北陸繊維産業の新事業進出とその方向性
T、はじめに
貿易摩擦もグローバル化も他の産業に先駆けて経験してきた日本の繊維産業であるが、現在日本のほとんどの製造業が対応を迫られている中国製品との競合についても真っ先に経験してきた。従がって繊維産業に属する各企業がどのような戦略によって近年の環境変化に対応してきたかは、他産業にとっても示唆する所が大きいと考えられる。
本稿は、拙稿「北陸繊維産業の非衣料分野への展開と制度的含意」1)(以下前稿)に引き続き、近年の北陸の繊維関連産業の新事業進出とその方向性について、個別事例の観察をもとに分析したものである。ただし以下の点で前稿と異なる。
第1に新事業展開の方向性について、技術的シーズと製品ニーズの両面から整理を試みている。第2に前稿は既に実績のある事業展開を中心に扱ったが、本稿では近年始まった取り組みも含めて考える。第3に「非衣料」のみならず「非繊維」も、また依然として重要な衣料分野での製品開発も視野に入れる。そして第4に石川・福井両県企業に加えて、前稿で全く触れなかった富山県企業にも注目する。
なお事業展開についての資料は、聞取り調査の際に許可を頂いたもの以外は、すべて既に一般に公開されているものに依拠している。
U、活路としての機能性、非衣料、非繊維
厳しい繊維不況の中で生き残りを図る方向性として、きわめて多くの関係者が指摘するのが機能性の強化、そして非衣料分野への事業展開である。その理由については前稿でも触れたが、以下で簡潔に整理してみる。
衣料用繊維製品の競争力を規定するものとして、価格と基本的品質以外に2つの要素がある。第1はデザインに具現されるファッション性・感性であり、第2は強度・弾性・軽さ・防水・透湿など、様々な物理的・化学的性質で測られる機能性である2)。
北陸の繊維産地は織布・染色加工などいわゆる川中部門が主体であるが、従来から合繊メーカーの糸の開発と連動して微細加工技術を磨き、東アジア諸国との差別化を実現してきた3)。これが競争力に結びつくのは主として品質の高さ、そして機能性向上を通してである。これに対しファッション性や感性にはどうしても客観的に評価できない部分が多く、差別化が困難である。
さらにいわゆる産業用繊維製品4)の場合にはより厳密な数値によるスペック評価が求められ、ミクロの加工技術が競争力に結びつく度合いが強い。実は全国単位でみた場合、日本の産業用繊維製品の生産は既に衣料用を凌いでおり(図−1)、北陸など地方の繊維産地でもここに活路を見出そうとする企業は多い。またWでみるように繊維の製造技術を非衣料のみならず非繊維の分野にも生かす事例もある。
V、北陸の諸事例と新事業展開の方向性
さて、機能性衣料といっても考えられる機能はきわめて多様である。まして「非衣料」「非繊維」となるとあらゆる用途が考えられる。そのような広い可能性の中での新事業展開に方向性などあるのだろうか。筆者は北陸の多様な事例を分析した結果、そこには一定の方向性があると考えた。
まず新事業を展開する上で活用する技術シーズについては、2つのキー・テクノロジーが中心になっていると考えられる5)。その第1は、「高強度」である。製品として強みを持つ場合は、たんなる強度だけではなく「強くて軽い」「強くて弾性がある」など、他の機能性と組み合わされていることが多い。ただし強度については、やはり川上の糸段階での開発の比重が大きい。しかし、高密度織り、3軸織り、後にみる炭素繊維開繊など、川中部門での貢献も無視はできない。これは織布の技術の系譜に属する。
キー・テクノロジーの第2は「表面改質」である。これは生地の表面に、防水・防臭・防炎・防電磁波・防紫外線・保温・透湿・起毛など様々な性質を持たせる技術であり、表面加工とそれに対応した素材開発から成っている6)。これは川中でも主として染色加工の技術の系譜に属するものである。これを踏まえて、北陸企業の事業展開事例を整理したのが表−1である。
まず技術的シーズについては、上の2つのキー・テクノロジーに加え、その他の技術に分類した。また製品ニーズとして、繊維が関わる度合いが強いヘルスケア・環境関連製品をとくに区別した。ビジョンなどで技術を語る場合、「IT」「航空宇宙」など他にも多用されるキーワードがあるが、ここでは思い切って北陸の繊維関連産業で事例の多いものを中心にした。
