習
・フォトレタッチ

11

プレゼンテーション(1)

・コンピューターを用いたプレゼンテーション
・Microsoft PowerPoint の紹介
・プレゼンテーション資料の作成実習

12

プレゼンテーション(2)

・前回作成した資料を用いた発表会

13

データベース(1)

・データベースのデータ構造:レコードとフィールド
・Filemaker の紹介
・データの作成
・データの検索とソート
・他のソフトウエアとのデータのやりとり(取り込みと書き出し)
・表計算とデータベースの使い分け

14

データベース(2)

・具体的なデータを用いた、データベースの構築

15

まとめと発展

・これまでの総括、および発展的話題

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自然現象のモデル化とその解析(Modeling and Analysis in Natural Science)

担当
南部 徳盛
笹野 一洋
宮下 哲 (物理学教室)
 
開設時間
後期:金曜 10:30 - 12:00
 
キーワード
線形常微分方程式,解の存在定理と一意性,偏微分方程式,Fourier解析,Fourier級数,Fourier変換,スペクトル,変分法,拡散方程式,波動方程式
 
一般学習目標(授業の位置付け)
身の回りの自然現象を理解するにはどうしたらよいだろうか?まず,現象を良く観察・測定することは勿論である.つぎに,得られた情報をもとに現象をモデル化する必要がある.ここで物理学的,化学的,生物学的洞察が必要になる.定量的に定式化されたモデルは数学による取り扱いが可能になる.数学的モデルによって現象の解析が可能になり,モデルが実際の系を良く記述できるかでモデルが評価できる.現象をうまく表すモデルを解析することで現象理解をより深めることができ,応用が開ける.この繰り返しにより自然科学が発展してきた.
この授業では微分方程式を縦糸として自然現象をどのようにしてモデル化するのか,またその解析方法について学ぶ.
 
達成目標
 
授業の形式
板書およびプロジェクターを使った講義形式で行う.
 
成績評価の方法
期末試験を予定しているが,詳しくは初回の講義で説明する.
 
教科書/参考書
下記の本を一応あげておくが,正式には初回の授業で指示する.

デヴィウッド・バージェス,モラグ・ボリー著 垣田高夫,大町比作栄訳 「微分方程式で数学モデルを作ろう」 日本評論社

 
メッセージ
数式を嫌悪する人を良く見かける.しかし,自然科学を志す以上,現象の定量的な関係を理解する能力は不可欠である.数式は言葉である.重要なのは数式が「何を意味しているのか」を理解することである.この授業を通じてこの能力を身につけてほしい.また,自然科学での数学の重要性も認識して欲しい.
手元にパーソナルコンピュータがあれば,数学モデルの解析が簡単でおもしろいものとなる.興味のある人は講師に相談して欲しい.時間があれば授業中に説明する.
 
備考
授業計画はあくまで計画であり,受講者の理解程度により変更する.
 
授業計画
 


(日時)

主題と位置付け(担当)

学習方法と内容


(10/11)

微分方程式で表される数学モデルについて(南部)

人口問題の数学モデルとしての微分方程式を導く.成長現象と減衰現象に対応する微分方程式を導き,その解からモデルの妥当性を調べる.


(10/18)

変数分離型微分方程式について(南部)

変数分離型を導くいくつかの数学モデルを取り上げる.刺激に対する反応,抑制された成長モデル等の微分方程式を導き,それを分析する.


(10/25)

1階線形微分方程式について(南部)

線形1階微分方程式を導くいくつかの数学モデルを取り上げる.美術品の贋作問題を微分方程式を用いて解決する.


(11/1)

2階の微分方程式について(南部)

線形2階微分方程式を導くいくつかの数学モデルを取り上げる.定数係数の線形2階微分方程式の解を求め,その解の性質を調べる.


(11/8)

微分方程式の解の存在定理と一意性について(南部)

1階の微分方程式の解の存在定理と解の一意性に関する定理を取り上げる.定理の証明の概要と定理の意味を説明する.


(11/15)

Fourier解析(Fourier級数)(笹野)

任意の滑らかな周期関数がFourier級数で表すことができること(Fourierの定理)を説明する.


(11/23)

Fourier解析(Fourier級数)(笹野)

Fourier級数の性質について説明する.


(11/29)

Fourier 解析(Fourier積分)(笹野)

三角関数の複素数表示を説明したあと,Fourier級数を周期のない関数に拡大する(Fourier変換).


(12/6)

Fourier解析(Fourier積分)(笹野)

Fourier変換の性質について説明する.

10
(12/13)

Fourier解析(Laplace変換)(笹野)

Laplace変換を定義し,この性質を説明する.Laplace変換を使うことで線形常微分方程式が形式的に解けることを説明する.

11
(12/20)

偏微分方程式(拡散方程式)(宮下)

熱伝導について考える.連続の方程式,Fickの法則を説明した後,偏微分方程式の1つである拡散方程式を導く.この形の方程式が物質の拡散も記述できることを説明する.

12
(1/10)

偏微分方程式(拡散方程式)(宮下)

簡単な系について拡散方程式を解く方法を説明する.その解により温度分布が時間とともにどのように変わっていくかを調べる.拡散定数の意味について考える.

13
(1/17)

偏微分方程式(波動方程式)(宮下)

弦の振動をモデルとし,質点の運動方程式から波動方程式を導く.波動方程式の解の性質を説明した後,初期条件と境界条件を使って解を求める.Fourier解析の知識を使ってスペクトルについて説明する.

14
(1/24)

変分法とはなにか(宮下)

「自然は無駄をきらう」という「信念」のもとに,美しい自然法則が導かれる.フェルマーの原理を例に変分法について説明し,Euler-Lagrangeの方程式を求める.

15
(1/31)

変分法の応用(宮下)

Euler-Lagrangeの方程式を使って最速降下曲線,最小回転面の問題を紹介する.最後にLagrangeの運動方程式について説明し,解析力学の入門とする.

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