平成21-23年度科学研究費補助金基盤研究(B)
ロシア極東再開発の潜在力と限界
ー中ロ経済相互依存関係から見る諸課題ー
富山大学極東地域研究センター:極東プロジェクト
課題番号:21402019
平成21-23年度科学研究費補助金基盤研究(B)
ロシア極東再開発の潜在力と限界
ー中ロ経済相互依存関係から見る諸課題ー
富山大学極東地域研究センター:極東プロジェクト
課題番号:21402019
極東プロジェクトとは、平成21年度より3年間の計画で行う私たちの科学研究費補助金基盤研究(B)「ロシア極東再開発の潜在力と限界 ー中ロ経済相互依存関係から見る諸課題ー」のことである。
ウラジオストクでは2012年にAPECサミットが開催される。それにあわせてロシア政府は、本格的なロシア極東開発計画中である。ロシア極東開発は、これまでも何度も計画されては実行されず、ロシア極東の住民の失望だけを残す結果となっていた。しかし、今回のAPECサミット開催にあわせたロシア極東開発計画「2013年までの極東ザバイカル地域長期発展プログラム」は、以前の計画とは、大きく基礎条件が異なる。新たな基礎条件とは、①中ロ経済相互依存関係が90年代に比べ格段に強く成っていること、②ロシアに地方開発に乗り出すだけの財政的基盤が確立し、政府の開発投資に余力ができたこと、③ロシアの移民関連政策が充実し、もはや安易な中国人移民脅威論が見られないこと、が挙げられる。
しかし、これらの諸条件がロシア極東再開発において開発を促進させる基礎条件になるかどうかについては、不安が残る。①中ロ経済相互依存関係の象徴であったロシアの森林資源の輸出と中国東北地方での加工という構図が、ロシアの丸太輸出への関税引き上げにより崩れるかもしれないこと、②現在世界的な金融不安のもと、ロシアの極東への投資が見直しされる懸念があること、③開発が進んだ場合でも、ロシア極東地方での労働力の中国人出稼ぎ労働者依存の高まりは、中国人移民脅威論を再燃させかねないし、代替的な中央アジア出稼ぎ労働者の誘致も十分に進んでいるとはいえないこと、など、検証すべき論点が残されている。
本研究課題では、APECサミット開催にあわせたロシア極東開発計画の進展を左右する諸条件を、①中ロ経済相互依存関係の変容(特に国境貿易を通じた木材加工を中心とする相互依存関係の変容)、②ロシア政府の極東開発への実行可能性(開発計画及び地方財政)、③ロシア極東の人手不足を補う外国人労働者誘致の可能性(なぜ出稼ぎ労働者はロシア極東を敬遠するか)、という3点から検証しようとするものである。
極東プロジェクトについて
研究代表者
堀江典生(富山大学)
研究分担者
辻美代(流通科学大学)
高屋和子(立命館大学)
ベロフ・アンドレイ(福井県立大学)
雲和広(一橋大学)
石川健(島根大学)
武田友加(早稲田大学)
堀内賢志(早稲田大学)
研究連携者
大津定美(大阪産業大学)
馬紅梅(松山大学)
道上真有(日本国際問題研究所)
研究協力者
朱永浩(環日本海経済研究所)
バクラーノフ・ピヨトル(太平洋地理学研究所)
リャザンツェフ・セルゲイ(社会政治研究所)
お問い合わせ
〒930-8555 富山市五福3190
富山大学極東地域研究センター 堀江 典生
Tel. 076-445-6436
E-mail: horie (at mark) eco.u-toyama.ac.jp
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・平成24年3月16日に 富山大学:東アジア「共生」学創成の学際的融合研究( CEAKS )主催のシンポジウム「中ロ国境地域:共生への期待と不安」(富山大学極東地域研究センター・一橋大学経済研究所ロシア研究センター共催/ 東北大学東北アジア研究センター・島根県立大学北東アジア研究センター・北海道大学グローバルCOEプログラム「境界研究の拠点形成:スラブ・ユーラシアと世界」後援)を開催しました。