全体を非衣料と機能性衣料に分けたが、非衣料の中には介護用品のように衣料との境界領域に位置すると思われるものから、建設用繊維のように衣料との技術的連続性がほとんどないものまで様々な技術が含まれている。
高強度を活かした非衣料分野としては、まず前稿でとりあげたA社7)に代表される土木・建設用繊維資材が挙げられる。むろん強度のみではなく、透水の調節など用途に応じた機能性が併せて求められる分野である。
航空機用資材などに使用されるCFRP(炭素繊維強化プラスチック)は、軽さと強さの両方を追求した結果金属に代わって用いられつつある素材であるが、福井県には3軸織りによってさらに強度を増す技術を開発した企業がある。前稿でとりあげたB社のプリンター用インクリボンも高密度織りによる強度が技術の基盤になっており、その技術はスポーツウェア製造にフィードバックされている8)。
スポーツウェアの中でも生死に関わる度合いの強いパラグライダーや登山服の生地は、とりわけ高い機能が要求される。両者に要求される機能は軽さと強度の両立であり、後者の場合には保温や防水も重要である。
表面改質技術による非衣料分野進出事例は多彩だが、比較的早い時期から石川県・福井県の大手染色加工企業が行なっているのが、起毛技術を活用して柔らかな触感を実現したカーシートの製造である。この分野には耐光や防汚、タバコ防融など他の表面加工技術も利用されている9)。カーシートで最大シェアを持つのは前稿で触れたC社10)だが、同社は建物の内板と外板の間に挟んで保温透湿機能を発揮する住宅用シートや、減量加工技術と金属メッキ技術を組み合わせて開発した電磁波シールド材など多様な製品を開発している。防臭剤や特殊塗料11)を開発している企業もあるが、これは表面改質の薬剤部分が独立したものといえる。漁礁についてはWで詳述する。
ヘルスケア・環境関連製品は、衣料・非衣料の両分野にまたがってみられる。C社は人工血管で、Wで触れるF社はタバコ用フィルターでそれぞれトップシェアを保持している。環境関連では、福井県の企業が保水シートを開発してサウジアラビアの砂漠緑化プロジェクトに参加している事例がある。
オムツやエプロンなどの介護用品にも、WのD社の例で紹介する様々な表面加工技術応用されている。また福井県の織布企業が開発した車椅子用の雨具は、細い糸を高密度で織ることによって軽さ・柔らかさ・撥水性を兼ね備えている。表−1の加齢臭防止加工や抗アトピー加工を実現したG社の技術についてはWで詳述したい。
生地表面に防水・透湿など様々な機能を付与する複合薄幕製品の技術で知られる石川県の染色加工企業は、保温・防水・強度など多くの機能性が要求されるスキーウェア用生地等に従来から強みを持ってきた。さらに、温度や湿度の調整機能を持つ生地など、化学企業等と共同で様々な機能性生地を開発している。
その他、環境関連技術ではリサイクル繊維や生分解性繊維が注目されている。前者はペットボトルをポリエステル繊維にリサイクルするものであり、糸メーカー各社がとりくんでいるが、北陸でもA社などが行なっている。後者はいわゆる「土に還る繊維」である。和紙の原料を用いた素材を製品化している企業もあり、出来上がった衣料は風合いにも優れている。
また繊維以外の多くの業界にもみられることだが、本業から派生したと思われる物流管理やグラフィックなどのソフトウェア開発が事業の柱に育っている企業もある。CFRP開繊、光ファイバーについては、いずれもWで触れたい。
W、個別事例分析
前稿では以前から非衣料分野に進出して実績をあげていたA、B、C3社の事例分析を行なったが、ここでは近年新事業が業績をあげ始めたD社、ファブレスの機械設計企業として繊維業界に関わりを持つE社、その事業構成が繊維業界の取引関係の変化を反映している糸メーカーのF社、そして本業の衣料製品でも好業績をあげつつ新事業に取組むG社をとりあげてみたい。
いずれも2001年〜2002年初めに行なった聞き取り調査を、会社資料や新聞記事等で補足してまとめたものである。
〔D社〕
