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研究内容RESEARCH

生体情報薬理学研究室では,下記のような研究を行っています。

1.疼痛慢性化機構の解明
 帯状疱疹後神経痛や坐骨神経痛などに代表される「神経障害性疼痛」は,末梢神経や中枢神経が障害されたり圧迫されることで起こる慢性疼痛疾患の一種です。これらの痛みは,本来の疼痛意義である組織障害の警告という意味は失われており,苦痛としての痛み自体が障害となり患者の生活の質(QOL)の著しい低下を引き起こしてしまいます。現在のところ慢性疼痛に有効な副作用の小さい鎮痛薬は少なく,痛みが慢性化するメカニズムも不明な点が多いことから,「慢性痛のメカニズムの解明」「新しい鎮痛薬の開発」「ヒトの慢性疼痛に適した動物モデルの確立」が課題となっています。
 当研究室では,様々な慢性疼痛モデルマウスを用い,行動薬理学・遺伝子工学などのさまざまなテクニックにより,痛みが慢性化するメカニズムの解明に取り組んでいます。

2.新規慢性疼痛治療薬の開発
 上記のような研究で痛みの慢性化に関わる分子を同定し,それに対する阻害剤等の生体機能性分子の設計・合成・行動薬理学的評価を行い,新しい慢性疼痛治療楽の創出に取り組んでいます(生体機能性分子工学研究室との共同研究)。現在,当研究室で明らかにした2つの新しい疼痛関連タンパクに関して,その阻害薬の開発を進めています。
 最近,我々のグループはPACAP(Pituitary Adenylate cyclase-activating porypeptide)とその受容体であるPAC1受容体が痛みの慢性化において極めて重要であることを見出し,新規PAC1受容体小分子アンタゴニストの開発に成功いたしました。当化合物は,種々のモデルマウスにおいて鎮痛作用を示すことをすでに明らかにしています。

3.痛みに伴う情動メカニズムの解明と創薬
 痛みによる「不快な情動体験」は,痛みの生体警告系の役割として重要な役割を担っています。しかしながら,神経障害性疼痛のように,疼痛が長期間持続するような場合,痛みによる「不安」,「うつ」などの不快な情動は,患者のQOLを低下させ,精神疾患の一つの原因にもなり,さらにはこの不快な体験によって痛みがさらに悪化するという悪循環を引き起こしてしまいます。したがって,痛みの感覚を取り除くような鎮痛薬だけではなく,情動的側面からの慢性疼痛治療アプローチは非常に重要な課題であるといえます。
 当研究室では,このような痛みの情動的側面からの慢性疼痛治療アプローチとして,痛みによる情動メカニズムの解明と創薬に関する研究も行っています。

4.帯状疱疹痛と帯状疱疹後神経痛の発症機序の解明

 世界で初めて確立に成功した「帯状疱疹痛モデルマウス」(Takasaki et al., 2000)と「帯状疱疹後神経痛モデルマウス」(Takasaki et al., 2002)(総説はこちら)も用いて,疼痛メカニズムの解明と新規鎮痛薬の開発に取り組んでいます。
5.マイクロアレイ(GeneChipシステム)の共同研究
 Affymetrix社GeneChipシステムを用いた遺伝子発現(mRNA,miRNA,lncRNAなど)の共同研究を行っています。ヒト,マウス,ラットに限らず様々な生物種の組織・細胞における遺伝子発現の網羅的解析を受託いたします。詳しくはアまでご連絡ください(takasaki(@)eng.u-toyama.ac.jp)。

生体情報薬理学研究室

〒930-8555
富山県富山市五福3190
富山大学大学院理工学研究部(工学)
生体情報薬理学研究室
(生物棟および大学院棟5階)
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TEL 076-445-6875(准教授室)
E-mail takasaki(@)eng.u-toyama.ac.jp

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