特別講演


GD学会のむかし・いま・これから


講演者:木下 冨雄((公財)国際高等研究所フェロー、京都大学名誉教授)
司 会:相馬 敏彦(広島大学)

 先日、学会長の西田さんと話をしていたら、最近、GD学会の会員数が減少して困惑しているという話が出てきました。私が生物学の経験法則として、群れのサイズはリニアに下がるのではなく、ある数字まで減少するとそこから後は離散的に激減するよと言いますと、西田さんも同じ危機意識を持たれていたようで、ではどうするかという話になりました。
  さらに私が、この話には学会設立の経緯が関わっているからねと言いますと、西田さんは若い会員はその当たりの知識を持っていないので、次の学会で話してくれないかということになってしまいました。古い話をするのは気が進まないのですか、西田さんに頼まれたら断る訳には参りません。それが今回の講演になりました。
 詳しい話は当日に譲りますが、皆さんの理解を進めるために、GD学会と社会心理学会を対比的に分析したいと思います。どちらも社会心理学の専門学会ですが、その生い立ちが少し異なり、それが両者の発展の経過に影響を与えていると思われるからです。
 では当日、富山でお会いするのを楽しみに。

講演者経歴:兵庫県出身。京都大学文学研究科修了。文学博士。
 卒業後、京都大学助手。大阪府立女子大学助教授を経て京都大学教授。
 退官後、甲子園大学学長を経て現職。
 日本社会心理学会元理事長、日本リスク研究学会元会長。

日時:大会2日目(10月20日(日)) 10:00-11:00

準備委員会企画シンポジウム


“ネット民”という集団のダイナミックスを探る


企 画 者:日本グループ・ダイナミックス学会第66回大会準備委員会
話題提供者:高  史明 (神奈川大学)
話題提供者:笹原 和俊 (名古屋大学)
話題提供者:寺口 司  (大阪大学)
指定討論者:三浦 麻子 (大阪大学)
指定討論者:村本 由紀子(東京大学)
司   会:尾崎 由佳 (東洋大学)

 SNSなどの普及は現代社会に何をもたらしたのだろうか。それはもはや必須の日常ツールと化している人も多いし、つぶやきに加えて写真や動画、urlのアップは、コミュニケーションを大いに変えた。広報、報告、連絡、相談、プロパガンダ、意見、娯楽、アピールなどといったあらゆる目的で利用されている。この利用がもたらす功罪は、心理学ではCMCという分野でさまざまな検討がなされてきたが、本学会が対象とする集団現象としては、いまだ充分に議論してこなかったと思われる。役立つ情報の急速拡散、援助や協力の一助を担う一方で、過激化、「炎上」現象をも引き起こす、つまり、”ネット民”と言う名の匿名可能で非対面の大規模集団は、何か未知な集団として検討するべき事象が存在するのだろうか? それとも従来の知見でカバーしきれるのだろうか?本企画は、このような議論を通して今後のグループ・ダイナミックス研究の行方を探る。
 始めに、高史明先生から「偏見・差別から見るネット社会のダイナミックス」について、笹原和俊先生から「エコーチェンバー化するSNSの計算社会科学」について、寺口司先生から「炎上から捉える『ネット社会』」というテーマについてそれぞれお話しいただく。そして、三浦麻子先生と村本由紀子先生のお二人からコメントをいただいた後、最後にフロアとの議論の機会を設ける。

日時:大会1日目(10月19日(土)) 13:15-15:15

 

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