D社は福井県の大手染色加工企業である。依然として染色の委託加工が中心事業だが、10年以上前から開発に取組んできた漁礁などの水産資材部門がここ数年具体化してきた。もとになっているのは、樹脂の上に繊維を均一に植毛するための静電植毛技術である。この技術を応用して、海底に沈めるコンクリートの漁礁本体に細かい合繊糸を植え込み、珪藻類を繁茂させてプランクトンを集めるのである。2001年には浮力体とロープなどを組み合わせた、海中の中層に浮かせる漁礁の設置も行なうようになった。
その他介護用品や防臭剤、寝具の開発にも力を入れている。オムツ、シーツ、エプロン、サポーターなどの介護用品には吸水、防水、防汚、滑り止めなどの表面加工技術が活かされている。
新事業が従来の衣料製品の委託加工ともっとも異なるのは、マーケティングの重要性である。メーカーに製品を渡せばよい委託加工と異なり、ユーザーである顧客と直接接触して、ニーズを汲み取りつつ製品をアピールしなければならない。現在社内に介護部隊、寝具部隊を設置してマーケティングを強化しているところである。
〔E社〕
E社は産業機械や計測・研究開発機器の販売と、省力化・自動化機械の設計を行なっている、従業員約20人の福井県の企業である。設計事業の場合、近辺の鉄工所に生産をアウトソーシングして、設計者が出向いて生産を行なう。いわゆるファブレス企業である。これまで設計事業の顧客はメガネ、電子部品、化学などの業界が多く、繊維は少なかった。
E社は福井県工業試験場から検査機器や試作機の設計をしばしば依頼される、出入り業者である。その縁で10年ほど前に炭素繊維の開繊加工について相談を受けて共同開発に取り組み、約2年前に使える機械が完成した。開発したのは、数万本のフィラメントを束ねた炭素繊維原糸をテープ状に平たくする(図−2)開繊装置と、それを織物にする開繊糸製織装置である。この織物を樹脂で固めて、炭素繊維強化プラスチック(CFRP)を製造する。
原糸を平たくするには様々な方法があるが、E社が開発したのは空気を使う方法であり、他の方法(例えば円錐形のロール使用)に比べ広く均一な開繊が可能である12)。また炭素繊維は引張りには強いが曲げには極端に弱く、一般の織機で織ることは不可能である13)。開繊糸に曲げの圧力を極力かけずに織ることを可能にしたのが開繊糸製織装置である。
どちらの機械も基本特許を工業試験場が取得し、E社は周辺特許を申請しているところである。製作された機械は糸メーカーや県内企業数社に納入されている。
樹脂で固める前に開繊するメリットは3つある。第1が熱可塑性樹脂を使用できる点である。樹脂には熱硬化性と熱可塑性の2種類あるが、後者は繊維に染み込みにくいため、従来はCFRPを作るのに熱硬化性樹脂しか使えなかった。そのため高圧加工の設備が必要になり、高いコストがかかっていた。また熱硬化性樹脂は樹脂の2割程度しか占めないため、組み合わせ可能な樹脂の種類が少なかった。開繊することによって熱可塑性樹脂を染み込ませることが可能になり、コスト低下とともに多様な性質(例えば耐高温)の複合材料ができる可能性が開けた。
メリットの第2は同じ原糸から広い面積のCFRPが製造可能になり、コスト引き下げに貢献できることである。第3には軽くて薄いことを活かした用途が広がる。開繊CFRPは現在、燃料用・救急用のボンベや風力発電の羽などの補強材として実用化されている。
まだ試されていない用途がたくさんあるはずだが、様々な樹脂との組み合わせ試験を行なう施設が近隣でなかなかみつからないのが悩みである。
〔F社富山工場〕
F社は大手の糸メーカーであり、戦後間もなく富山市で衣料用アセテート繊維の生産を始めた。当時富山を選んだ理由は豊富な電力と水、そして北陸の繊維産地に近いことであった。
その後産業構造変化に伴って製品構成を変化させてきた。様々な化学製品を生産しているが、プラスチック製光ファイバーとタバコ用フィルターで日本でトップのシェアを占めている14)。なおF社の国内工場の主力製品は、富山工場が後述のようにアクリル樹脂とアセテート繊維、広島県の工場がアクリル樹脂とアクリル繊維、愛知県の工場がポリエステル繊維や炭素繊維などである。
富山工場の製品のうち、重さで測って4割強がアセテート繊維だが、うち約3/5はタバコ用フィルターであり、残りが衣料用である。タバコ用フィルターには様々な素材があるが、喫味の点でアセテートが断然優れているという。衣料用アセテート繊維は、戦後生産性に優る合成繊維に急速に代替されていったが、海外製の合繊製品が溢れる現在、かえってニッチの高級ゾーン向けに産地でも重宝がられている。