おかげさまで参加者から高い評価を頂きました。32名の参加を頂きました。 遠路のご参加ありがとうございました。
全体講評の岩下明裕氏の本シンポジウム参加記はこちら。
当日の報告論文およびスライドは,当面,下記プログラムからダウンロードできます。ご参加の方はご覧下さい。
開会挨拶 佐藤 幸男(CEAKS代表)
第一セッション:中ロ国境地域に見る共生への期待と不安
座長:堀江 典生(富山大学極東地域研究センター)
朱 永浩(環日本海経済研究所)
「中ロ越境国際複合一貫輸送と物流インフラ整備について−黒龍江省を中心に」
報告スライド(Session1-1ZHU.pdf)
辻 美代(流通科学大学総合政策学部)
「中露国境木材産業の共生・共栄」
報告論文(Session1-2TSUJI.pdf)スライド(Session1-2PTTsuji.pdf)
堀江 典生(富山大学極東地域研究センター)
「ロシア極東地域農業開発にみる共生の期待と不安」
報告論文(Session1-3HORIE.pdf)スライド(Session1-3horiePT.pdf)
堀内 賢志(早稲田大学アジア太平洋研究センター)
「ロシア極東開発と国境地域間関係の強化をめぐる政策動向」
報告論文(Session1-4HORIUCHI.pdf)
討論者:日野みどり(同志社大学グローバル・コミュニケーション学部)
福山秀夫(日本海事センター)
第二セッション:ロシア極東開発の成否を検証する
座長:道上 真有(新潟大学経済学部)
雲 和広(一橋大学経済研究所)
「ロシア極東地域における人口動態と地域開発政策」
報告論文(Session2-1KUMO.pdf)
武田 友加(一橋大学経済研究所)
「ロシア極東農村の就業と所得」
スライド(Session2-2TakedaPT.pdf)
ベロフ・アンドレイ(福井県立大学経済学部)
「ロシア財政投資政策と極東地域の位置づけについて」
報告論文(Session2-3BELOV.pdf)
スライド(Session2-3BelovPT.pdf)
討論者:石川健(島根大学法文学部)
大津定美(神戸大学名誉教授)
全体講評:岩下 明裕(北海道大学スラブ研究センター)
・平成23年10月23日、本科研費研究成果報告の場として、日本現代中国学会第61回全国学術大会において分科会B「農林業における中露経済関係」を組織しました。報告者は、研究分担者の辻美代、高屋和子、堀江典生の三名で、コメンテーターに加藤弘之(神戸大)先生を迎え、活発な議論が行われました。
日本現代中国学会第61回全国学術大会
分科会B「農林業における中露経済関係」
日時:平成23年10月23日10:00〜12:30
会場:近畿大学東大阪キャンパスEキャンパスA館(文芸学部)
座長:辻美代(流通科学大学)
報告者:辻美代「黒龍江省の木材産業とロシア産木材について」
高屋和子「中国の農業政策と対ロシア農業投資:黒龍江省を中心に」
堀江典生「ロシア極東地域農業と中国人労働者」
コメンテーター:加藤弘之(神戸大学)
・平成22年11月20日午後3時より東横インJr.富山駅前・会議室にて、極東プロジェクト第二回研究会を行います。詳しくはこちら。
話題提供
菅沼桂子(富山大学極東地域研究センター)
「外国直接投資のサハリン州への経済効果」
堀江典生(富山大学極東地域研究センター)
「ロシア極東地域農業発展と外国人労働者」
討論者
アンドレイ・ベロフ(福井県立大学経済学部)
大津定美(大阪産業大学)
参加自由ですが、会場の都合により、事前に堀江までご連絡ください。
・平成21年5月16日午後5時よりキャンパスプラザ京都6階第一講習室において、極東プロジェクト第一回研究会および研究打合せを行いました。
1. 話題提供 朱永浩(環日本海経済研究所)
「中ロ貿易の現状-黒龍江省を中心に」
2. 今後の研究実施方針について(研究打合せ)
今後もこうした研究会を開催する予定です。