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講義内容(シラバス)2011

医薬製剤産業特論

授業科目名
(英文名)

医薬製剤産業特論
Industrial Technology Session for drug products

担当教員(所属)

紀平哲也(富山県くすり政策課)、正川康明(富山県医薬品総合研究センター)、津野敏紀(広貫堂)、山本博彦(富山化学)、石黒幸男(テイカ製薬)、稲田裕彦(救急医薬品)、片山和憲、堀内環(リードケミカル)、金井達夫、原 豊(日医工)、坂本恵司(第一ファイン)、高橋久雄、大津賀保信(ダイト)、高橋充博(アステラス富山)、原 哲、水谷 豊(富士製薬)、黒田重靖(富山大学)

授業科目区分

スーパーエンジニア養成コース

授業種別

修士課程 正規科目

時間割コード

 

対象所属

理工学教育部

開講日程

8月-10月 土曜日3、4限
(13:00〜16:15)

対象学年

社会人技術者

単位数

連絡先(研究室、電話番号、電子メール等)

産学連携部門(城石昭弘 Tel:076-445-6977)
Mail:siroisi@ctg.u-toyama.ac.jp

オフィスアワー(自由質問時間)

 

授業のねらいとカリキュラム上の位置付け(一般学習目標)

・産業の発展経緯と確立された固有の技術に対する理解を深めること
・専門分野の深い知識・能力に加え、他の技術分野の知識を深めること
・技術全体を見渡し、複眼的視点から技術の価値を見出す能力の習得

達成目標

医薬品産業を構成する要素技術全般についての理解を深める。原薬開発から最終医薬品に至る各工程の諸業務をものつくり技術と捕らえ、医薬品製造に関わる技術全般に対する理解を深める。特に多様な製剤技術が重要であり、確立されたコアテクノロジーとそれに基づく各社の取り組み事例を述べることにより、意欲的で、見識豊かな次世代の産業技術者の育成を目指す。

                      

授業計画(授業の形式、スケジュール等)

第1回

富山県に於ける製薬産業の発展と将来性

紀平

第2回

薬剤学概論−最適な薬物治療を目指して−

片山

第3回

薬事戦略を考慮した医薬品の製造

高橋(充)

第4回

創薬研究から開発研究

山本

第5回

原薬製造

坂本

第6回

リスクベースに基づいた高薬理活性物質ならびに原薬製造施設の適確性評価

高橋(久)

第7回

天然物と医薬品産業

正川

第8回

医薬品事業の収益性と生産管理

石黒

第9回

新剤形開発とライフサイクルマネージメント−剤形アドヒアランスをめざして−

稲田

第10回

医薬品の規格及び試験方法

津野

第11回

医薬品添加剤と経口投与製剤の処方設計

金井

第12回

固形剤工場の特徴と製剤装置

原(豊)

第13回

外用製剤と開発事例

堀内

第14回

注射剤に求められる品質について

原(哲)
・水谷

第15回

医薬品産業の動向と方向性

大津賀

第16回

医薬品製剤の実際(実習)

黒田

キーワード

製剤、GMP、GQP、GVP、原薬、中間体、錠剤、原価計算、バリデーション、顆粒、粉剤、錠剤、丸剤、処方、製剤装置、薬物の吸収、薬物送達、外用製剤、口腔内速崩壊錠、増粘剤、徐放性、経皮吸収、ジェネリック、配置薬、グリーンケミストリー

履修上の注意

 

教科書・参考書等

 

成績評価の方法

出席回数、レポート(各講師毎に)

関連科目

 

備考

 

医薬製剤産業特論:授業計画

主題と位置付け

学習方法と内容(講義概要)

富山県に於ける製薬産業の発展と将来性

(紀平)

本県の製薬産業における @現在置かれた経営環境 A発展の歴史的経緯 B製薬産業の将来像と政策について、理解を深める。特に異業種連携の可能性について言及する。

薬効、薬理概論:−薬はなぜ効くのか−

(片山)

医薬品開発における製剤化の重要性について述べる。とくに錠剤、注射剤、外用薬など、剤形あるいは投与経路の違いが薬理効果にもたらす影響について、「体の中の薬物動態」を基礎にして考察する。さらに薬物投与の最適化、すなわち「必要な時に、必要な場所に、必要な量」の薬物を送り込む事により、安全かつ有効な薬物治療が実現されるとする、「薬物送達システム(DDS)」の概念と製剤技術の実例について紹介する。

薬事戦略を考慮した医薬品の製造

(高橋(充))

製造技術だけでは、「物質」の製造はできても、信頼される「医薬品」の製造はできない。医薬品製造工場は、レギュラトリーサイエンスを含む薬事規制に対応する必要がある。近年、国際的な企業間の競争は激しさを増しているため、どのような薬事戦略を採用するかが、重要な要素となりつつある。今回の講義では、医薬品製造に関連した薬事とその周辺のGXPを中心に説明する。さらに、気になるホットトピックスについて、薬事戦略の観点から、解説を加え、問題点と対策を検討する。

創薬研究から開発研究

(山本)

新薬誕生までの概略について述べた後,創薬研究と開発研究における技術課題(スケールギャップ等)や手順などの違いについて述べる。次いで,原薬製造プロセス研究を効率的に遂行するための方策について事例を挙げて紹介したい。