同じく4割強を占めるのがアクリル樹脂である。強度と光透過性に優れるアクリル樹脂は電飾パネルやAV機器の表示板、航空機の窓や水族館の水槽などに用いられているが、プラスチック製光ファイバーもここに含まれる15)。光ファイバーの製造には2つの点で繊維の技術・ノウハウが活かされている。第1は合成・重合などの化学的反応の技術であり、これはアクリルなど樹脂全般に当てはまる。第2は溶解した物質を固める際に細かい形を与える「賦型」と呼ばれる技術である。
光ファイバーには石英系とプラスチック系の2種類がある。量的には光の伝送距離に優る石英系が圧倒的な割合を占めるが、弱点もある。石英系の弱点の第1は曲げに弱いことである。第2は繊維状にするためには極細にする必要があり、接合などの加工が難しいことである。
これを裏返したものがプラスチック系の長所になる。プラスチック系は曲げが容易なため機械の内部に走らせることができるし、様々な太さで製造可能である。現在多用されているのは音響機器の配線(銅線につきもののノイズがない)や装飾用である。通信用としても、将来ホームLANが普及した場合、幹線は石英系だがプラスチック系も建物周辺や屋内に使われる可能性が高い。曲げの容易さに加え、極細である必要がないため施工業者が扱いやすいからである。
F社富山工場の事業展開は、タバコフィルターや光ファイバーについては非衣料、その他のアクリル樹脂については非繊維の事例である。当初の立地要因の一つであった川中業者との取引関係は一部継続しているものの、新事業展開の歴史とともに薄らいできたといえる。
〔G社〕
G社は従業員約35名の富山県の企業である。マイクロカプセル附着加工で知られるG社であるが、本業であるニット製品の製造・販売も好調であり、海外製品にいかに対応するかという点からも示唆を含んでいるので、こちらから触れねばならない16)。
G社では古い機械を改造した、他社のコンピューター搭載機よりはるかに安く生産性の高い機械をそろえている。さらに糸も機械に合わせて別注している。品質への貢献に加え、長時間機械を止めなくても糸が切れないため、より高い生産性をあげることができる。そして糸を大量に発注することによってもコストを引き下げている。G社は(マイクロカプセル事業でも同様だが)原材料などについて取引相手に積極的に技術的提案を行い、「お互いに世界で他にない製品をつくる」とともに、大きなロットで注文してコストを引き下げている。
これらの工夫の結果、国内で高品質・低コストの生産が可能になった。今後の海外展開は全く考えていないという。G社によると工場を海外に移転した企業は、やがて現地企業との競争で疲弊する可能性が高い。海外生産が可能な製品ならば、現地企業が類似品を作るのもまた可能だからである。G社のデザイン力は有名ブランドの指定工場になるほど定評があるが、企業としての生命線はあくまでニット素材の開発力であり、高品質・低コストの生産システムである。
さてマイクロカプセル技術だが、これは溶液を注入した多孔質のマイクロカプセルを衣類に附着させ、防臭・坑菌・防ダニ・防蚊・保湿などの機能を持たせる加工技術である。難しいのはマイクロカプセルを噴霧し、毛細管現象を利用して吸着させる工程である。
他の機能付与の方法(糸への練りこみ、染めやコーティングによるもの)と異なるのは、完成品の衣類に対して用いることができる点である。そのためフリルやレースなどの付属品にも効果を及ぼすことができる。また素材を選ばず、素材本来の風合いを損ねることがない。様々な溶液が使用可能であり、ヒノキやヨモギのエキスなど天然物質が活用されている。
取り組みのきっかけは、政府補助金による新技術開発の話をもちかけられたことである。今何が求められているか考えたところ、子供のアトピーの深刻な現状に思い至った。それが抗菌・防ダニ効果を持ち、肌に爽快感を与える抗アトピー加工技術の開発に結びついた。当初は注文が少なかったが、キャラクターグッズを販売しているゲーム機関連企業から大量の注文があり(ぬいぐるみは「ダニの巣」といわれており、防ダニ加工のニーズが高い)、軌道に乗る一因になった。
