富山大学 清水貴美子研究室
(医薬理工学環・理工学研究科)
高次脳機能の概日リズム制御メカニズムの解明
当研究室(神経行動生化学教室)では、記憶形成、情動制御の日周変動システムに、分子・細胞・行動の多方面からアプローチしています。
SHIMIZU LABORATORY | University of Toyama
当研究室(神経行動生化学教室)では、記憶形成、情動制御の日周変動システムに、分子・細胞・行動の多方面からアプローチしています。
海馬におけるSCOP分子の時刻依存的な変化が、記憶に不可欠なK-Ras-ERK-CREB経路を制御していることを解明しました。また、マウスの不安様行動も時刻依存的に変化し、扁桃体のSCOPがこの変動を作っていることを明らかにしました。現在は、さらにそのメカニズムの深掘りを進めています。
左の図は、物体認識学習後の長期記憶形成が昼夜で異なるメカニズムを示したものです。長期記憶のパフォーマンスは時刻によって異なり、夜行性のマウスの場合、夜に学習すると長期記憶の成績が良いです。
海馬におけるSCOP及びSCOPと結合しているK-Rasの量が、昼は少なく夜は多く存在します。SCOPが多いと下流で活性化できるERK/MAPK, CRE-mediated
translationの量が増えるために記憶の固定化がされやすくなります(Shimizu et al. Nature
Communications)。また、扁桃体のSCOP量の増減によりマウスの不安様行動が変化します (Nakano et al. Scientific
Reports)。ニホンザルを用いた実験でも、記憶能力に日周変化があることや、記憶能力の増強に海馬のSCOPが必要であることを明らかにしました (Shimizu et al.
Molecular Brain)。
ニューロステロイドとは、脳内でコレステロールから合成されるステロイドホルモンの総称です。 我々は、ニューロステロイドの一種、7α-ヒドロキシプレグネノロン (7α-hydroxy-pregnenolone) と 7α-ヒドロキシデヒドロエピアンドロステロン (7α-hydroxy-dehydroepiandrosterone) が 空間記憶を長期間維持するために必要であることを見出しました。この時、海馬の神経樹状突起スパインの変化を伴います。これらのニューロステロイドを合成できないマウスでは、記憶は一旦形成されるのですが長期間維持することができなくなります。これらのニューロステロイドが、どのような作用機序で記憶の維持に働くのか、現在そのメカニズムを明らかにしようとしています。7α-OH-Pregや7α-OH-DHEAなどのニューロステロイドが、海馬の神経スパイン密度を上昇させ、遠隔空間記憶を長期維持するメカニズム、および、マウスの不安様行動や鬱様行動の制御に関わるメカニズムについて、研究を展開しています。
神経細胞のシナプスを可視化し、神経活動依存的な変化や時刻依存的な変化の可視化を目指しています。
自閉症に伴う睡眠障害がどのようなメカニズムで起こるのかを明らかにすることにより、自閉症と体内時計とのクロストークを明らかにし、その症状緩和を目指しています。