センター助成による国際シンポジウムが開催されました(理学系 張 勁 先生)

センター助成による国際シンポジウムが開催されました(理学系 張 勁 先生)

 女性研究者の国際的レベルの組織運営能力と研究創出能力の向上を目的として当センターが実施している国際シンポジウムの企画・開催助成金制度を活用し、理学系の張 勁教授が国際シンポジウムを開催しました。

日  時:2024年12月6日(金)~12月8日(日)
開催場所:富山大学理学部大会議室
開催方法:対面・オンラインのハイブリッド形式
参加者数:75名(一般の参加 有)

以下は、張先生からの開催報告です。


Workshop of the WESTPAC AMS program “Role of human-activities on the marine environment through the exchange materials between land and the ocean”  開催報告
 本シンポジウムは、IOC WESTPAC AMSプログラム(Healthy, Productive and Sustainable Asian Marginal Seas: Understanding changes in the marine environment in response to global climate change)の一環として、Future Earth Coastsと共同で10か国と1地域から講演者を招いて開催した。特に陸域から海洋に流入する物質が海洋環境に及ぼす影響の面から、人間活動が果たす役割について、Asian Marginal Seas (AMS)海域における様々な国の現状と研究状況をはじめ、ヨーロッパおよびオーストラリアでの取り組みも含めて情報交換を行った。日本の他に、韓国、中国、マレーシア、タイ、インドネシア、バングラデシュ、パキスタン、フィジー、カメルーン、モンゴルなどからの研究者が現地参加し、他に中国、ロシア、ポルトガル、インド、オーストラリア、フィリピンなどからオンライン参加があり、全体では16か国から50名超の参加者があった。今後、アジア縁辺海の実態における科学的理解を深めるとともに、更なる国際共同研究の促進に繋がると考えている。

12月6日
AMSプログラムの現在の活動および将来計画について、科学的目標と研究計画の概要が報告された。さらに、各国の研究者より、各地の沿岸域の栄養塩循環、栄養塩負荷に関する研究の最新の動向が報告された。その後、Open Cafe AZAMIにおいて、これらの報告に対する意見交換と円滑な協働のための強固な信頼関係の構築を目的として、意見交換会を実施した。

12月7日
公開シンポジウムとして、アジア縁辺海域における最新の研究成果を紹介するとともに、午後の部では、Future Earth Coastsとの共催として、ヨーロッパおよびオーストラリアでの取り組みも含めて、適切な沿岸管理対策についての議論が進められた。また意見交換会では、本学大学院学生の研究内容に関するポスターセッションも設け、世界著名な研究者らより研究への助言を受ける等、大変貴重な機会となった。

12月8日
富山県をモデル地域として、「水の輪廻」と主題とする巡検を実施した。富山県は、カドミウム汚染による「イタイイタイ病」の発生地域であり、地元の水田や水源に影響し、深刻な健康被害が報告されている。しかし、長年にわたる努力によって、これらの問題は解決され、「水の王国」として知られている。このプログラムを通して、開発が急速に進んでいるアジア地域における予防的政策への応用、展開に貢献しうる富山の事例を各国の研究者に紹介した。

シンポジウムの実行委員長として、多様な参加者が活発に交流できる場を創出するため、綿密な計画と状況に応じた柔軟な対応を心がけた。特に、国際的な連携を重視し、AMSプログラム秘書の中国海洋大学のQian Liu氏、Future Earth Coasts・Executive DirectorのXiaoyu Fang氏、そして留学生の皆様の意見を積極的に取り入れ、多角的な視点からの議論を促進できたと実感している。この経験から、組織運営における多様性の重要性を改めて認識した。また、この経験は学生指導にも応用可能であり、学生一人ひとりの個性や興味関心を尊重し、自主性を育みながら適切な方向へ導くことで、相互の成長を促進できると確信している。

この度は、ご支援いただきありがとうございました。大変心強く、運営に専念することができました。


シンポジウムの様子(発表者が張先生)




ポスターセッションの様子

参加者で記念撮影