その後、女性向けに肌の保湿効果を持たせる加工や、加齢臭(いわゆる「おやじ臭さ」)防止加工などを開発した。夏には防蚊加工の需要が高い。小売業者が持ち込む衣料製品(ほとんどが海外製)を加工しており、年間100万点を依頼する業者もある。
X、おわりに
従業者数や企業数、輸入浸透率の変化などマクロの指標で見れば斜陽産業である日本の繊維産業であるが、これまで培ってきた技術を活かして新事業を展開している企業もあり、Vでみたようにそこには一定の方向性がある。またG社のように衣料部門で競争力のある製品を開発している企業もある。
共通するのは、海外の量産品と競合しない、高い技術力に裏付けられた製品開発である。ただし単純量産に対峙して多用される「多品種少量生産」というキーワードについては、多くの関係者が違和感を持っているようである。少量生産で高付加価値が期待できる高級ゾーンには限りがある上に、イタリアを中心とするヨーロッパ諸国が圧倒的なブランド力を持っている。
表面改質に多様な技術的シーズを持つ染色加工企業は無数のニッチ製品を開発しているが、量産につながる柱がなくては苦しい。E社の開繊糸製織装置の場合も、曲げの圧力をかけずに「ある程度の速さで」織ることができるのが強みであり、低速でよければもともと難しくない。G社のニット製品は、高品質に加えて量産によるコストの低さがあって初めて高い競争力を保持している。
以前筆者が機能性メッキ加工に優れる富山県のメッキ企業を取材した際、単純量産でも多品種少量生産でもなく、量を確保しながら変化に素早く対応する「変種変量生産」が競争力の源であるとの指摘を受けたが、多くの場合、繊維産業にも同じことが当てはまるのではないだろうか。
注
1.拙稿(2000)。
2.もっとも感性と機能性は厳密に区分できるものではない。衣料の風合いや軽さなどは両者の要素を持っている。
3.黒木(1998)、北陸経済研究所(1993)(1994)などを参照。
4.衣料も産業だから「産業用」という名称は奇異に見えるかも知れないが、繊維業界では繊維製品のうち「衣料用」「インテリア用」「家庭用」(寝具、ふとんなど)を除くものを産業用と呼ぶことが定着している。
5.キー・テクノロジーについては福井大学地域共同研究センターでの聞取り調査(2001年9月11日)の際に、堀照夫先生から多くの示唆を頂いた。
6.素材開発を糸メーカーや総合化学企業が行なう場合でも、染色加工企業から提案することも多い(石川県の染色加工企業への取材より)。
7.詳しくは拙稿pp276-277。
8.拙稿pp277-279。
9.産業技術伝承研究会(2000)p393。
10.拙稿p279。
11.石川県の染色加工企業が開発したもので、太陽光を効率よく反射することで建物などの内部の温度上昇を防ぐ効果がある。
12.同じ機械でガラス繊維の開繊も試みたところ、容易にできたとのことである。
13.いわゆる「撚糸」も不可能である。従がって原糸はフィラメントを樹脂で緩やかに固めた状態である。
14.北陸電力の資料によると、タバコ用フィルターで50%、プラスチック製光ファイバーでは90%のシェアを持っている。
15.ただし製品の性質上、重さで測ると占める比重はごく小さい(0.1%程度)。
16.G社社長は、「マイクロカプセル事業に頼って本業を軽視する気は絶対にない」ことを繰り返し強調していた。
参考文献
黒木敏雄「北陸産地の歩んだ道」『化繊月報』1998年3月。
小山英之「北陸産地構造不況の問題点と2000年の課題」『化繊月報』2000年1月。
「激変する国際合繊情勢と北陸産地の対応」『化繊月報』2001年3月。
産地技術伝承研究会『長繊維織物の製織と染色加工』福井県ファッション産業振興基金協会、2000年。
富沢修身『構造調整の産業分析』創風社、1998年。
『日本経済新聞』(本稿ではすべて北陸地方版)。
福井県繊維協会「2000年時代の福井産地の進路」1999年11月。
福井県繊維産業振興協議会「福井県繊維産業21世紀ビジョン」1999年2月。
藤村修三『半導体立国ふたたび』日刊工業新聞社、2000年。
北陸経済研究所「北陸の繊維工業(織物業)」『北陸経済研究』1993年10月
「北陸の繊維工業(染色整理業・ニット製造業)」『北陸経済研究』1994年1月。『北陸3県会社要覧・2002』2001年。
北陸産業活性化センター『北陸の元気な企業50社』北陸経済研究所、1996年。