A1301)水酸化物沈殿法

多元素を同時に捕集できる沈殿として,様々な金属水酸化物の沈殿が共沈剤として提出されています。しかし,工場廃水,海水等のよ うに,共存成分を大量に含む試料からの微量元素の分離・濃縮に適用すると,捕集が不完全であったり,沈殿が細かくなり操作が煩雑になる等の問題がありまし た。
 我々は,高塩濃度試料から多種の微量元素を同時に濃縮するため,複数の水酸化物を同時に沈殿させ,これを共沈剤として利用する「ハイブリッド共沈法」を 考案しました。例えば,水酸化イッテルビウム,水酸化ガリウム,水酸化マグネシウムの3種の沈殿を用いることにより,それぞれの沈殿が協働し,これまでに ない多元素捕集能力を発現することを見いだしました。
 現在,様々な沈殿のハイブリッド化による微量元素捕集能力の向上について研究を進めています。
 なお本研究は,(財)ソルト・サイエンス研究財団より助成を受けて実施しました。
 


Fig.1 イッテルビウム,ガリウム,そしてイッテルビウム・ガリウム・マグネシウムを沈殿させた時の各元素の回収率

 

B1204)排水中規 制元素の同時定量法

B1401)海洋深層水 を原料とした塩製品の微量元素含有 量の計測法

【関連論文】
Shigehiro Kagaya, Tatsuki Sagisaka, Satoshi Miwa, Kazuya Morioka, Kiyoshi Hasegawa, Bull. Chem. Soc. Jpn., 79(5), 717-724 (2006).