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講義内容(シラバス)

先端機器分析特論U

授業科目名
(英文名)

先端機器分析特論U

担当教員(所属)

《富山大学大学院理工学研究部》
 (機器分析センター)小平憲一小野恭史
 (工学部)寺山清志黒田重靖佐伯淳安川洋生加賀谷重浩堀野良和
 (理学部)金森寛唐原一郎
《富山工業高等専門学校》袋布昌幹
《外部講師》(株)日立ハイテクノロジーズ:多持隆一郎和氣 泉
       (株)リガク:岸 證
             (株)島津総合分析試験センター:塩見紘一

開講日程

10月−12月 土曜日1,2限

単位数

2単位

連絡先(研究室、電話番号、電子メール等)

富山大学機器分析センター 076-445-6825

オフィスアワー(自由質問時間)

木曜日16時以降

授業のねらいとカリキュラム上の位置付け(一般学習目標)

   

先端科学技術の発展には、物質のナノレベルでの構造と機能に関する情報が重要である。本授業では、最新の大型分析機器を用いた物質の解析ならびに分析の原理と応用を解説する。又、演習では、機器分析取り扱いの実際を学修する。

達成目標

1.大型分析機器を理解できる
2.機器の原理を理解できる
3.機器を用いて、何ができるかを理解する
4.機器の取り扱いを理解できる
5.機器を用いた応用研究を模索できる

授業計画(授業の形式、スケジュール等)

第1回

大型分析機器とは 、 分析機器の得意・不得意・守備範囲について

分子構造解析その1 X線回析の基礎と応用

小平
袋布

 佐伯

第2回

分子構造解析その2 DNAシークエンサーを用いた遺伝子情報の解析

安川

第3回

分子構造解析その3 熱分析の基礎と応用

寺山

第4回

分子構造解析その4 化学・製薬産業における熱分析およびX線粉末法の応用

第5回

分子構造解析その5 核磁気共鳴を用いる分子構造解析の基礎と応用  

黒田

第6回

分子構造解析その6 光を用いた分析技術の基礎と応用 
UV-vis、FTIR、ラマン分光

金森

第7回

分子構造解析実習1 熱分析法

小野

第8回

分子構造解析実習2 核磁気共鳴装置

堀野

第9回

分離・分析その1 誘導結合プラズマ発光分光分析の基礎と応用

加賀谷

第10回

分離・分析その2 クロマトによる分離・分析の基礎と応用

塩見

第11回

分離・分析・構造解析その1 LC−MS/MS

和氣

第12回

顕微形態分析その1 走査電子顕微鏡の基礎と応用

多持

第13回

顕微形態分析実習1 低真空顕微鏡観察・遺伝子増幅とリアルタイム解析

小野

第14回

顕微形態分析実習2 共焦点レーザー顕微鏡観察

唐原

第15回

まとめ

 

キーワード

物理 化学 化学分析 大型分析機器

履修上の注意

物理・化学の基礎知識(大学卒業程度)を必要とする

教科書・参考書等

授業で指定する

成績評価の方法

出席とレポート

関連科目

物理 化学 固体物理 分析化学

備考

 

先端機器分析特論U:授業計画

主題と位置付け

学習方法と内容(講義概要)

・大型分析機器とは  (小平)

 ・分析機器の得意、不得意、守

 備範囲について   (袋布)

・分子構造解析その1 

   X線回析の基礎と応用

(佐伯)

・本講義のはじめとして、機器分析の定義と、富山大学機器分析センターとその所属・登録機器の概要を説明する。
・各分析機器の得意、不得意守備範囲について述べる。
・X線の波長は結晶構造と同程度であり干渉するために、X線回折法により結晶の構造をはじめとして、相の同定や結晶配向性、応力測定、格子定数変化等様々な現象を調べることが出来る。本講義ではその原理や基本的な粉末X線回折測定時における注意事項、ノウハウを示す。

分子構造解析その2
DNAシーケンサを用いた遺伝子情報の解析

(安川)

生物の遺伝子情報はA,G,C,Tの4種類の塩基でコードされており、これら4塩基の配列により遺伝子産物(タンパク質等)の機能が決められています。そのため塩基配列を解読することが遺伝子産物の機能を解明する第一歩となります。本講義は、塩基配列決定法に関する基本原理が理解でき、DNAオートシーケンサの機能が理解できるようになることをねらいとします。専門用語には注釈を加えながら、多くの方々が興味を持てるように講義をおこなう予定です。

分子構造解析その3 
熱分析の基礎と応用

(寺山)

我が国が世界で最初に開発した熱天秤の技法を中心に、各種熱分析法の基礎的原理、解析法を理解し、耐熱試験、熱劣化、原材料の検査・品質管理等への応用について知る。

分子構造解析その4 
化学・製薬産業における熱分析およびX線粉末法の応用

(岸)

薬物は通常有機物の個体であって、物理的および化学的性質の異なる多数の結晶多形が存在することが多々ある。この結晶多形の様々な性質を研究するため、いろいろの分析手法が使われる。本講義では製薬企業の研究室で新薬の探索から商品化に至るまでの過程で、薬物の物性評価に必要な熱分析及びX線粉末の様々な役割について述べる。

