センター長挨拶

富山大学学長補佐・ ダイバーシティ推進センター長 宮内伸子

富山大学学長補佐・
ダイバーシティ推進センター長 宮内伸子

時は常に流れていますが、今年、日本では平成から令和への改元があり、まさに時代の移り変わりが「見える化」しています。振り返れば、1985年の男女雇用機会均等法、1997年の介護保険法の制定は、日本における女性の生き方、働き方に多大な影響を与えた画期的なものでした。

私は、「もはや戦後ではない」と言われた1950年代半ばの生まれです。大学を卒業した1980年頃は、同級生の中にはそのまま家庭に入る人がいましたし、就職するにしても結婚まで数年間の「社会勉強」という感覚がまだ残っていました。そして老人介護は家庭の中でお嫁さんの役割と決まっていました。それから四十年程が経ち、現在の学生たちの様子を見ると隔世の感を禁じ得ません。しかし前進しているとはいえ、我が国における女性の社会進出はまだまだ不十分です。

かつて文化人類学の講義で、日本女性を「ケアする性」と説明しているのを耳にしたとき、違和感を覚えつつも納得せざるを得ませんでした。ケアする性=女性と定義するのはもう時代遅れでしょう。近年では日本でも赤ちゃんや幼児の世話をする若い父親の姿を、街でもよく見かけるようになりました。また、これまで長い間家庭内でのみ発揮されていた女性のケアする力が、社会の中でももっと活かせるようになればいいと思います。女性医師に担当してもらった患者の生存率が統計的に高いという、米国の研究結果もあります。

富山大学は平成27年に、文部科学省科学技術人材育成費補助事業「ダイバーシティ研究環境実現イニシアティブ(特色型)」 [事業期間平成27-32年度]の採択を受けました。私の室長としての任期はその最終の二年間に当たります。前任の市田蕗子先生の後を受けて、まずはしっかりその締めくくりに努めるとともに、さらなるダイバーシティ推進に向けて活動していく所存です。多様性を認めることが個々人に幸福をもたらし、それが大学ひいては社会全体の繁栄につながることを確信しています。

令和元年5月1日

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