ダイバーシティ推進センター長挨拶(任期:R5.4月~R7.3月)
この度、私は、令和5(2023)年4月1日付けで富山大学ダイバーシティ推進センター長を拝命いたしました。
ダイバーシティ(Diversity)の歴史は古く、1950〜60年代に盛り上がった米国の公民権運動に始まり、日本語では「多様性」と訳されています。現在では、表層的な多様性(性別、年齢、国籍、人種など)や深層的・内面的な多様性(スキル・能力、宗教、性的指向、価値観など)への理解が、社会全体に広く求められるようになりました。
このように多方面において広く多様性が求められるなかで、富山大学におけるダイバーシティを推進するためには、現在本学が直面している課題を整理し、重要度および緊急度の高いものから順に効率的かつ効果的な解決を目指していきたいと考えております。
さて、私はダイバーシティ推進センター長のほか、女性研究者・外国人研究者支援担当の学長補佐も兼務しております。ダイバーシティの観点からみても、本学においては、女性研究者や外国人研究
者が少ないことが課題となっており、この課題の解消に向けた対策も優先的に行うことが求められているものと理解しております。これは、日本全体共通の課題とされており、特に地方大学においては一層難しい課題となっております。
このような状況の中において、本学でも様々な対策を推進してきております。例えば、文部科学省科学技術人材育成費補助事業「ダイバーシティ研究環境実現イニシアティブ (特色型)2015~2020年度」では、女性研究者の短期海外留学制度をはじめとした様々な取組みを行い、終了年度末には女性教員比率を約2%高めることができました。一方で、目標値(25%)達成のためには、特に理工系分野において今後も一層の努力が求められております。これは、当センターのみでできることではないことから、各部局等においても様々な対策に取り組んで頂いております。例えば、入試においては、令和5年度工学部女子特別推薦枠を実施した結果、多くの入学者を迎えることができ、順調な滑り出しとなりました。国際交流に関しては、本学を卒業・修了した学生などで、現在は海外の大学等で教育研究職に就いている研究者をリエゾンプロフェッサーとして委嘱する制度を創設しました。昨年度は15名のリエゾンプロフェッサーを迎えることができ、富山大学の更なる国際ネットワークの構築・推進につながることを期待しています。また、大学院改組では、特に留学生を意識した英語のみで修了可能な文理融合の持続可能な社会創成学環修士プログラムを新設し、SDGsの実現に向けて国際的に貢献できる人材育成を推進しています。
当センターは、各部局等におけるダイバーシティに関する様々な取組みを応援し、皆様と一緒に「富山大学丸」という一つの船に乗ってダイバーシティを推進してまいります。皆様からの忌憚のないご意見やご提案をお待ちしていると同時に、ダイバーシティ推進にあたり更なるご理解とご協力をよろしくお願い申し上げます。
ダイバーシティ推進センター長 張 勁