研究の対象と手法
当研究室は鉱物学の研究室です(ということになっています)。研究対象は”鉱物”なら何でもアリ!と言いたいところですが、研究として成り立つかどうか、また私の知識やリソースでサポート可能なテーマかどうか、よく議論する必要はあります。 私自身の現在の研究テーマは蛇紋岩などの超苦鉄質岩やそれに関する岩石ですが、学生の方々は違う地質環境に産する鉱物を研究していただいても構いません。火成岩、堆積岩、変成岩、変質岩など色々な対象の中から選べますが、いずれにしても物質学的・化学的な視点からの研究をすることになります。
研究手法はフィールドワーク、観察、化学分析、数値解析などを織り交ぜたものになります。 フィールドワークの対象は、学部生の間は国内陸上地質体を主とし、地質図作成のためのマッピング等に限らず、比較的狭い領域の露頭の詳細な観察や解析も含まれます。大学院進学以降、場合によっては海外調査や海底試料の研究もありうるかもしれません。化学分析はXRF, SEM-EDS, EPMA, ラマン分光分析, XRD, 流体包有物マイクロサーモメトリー, (LA-)ICPMSなどの機器分析が主となります。この他の先端的な分析技術や数値シミュレーション、データサイエンスを活用した解析も、興味と必要に応じて積極的に取り入れたいと考えています。 自身の体力や関心などを考慮して、ガッツリとアウトドアな研究からインドア主体の研究まで色々な選択肢があります。 鉱物・岩石・地質・鉱床などに興味がある人はもちろん、無機化学や機器分析に興味がある人やその他の先端技術を取り入れて鉱物や地質を扱ってみたい人も歓迎です。
教育・研究の方針とキャリアプラン
当研究室に所属した学生の最低限の義務は下記の2つのみにするつもりです。
・週1回 地質学-岩石学分野の合同のゼミ(地球進化学ゼミ)への参加
・月数回 研究室メンバーのみの進捗報告会+勉強会
いずれも所属後に日程を調整します。授業やバイト、就活を考慮して実施します。
ただし、当然ですが、これら以外の時間を研究活動(=野外調査、分析、先行研究講読、論文執筆など)に当てないと、研究を進めることはできません。
コアタイム(=必ず研究室にいないといけない時間帯)の設定はありません。
各自の目標や研究以外のスケジュールに応じて、自主的かつ計画的に研究を進められるように自己管理をすることも教育だと考えています。
どのくらいの時間を研究に割り当てるかどうかは、各自のキャリアプランに基づいて相談して決めましょう。自らの能力を全て発揮して全身全霊を込めて研究しても良いし、大学での研究以外に他の目標があるなら最低限必要な努力だけで卒業していただくことも可能です。
沢田自身は割りと長時間に渡って大学にいがちなので、質問や議論があればいつでも気さくに話しかけてOKです。
ちなみに沢田本人は夜型で朝は弱いです。
地質分野の研究では、フィールドワークや学内外の施設・分析機器を活用した研究を沢山行います。これらは各自の研究ペースや都合、体力などを考慮して日程を適宜決めます。 フィールドに行ける日数は限られているし、分析機器を使うにはマシンタイムを確保しないといけないしで、瞬間的にハードワークになることもありますが、その分は他の日に休んで調整していきましょう。
卒研テーマは「興味」と「キャリアプラン」に応じて相談しながら決めましょう。研究は「始め方」と「終わり方」が難しいものです。膨大な先行研究の中から未だ明らかになっていない重要事項を見つけ出すことに始まり、期限までに何らかの成果を論文としてまとめることで一段落の終わりを迎えなければなりません。自らの研究テーマの地球科学の中での位置づけを意識し、着地点を見定めながら作業を進めていく必要があります。一度やるべきことが決まれば、作業の進んでいる時間の研究活動は結構たのしいものです。生みの苦しみを乗り越えつつ作業を楽しみながらスキルアップできる卒業研究を目指しましょう。
キャリアプランとして、学部で卒業予定の方も修士・博士へ進学する方も歓迎です。特に博士課程進学を希望する方は早い段階から学振DCなどの取得へ向けてサポートしたいと思います。また、大学院生はもちろん、学部生であっても学外の研究者との共同研究によって試料分析や野外調査を行う場合があります。学外との共同研究には一層の大きな責任が伴いますが、多様な技術や意見に触れて自らの知見を高めつつ人脈を広げる大きなチャンスです。現在のところ、海洋研究開発機構、国立科学博物館、金沢大学、東京大学、高知大学などと共同で進めている研究があります。就活や企業インターン、その他の個人的な事情なども考慮して、計画的に研究を進められるようサポートしますので、キャリアプランについては早めにご相談ください。
研究内容が直接的に役立つ就職先として、鉱業、製造・加工業(金属、半導体、セラミックス、ガラスなど無機物質工業全般)、地質・環境系の調査会社やコンサルタント、分析機器メーカー、官公庁などが想定されます。また、研究活動を通じて、他の業界でも一般的に役に立つ文献調査、課題発見、計画立案、データ解析、資料作成などのスキルが磨かれ、単に与えられた作業をするだけでなく自ら主体的に仕事の「始め方」から「終わり方」までをマネージできる人材になれると期待できます。
ポスドク希望者の方へ
学振PDで当研究室に来たい方は歓迎です。研究テーマ設定の壁打ち的な議論から申請書の作成まで、まずはお気軽にご相談ください。EPMAやラマン分光分析、流体包有物用の加熱冷却ステージなどを使って腰を据えて石をいじるような研究にはとても良い環境だと思います。
2024年3月現在、残念ながら、沢田自身の科研費等でポスドクを雇用するほどの余裕はありません。今後もっと大型の予算をゲットしたら仲間の召喚をしたいと思っています。