地域の産業政策における行政の役割は、行政自らが中心となって産業の誘致や推進を構想・実現することが主眼としていた従来型とは異なり、民間主体発意によるビジネスマインドの誘導やサポート、クラスター形成等による地域産業集積の活用等に期待が高まっている。つまり、ハードの産業政策からソフトの産業政策への方向転換が図られ、そのキーワードは「人」にあると言える。
さらに行政には、産業政策に加え、街をどのように創るか(=都市政策)、人をどのように育てるか(=教育政策)、環境政策、福祉政策等をどのように融合するかを中長期的観点に立ってマネジメントする役割が求められ、「地域が将来に向かって発展する道筋について市民等を先導する」という極めて重要な責務を担っている。
私たちの圏域においても、地域経済の疲弊や地域資源の保全等といった地域課題が顕在化する中で、自治体が先頭に立ち、高等教育機関・地域金融機関・民間企業が其々の論理を維持しながら、産業支援機関等をも連携に加えた体制づくりが必要である。
そういった中で、これまで高岡市と富山大学において共同で進めてきた「たかおか共創ビジネス研究所」の実績を踏まえ、とやま呉西圏域版の「とやま呉西圏域共創ビジネス研究所」を開催し、人材育成も含めた新たなビジネスの創出を目指すこととした。
段階を経ながら人材を育成することにより、ビジョン構築能力、リーダーシップ、意志力、行動力等の資質の習得及びプロジェクト創出による地域課題解決と地域経済の活性化の実現を展望し、地域の担い手の育成並びにCSVの醸成を目指している。