分子構造解析その5
核磁気共鳴を用いる分子構造解析の基礎と応用

(黒田)

分子の構造を決定する最も汎用的で重要なプロトン、炭素等の核磁気共鳴スペクトル測定装置の原理と、具体的なサンプルを用いてスペクトルの測定法を修得し、測定したスペクトルの解析により構造を決定する方法を修得する。

分子構造解析その6 
光を用いた分析技術の基礎と応用UV-vis、FTIR、ラマン分光
 

(金森)

可視紫外吸収スペクトルは、一般に電子遷移によって起きる光吸収である。一方、赤外線吸収(IR)とラマン散乱は、分子振動によって引き起こされる。これらのスペクトルから何が分かるか、どのような場合に有用か、解析はどのように行うか、について説明する。

分子構造解析実習1
熱分析法 

           (小野)

             

第3回、第4回で習得した原理に基づき、熱重量測定(TG)、示差熱分析(DTA)の基本的な測定方法を習得し、得られたデータの解析を行う。また、熱分析過程で試料から発生した気体をMS分析(TG−MS)にて同定を行う。

分子構造解析実習2 
核磁気共鳴装置

(堀野)

第5回で学習した核磁気共鳴装置(NMR)の基礎に基づき、 測定試料の調整法や各種測定手法を実際に行います。本講義では、 測定機器の操作方法等を単に覚えるだけでなく、 装置の原理と測定法を体系的に理解し応用能力を養います。また, 実際に得られたスペクトルから解析を行い構造決定の手法を学ぶとともに、 化合物特有の構造を核磁気共鳴スペクトルから決定できることを目的としています。

分離・分析その1 
誘導結合プラズマ発光分光分析の基礎と応用

(加賀谷)

誘導結合プラズマ発光分光分析(ICP-AES)は、水溶液中の元素定量に広く用いられています。測定対象元素が多く、希ガス、ハロゲン、窒素、酸素などを除く約70種の元素の同時定性・定量が可能で、検出可能濃度もppm〜ppb(10−3〜10−6 g/L)レベルと比較的高感度です。ここでは、原子発光の原理と装置の構造について概説するとともに、応用例をいくつか紹介します。

10

分離・分析その2
クロマトグラフィーによる分離・分析の基礎と応用

(塩見)

試料の分析において、どのような成分が、どのような状態で、どれだけあるかを分析する場合、ほとんどが未知物である。このような物質の定性・定量分析には、まず、分析前に目的物質を共存する多成分と分離したのち目的物質の分析行う。本講義では、物質の相互作用を利用して分離するクロマト法の分析原理、および応用事例を紹介する。

11

分離・分析・構造解析その1LC−MS/MS

(和氣)

本講義では、物質分析の基本である分子量を測る質量分析法の、最新科学技術の中での位置づけを理解する。多岐にわたる応用分野の中でも、特に、溶液試料を液体クロマトグラフ(liquid chromatography、LC)により試料分離した後にタンデム質量分析(tandem mass spectrometry、 MS/MS) 法にて検出するLC−MS/MS装置を中心とした分析原理、および応用事例を概観する。

12

顕微形態分析その1
走査電子顕微鏡の基礎と応用

(多持)

現在、材料解析は、大きく分けて、化学分析による物質同定解析と状態観察による形態観察に別れる。このうち、形態観察では、顕微鏡による解析が主流である。本講義では、表面観察用の大型分析機器である走査電子顕微鏡の原理から応用を示す。また、実際のフィールドでどのような解析で応用されているかを示し、走査電子顕微鏡の解析分野での位置付けや適用を報告すると共に、機器としての使用方法も合わせて解説する。

13

顕微形態分析実習1 
低真空顕微鏡観察、遺伝子増幅とリアルタイム解析

(小野)

「卓上低真空走査電子顕微」は従来のSEMではできなかった含水試料の数千倍程度の観察が非常に簡便にできるため、生物や食品、繊維など様々な試料の微細構造の観察に利用されている。本講義では、生物試料を観察すると共に、そこに含まれる遺伝子を、リアルタイム遺伝子増幅装置を用いて増幅し、解析する。

14

顕微形態分析実習2 
共焦点レーザー顕微鏡観察

(唐原)

共焦点レーザー顕微鏡は、細胞内の特定の分子を蛍光色素や蛍光抗体で標識し、その局在を観察するために用います。用途は蛍光観察法に限られますが、レーザー光源と共焦点光学系を用いることで、焦点面 (XY平面)と深さ(Z)方向の全ての方向で分解能を高め、光学顕微鏡の分解能の理論的限界に迫る分解能を実現し、いまや細胞レベルでの生命科学研究にとっては必須の機器となっています。この授業では、蛍光観察法の基礎の説明から実際の試料観察のデモまで行います。

15

まとめ

 

まとめとして、質疑応答をおこない、本講義で得た成果を検討する。