原薬製造

(坂本)

医薬品の薬効成分である原薬は低分子薬と生物医薬に大別される。各々の原薬製造に至るプロセス開発から工業化までの流れについて、その求められる事柄やポイントを概説する。また、原薬製造に必要とされるグリーンケミストリーに関して、酵素法による工業化事例を挙げる。

リスクベースに基づいた高薬理活性物質ならびに原薬製造施設の適確性評価

(高橋(久))

工業化プロセスが確立できたら,次は製造施設を建設し製造に必要な製造装置、空調システム(HVAC)ならびに製造用水システムなど重要な支援システムを導入することが必要になる。また、抗がん剤,ホルモン剤などの高薬理活性物質を取り扱う場合,交差汚染(クロス・コンタミネーション)対策と作業員への健康被害を影響を防止するための封じ込め(コンテインメント)対策が必要になる。そこで,商業生産を開始する前に,どのようなリスク評価を行う必要があるのか、またこれらの製造施設あるいは装置をどのように検証を実施すればいいのか実例を用いて紹介する。

天然物と医薬品産業

(正川)

微生物や植物、鉱物などの天然物素材は、それ自身が、或いはそれらを起源とする物質が医薬品の主薬として、また、添加剤として多用されている。これらの物が、医薬品として用いられて行く過程を紹介し、医薬品産業に与えた影響について述べるとともに、未来の可能性について考えてみる。
また、これらの物が、医薬品として製品になるまでのコストについて考察する。

医薬品事業の収益性と生産管理

(石黒)

医薬品の原価計算における新薬メーカー、後発品メーカー、受託メーカー、配置薬メーカー等の価格体系の基本的な違いを述べる。 また、原材料費、労務費、経費、減価償却費、運賃等についてのシュミレーションを行い、事業の収益性について検討する。 生産管理については具体的事例を示し、その留意点について概説する。

新剤形開発とライフサイクルマネージメント
−剤形アドヒアランスをめざして−

(稲田)

医薬品新規有効成分の開発の成功率が近年急激に低下している中にあって、新薬メーカーは新規有効成分(特に固形製剤)の承認がなされる前にすでに別剤形での開発が開始されることが多い。これはPLCM(プロダクトライフサイクルマネージメント)が新薬メーカーの標準となってきたのと同時に患者さんにやさしく、使いやすい製剤開発が医療現場から強く求められているためてある。この講義では固形剤を中心に剤形コンプライアンス・アドヒアランスを目指した医薬品メーカーの剤形戦略と製剤技術について紹介する。

10

医薬品の規格及び試験方法

(津野)

医薬品は有効成分等を混合して錠剤などに成型した製剤であり、一般の人が容易にその内容・品質を見ることは困難である。また、混合や成型による製造のため、その品質は正規分布を示し一定ではないが、含量等を全数検査することができなく、母集団(ロット)管理が必要である。
医薬品は病気の治療などに用いるため有効性かつ安全性が求められ、表示量に対してほぼ均質でなければならない。その為、医薬品を開発・設計時の品質(目標・期待値)が製品に反映するよう、品質の安定した製剤化・規格設定が必要で、それを試験する堅牢な試験方法が必要となる。これらを踏まえて、規格及び試験方法のあり方や分析法バリデーション並びに品質保証について説明する。

11

医薬品添加剤と経口投与製剤の処方設計

(金井)

ジェネリック医薬品の開発手順を解説し、ジェネリック医薬品の理解を深めるとともに製剤化技術の重要性を述べる。また、経口投与製剤に用いられる添加剤の種類と特徴について概説した後、経口製剤の処方設計について述べる。更に放出制御(徐放性)、溶解性改善、保存安定性確保など、添加剤の選定による高品質を付与した様々な製剤処方設計について述べる。

12

固形剤工場の特徴と製剤装置

(原(豊))

固形製剤の概説及び商業生産に向けたスケールアップ手順等を述べる。次いで固形剤工場の製造施設の特徴を概説した後、弊社固形剤工場の建設にあたっての基本コンセプト並びに新工場の特徴と製剤装置の概要を述べる。

13

外用製剤と開発事例

(堀内)

生体バリアーである皮膚を通して薬を吸収させるという経皮吸収剤の発想の原点、その開発初期の基本戦略と有効性を証明するために実施した実験例を踏まえ、経皮吸収剤という医薬品の新しいジャンルを切り開いていったエピソードについて紹介する。

14

注射剤に求められる品質について

(原 哲・水谷)

注射剤に求められる品質について、特に「無菌操作法と最終滅菌法」の視点から、弊社新製剤棟建設のコンセプトを交え解説する。

15

医薬品産業の動向と方向性

(大津賀)

富山県の医薬品生産高は今後大幅な増加が期待できる。そのインフラの整備とものつくりとしての製剤技術の重要性について述べる。

16

医薬品製剤の実際(実習)

(黒田)

関連企業の製造現場に出向いて実際の製造工程の現場研修、見学を行い、体験学習をする。

これまでの【医薬品製剤の実際(実習)】(見学)コース
  21年度:東亞薬品(株)富山工場、富山化学(株)、ダイト(株)、(株)広貫堂 滑川工場
  22年度:日東メデック(株)、リードケミカル(株)、日医工(株)滑川工場