A1101> リン酸ガリウム共沈法
リン酸ガリウムを共沈剤として用いることにより,いくつかの微量元素を選択的に捕集できることをこれまで見出してきました。リン酸ガリウムはpH2.5付近から定量的に沈殿しますが,塩基性領域では再溶解してしまいます。リン酸ガリウムは,鉛(II),スズ(IV),インジウム(III)などをpH3付近で定量的に捕集できます。また,pH5付近でクロム(III)を定量的に捕集する一方,クロム(VI) をほとんど共沈しないことから,これらを分離することができます。一方で海水,排水などに多量に含まれるアルカリ金属,アルカリ土類金属などはほとんど捕集されず,これらをマトリックスとする試料水からの分離濃縮に優れています。なお,共沈剤であるリン酸ガリウムの存在は,原子吸光分析を顕著に妨害することはなく,適用性に優れています。
【関連研究】
B1103> 水中微量タリウムの迅速濃縮・定量法
B1201> 迅速共沈濃縮・原子吸光分析による微量鉛の定量法
【関連論文】
◇ Shigehiro Kagaya, Yasuko Araki, Yoshio Hori, Kiyoshi Hasegawa,, J. Ecotech. Res., 11(1), 7-11 (2005).
◇ Shigehiro Kagaya, Yasuko Araki, and Kiyoshi Hasegawa, Fresenius J. Anal. Chem., 366(8), 842-845(2000).
◇ Shigehiro Kagaya and Joichi Ueda, Bull. Chem. Soc. Jpn., 70(6), 1379-1383(1997).