地域創生 in TOYAMA 2018
〜地域をマナブこと,地域へツナグこと〜
ALL富山COC+の取組も終盤の4年目となり,地域志向を高める教育と地域課題解決力の開発が一定の形となった本事業の活動報告とCOC+事業の終了後を見据えた自立化を探ることを目的に,第一部のシンポジウムで基調講演とCOC+の取組状況の報告がおこなわれ,第二部の分科会では「地域企業の採用力向上」「地域協働活動のあり方」「学生の課題解決型人材育成」の3テーマに分かれた活動報告やディスカッションがおこなわれた。
この分科会は富山銀行と富山大学が開催した採用イノベーションスクールの結果報告を主旨としています。富山大学は地元就職率アップ,富山銀行では取引先企業の課題である深刻な人手不足の解消に対するソリューションの一助として本スクールを開催しました。県内から16名の経営者・人事採用担当者に参加いただき,神戸大学大学院服部先生の基調講演他,様々なワークショップ,グループ討議等を経て採用行動の分析や情報交換,悩みの共有等が行われ,人的ネットワークを構築したと聞いています。これを機会に企業の実際の採用率が実績としてもっと上がることを期待し,ヒューマンネットワークを通じ進化していってもらいたいと願っております。
採用イノベーションスクールの報告会ができることを感謝いたします。ALL富山COC+の事業は色々な形で発展できており,富山県内全体の様々な形がまとまりつつあると思います。この事業をこれまでまとめていただいた人たち,富山大学へスタッフを派遣した富山銀行,各大学スタッフ・コーディネーターの活躍,外部からの様々な支援に改めて感謝します。
現状における東京圏への年間転入超過が12万人と更に増え,地方の若者が出て行く流れを変えるために,各地域の関連機関が連携して若者の地域定着のあとに向けた積極的取組を進めていく必要があります。その意味でも採用イノベーションスクールの目指す若者の地域定着と人手不足という企業課題解決の取組は地域にとっても大変重要な取組となります。富山大学が中心となって進めてきた産学官金言によるCSVを目指した人材育成の手法も活用して地域における取組の輪をさらに拡げて欲しいです。若者の地域定着には地域資源や地域の強み,企業の技術力や魅力を知ってもらうことが大切であり,シビックプライドの醸成が大切です。各企業にとっては採用戦略,採用活動への取組みが重要となり,県内各地域に拡がることで若者の地域定着に繋がると思います。今後とも関係機関の皆さんが地域共通の課題を認識・共有して密接な信頼関係を構築しながら取組を進めていくことが必要です。北陸財務局は地域の取組を支援して参ります。
雇用に関する関心は全国的に高い。多様な働き方を選択できる社会をめざし働き方改革が進められ関連法案も整備されて周知説明をおこなっている。富山県の雇用情勢は10月の有効求人倍率1.93倍で,20数年ぶりの水準となっている。働く方側には選択幅が拡がるが,企業側からは人手不足感が強くなっている。その中で少しでもマッチングできるよう職場環境や仕事内容を丁寧に説明していただく,自社の魅力を上手に表現していただくことからお願いしている。皆様方におかれましては,働きやすい魅力ある職場づくりに向けて積極的に働き方改革に取り組んでいただければと思い,今回のイノベーションスクールで得た事例なども参考にして,自社の強み・魅力を積極的に発信していただき,一人でも多い若者が富山県内企業に就職を希望するよう祈念している。
富山大学COC+統括コーディネーター 特命准教授 尾山 真
富山大学と富山銀行との連携は平成16年からスタート,銀行職員の派遣や魚津・高岡・舟橋の地域連携プロジェクトに関わってもらい,COC+へ知見を生かしてもらっています。前年富山銀行の協力で製作した企業紹介冊子は高い評価を受けました。今年は採用イノベーションスクールを開講しました。服部先生の知見紹介や科学的に分析することはどう言うことか,採用の方向や考え方を講義いただき,スクール生のディスカッション等を行い,グループワークや個別企業の課題解決に向けた個別ゼミを経て今回の報告会へと至りました。スクール生の皆さんのアウトプットをどのような考えの変遷があってここへ辿り着いたかを聞き,自社の採用だけでなく大学教育という観点も報告を聞いてください。
前半発表として7社7人のスクール生が,各自3分間の持ち時間で,簡単な企業紹介に続け最終プレゼンテーションをおこなった。自社の採用課題や採用戦略の考察,取り組む採用手法や今後の展望などを発表した。
企業の皆様の採用イノベーションに対する研究・努力がヒシヒシと伝わってきました。自社の差別化戦略や集中戦略などの分析にあわせ、必要な人材を得るための悩みや学生のモヤモヤまでも細かく研究していることに驚かされました。本日の皆様の報告は,大学が求められる「あるべき社会人教育」として真摯に受け止め,求められている人材,人間力のある人材育成を大学への宿題として持ち帰りたいと思います。
一つ一つの発表が理にかなったモノで色々なモノを吸収して、それを具体的なモノとして落とし込んでもらったと改めて思った。幾つかの企業に共通していたポイントは,学生たちの納得性を作り込んでいたこと。私の友人の調査だが,一流のヘッドハンターに共通することは,求職者に対してちゃんと物語作りをしてあげられることだという。新卒者の場合は採用担当者がこのことをしてあげなければいけない。
後半発表として7社7人のスクール生が,前半と同様に各自3分間の持ち時間で自社の採用課題や採用戦略の考察,取り組む採用手法や今後の展望などの発表をおこなった。
富山へ移住して1年余になります。富山は人も企業も自然も素晴らしいのに宣伝に不得手で,東京では富山のことを知る人が少ないのが残念でしたが,今日のご発表を拝聴して,かなりできているのかなと感じました。私たち高専も入り口側の中学校卒業生,出口側の企業,編入学先の大学とのマッチングをしていかないと,入学生は減少し社会にフィットした学生を送り出せません。学生の就職の時には自分に合った会社を選びなさい、最初の1年2年でどういう人と付き合うのか大切だと言っています。また予測できない社会の変化に対応するために,自分が変われる会社に就職しなさいと教えています。近年の高専の入学生は中学新卒生だけでなく,高校卒業生や留学生の入学など多様化しています。多様化への適切な対応は組織の維持発展に不可欠です。本日発表していただいた各社は多様化に極めて適切に対応なされ,採用に対しましても真摯に取り組んでおられることが印象的でした。
売り手市場の今,求職者の行動パターンは効率性を追求し数をまわらず絞り込んで動いています。皆さんはこの発想をもった取組をしていただいたと思います。採用活動における選択と集中を様々な角度から取り組んでこられたと思います。全体を通じて,様々な角度から考えてきたことで「正しい問いを持てた」ことは皆さんの知力となったと思います。地域ブランドをつくるときに必要なのは地域のリーダーです。皆さんがリーダーとなりこの場だけでなく地域へ広く波及させていただきたいと思います。
富山大学鈴木副学長から14名のスクール生一人一人に,慰労の声がかけられた修了証が手渡された。
皆さん長時間ご苦労様でした。COC+では平成26年度から10%以上の地元学生定着に意欲的に取り組んでいます。様々な取組をおこない結果にコミットしていかなければいけません。採用イノベーションスクールもこの取組の一つです。大学は地方の色々な課題解決のために取組まなければいけません。人材が地方に残らないという課題解決のため科学的に取組んできたものでありました。課題を実際に自分たちで分析して解決策を見いだす場は重要です。このような場をもっと波及していかなければいけません。今後とも皆さんの応援をよろしくお願いいたします。