平成29年度ALL富山COC+シンポジウム 富山発地方創生|開会・挨拶

 

開催日時:2018年2月10日(土)13:00~17:00
場所:富山大学五福キャンパス黒田講堂 

平成29年度ALL富山COC+シンポジウムが開かれ,3年間の本事業の中間報告と産業界への展開の合意形成を目的に,基調講演とCOC/COC+の取組状況の報告とパネルディスカッションが行われた。本シンポジウムには,大学,行政,企業,金融機関,メディア関係者など約500人が参加した。

第Ⅰ部:[講演・報告]
挨拶
富山大学長遠藤 俊郎

富山大学学長 遠藤俊郎本日は大勢の方にお越しいただき感謝申し上げます。COC+の事業は地元に定着し将来のリーダーとなる若者育成を通じ,地方・富山の創造発展のために県内高等教育機関・産学官と連携をとり新しいものを創り出し,若者を育てようという取組で,これまで多くの方にご協力いただいたことに感謝しています。いくつかの楽しい夢のある話も生まれており本日の報告で皆様と共有できればと思っています。人は一人だけでは何もできません。人は繋ぎあって初めて新しいものが生まれると思います。グローバリゼーションもイノベーションも結局は人と人とがつくるもの,ALL富山COC+のテーマにある「信頼の循環」です。産学官の様々な人たちの信頼の循環を多次元に組立て,皆さん一人一人の前へ進む気持ちが富山の将来を創ることになります。

富山県総合政策局長(富山県知事代理)山本 修氏

山本修氏COC+の取組がたくさんの方に関心をもっていただき着実に取組が進められていることを嬉しく思います。知事からの挨拶を預かっております。
 本シンポジウムが盛大に開催されますことを心からお祝いします。人口急減・超高齢化という大きな課題に直面し,地方の人口減少と地域経済縮小に歯止めをかけ,各地域の特徴を活かした持続的社会を創設するため,意欲と能力ある若者が地域で活躍できるように,魅力ある就業先や雇用の創出などを通じた若者の地方定着が求められています。富山県の人口は平成10年をピークに減少傾向にあり,特に若い世代が進学や就職を契機に県外に転出し戻ってこないことが課題となっています。県では平成27年10月に策定された「とやま未来創生戦略」に基づき人口減少を克服し各地域の特色・強みを生かした持続可能で活力ある未来の創造に向けて全力で取り組んでいます。県内高等教育機関においては各機関が連携して学生の教育支援や教職員の資質向上,教育研究成果を生かした地域課題解決,産学官金連携等を推進しています。平成27年度には文部科学省の地の拠点大学による地方創生推進事業(COC+)の採択を受け,県内就職率10ポイント向上を目標に県内高等教育機関と地方公共団体,企業等が連携したALL富山での学生の地元定着や雇用創出による地方創生に取組んでいます。県も事業協働機関の一員として積極的に取り組んでいます。富山全域の連携による地域人材の育成や地元就職支援などALL富山COC+の取組の成果が全国へ発信され,そこから見えてきた課題の共有,課題解決に向けた一層の連携が図られることは意義深く,その成果に大きな期待を寄せています。

参議院議員堂故 茂氏

堂故茂氏全国のモデルとなる事業を進めてこられた大学・行政関係者に心から敬意を表します。文部科学省のCOC+事業は評価を受け,認められるようになりました。行政と大学,産業界が一体となって物事を進めることが地方創生につながるということで,平成30年度予算に地方大学・地域産業創生事業が計上されました。これからどの地域で実施するか決まってきます。知事も力をいれて富山の持ち味を生かした事業として採択されるよう頑張っておられます。富山らしい地方創生が進んでいくこと,すなわち地域づくりは,人づくりに他なりません。突き抜けていく様な人を誰かが応援し支えていくことがリーダーづくりの要件です。この事業を通じ,次代を担うリーダーが育っていくことを期待します。

文部科学省大臣官房審議官(高等教育局担当)信濃 正範氏

信濃正範氏第2次安倍内閣では地方創生が大きな政策の柱となっています。東京一極集中を是正し地方の人口減を抑え,日本全体の活力を増していこうという政策です。日本の人口はこの5年間で100万人,全体の0.8%減っています。富山県は2.5%減と北陸三県の中で最も減少しています。大卒就職率は全国ワースト10に入っており北陸三県で最低です。この状況において地方創生で日本全体,富山県をどう元気にしていくか非常に大事な問題です。処方箋として大学での人材育成,地元での就職促進等,地元での産学官連携で新しい取組をすることが大事です。富山大学では魚津三太郎塾という素晴らしい人材育成の取組をしており高く評価しております。全体で5年のCOC+事業は今年3年目の中間評価ですが,ALL富山COC+は良い取組をされていると聞いておりますので,この事業を引き続きもり立てていただきたいと思います。

財務省大臣官房地方課 地方連携推進官 地方コンシェルジュ橋本 敬二氏

橋本敬二氏地方創生が政府の大事な政策として位置付けられる以前から,財務局は地域との連携に積極的に取り組んできています。財務局は財政・国有財産・金融といった業務を行い,産官学金のネットワークを有し地域の活性化へ繋げることにも取り組んでいます。地域の課題解決に向けて地方公共団体にヒアリングし,地域のニーズに合った取組をしています。地方では人口減少・出生率の低下により世代間のバランスが悪くなり,生産年齢人口減少の影響も出ており,早急に将来への対応を行うことが必要となっています。国・地方公共団体では今後5年間の対策を講じる総合戦略を策定し取り組んでいます。課題は人の流れの東京一極集中が解決していないこと。政府では地方への人の流れをつくるため大きな柱を立てています。地方創生は地方の稼ぐ力をあげることであり,地方で生活が維持できる環境をつくることです。そのために危機感を共有して様々な取組をすることが大切ですが地方公共団体で温度差がでてきています。重要なのは地域に必要な若者を育てていくことです。大学が率先して地域の若者を育てていかなければ、地域は優秀な学生が居つかない・戻らないという状況になります。高校生へ向けても教育してもらいたいと思います。本日は参加者が課題を共有して富山県活性化への活発な議論を交わしていただくことを期待します。