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講義内容(シラバス)2013
医薬品製造プロセス特論
授業科目名 |
医薬品製造プロセス特論 |
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科目 |
富山大学大学院理工学研究部(工学系)教授 森英利 |
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区分 |
スーパーエンジニア養成コース |
授業種別 |
大学院修士課程実践教育 |
開講日程 |
1月−3月 土曜日 3、4限 |
対象学年 |
社会人技術者、大学院生 |
単位数 |
2 |
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連絡先(研究室、電話番号、電子メール等) |
森 英利(TEL445-6856)、 |
オフィスアワー(自由質問時間) |
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授業のねらいとカリキュラム上の位置付け |
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医薬品の製造過程では、原薬の反応合成・精製分離における晶析、濾過、分離、乾燥などの操作が、また製剤化過程では原薬の充填、圧密、打錠による賦形化などの操作が行われる。本講座では、医薬品製造プロセスの構成と各工程で必要とされるエンジニアリングを列挙し、特に粉体工学を中心とした粉体特有の現象、ハンドリングにおけるトラブルの実際などを、種々な単位操作を通して理解し、医薬品製造プロセスへの応用に役立てることを目的とする。 |
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達成目標 |
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1)医薬品製造過程を一連のプロセス(主として粉体工学)として捉えその特徴と原理原則を理解できること。 |
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講師の紹介 |
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第1回 |
正川 康明氏 |
(富山県医薬品総合研究センター所長) |
(元)広貫堂取締役 開発・営業本部長を経て現職。 |
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城石 昭弘氏 |
(富山大学名誉教授) |
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日産化学梶A富山大学教授を経て、本事業の事務局に従事。専門は晶析工学、特に結晶癖、結晶多形。 |
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第2回 |
高瀬 均氏 |
(富山大学大学院理工学研究部准教授) |
ナノ、マイクロメータオーダーの微粒子を対象にした、気中、液中における界面物性の制御による、多様な構造の凝集体の作製、固/液分離、界面動電現象に関する研究。 |
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第4回 |
羽多野 重信氏 |
(潟iノシーズ技術顧問) |
粉体の諸操作に関わる粉体物性の測定法・評価法、特に粉体のハンドリングに大きな影響を及ぼす付着性粉体の流動性に関する評価法の開発、および生産現場における粉体の流動性に関与する因子およびそのメカニズムの研究 |
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第5回 |
山本 健市氏 |
((元)富山大学理工学研究部教授) |
粉体の混合・偏析・流動・帯電現象の解析およびその応用、粒子の形状解析・定量化などの基礎研究。 |
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第7回 |
劉 貴慶氏 |
(富山大学大学院理工学研究部助教) |
粉体流動層の環境分野での応用技術開発、固体―気体系反応プロセスの設計およびバイオマスを含む固体廃棄物の熱エネルギー利用プロセスに関する技術研究開発。 |
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第8回 |
森 英利氏 |
(富山大学大学院理工学研究部教授) |
生体がもつ自己組織化機能を模倣し、生体に適合する材料(骨、インプラント、薬剤放出制御製剤、カプセル内視鏡)のみならず、一般的な材料合成プロセスに発展させるための技術開発。 |
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第9回 |
福森 義信氏 |
(神戸学院大学薬学部長) |
京都大学薬学部卒、東京農工大非常勤講師、東北大学非常勤講師、神戸大学医学専攻科客員教授を経て現職。専門:微粒子のコーティングに関する研究、ガン治療のための医薬品微粒子製剤の開発、薬物及び原子の送達の為のナノデバイスの開発等。日本粉体工業技術協会委員、日本薬学会編集委員等 |
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第11回 |
山本 辰美氏 |
(富山大学大学院理工学研究部助教) |
成分分離場としての液−液乳化分散系や気−液分散系の動的挙動に関する研究、液−液抽出プロセスや晶析プロセスなどの成分分離プロセスに関する基礎的研究 |
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第13回 |
森 英利氏 |
(富山大学大学院理工学研究部教授) |
生体がもつ自己組織化機能を模倣し、生体に適合する材料(骨、インプラント、薬剤放出制御製剤、カプセル内視鏡)のみならず、一般的な材料合成プロセスに発展させるための技術開発。 |
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第14回 |
吉田 正道氏 |
(富山大学大学院理工学研究部准教授) |
医薬品原末他の高機能材料製造プロセスにおける乾燥操作の最適化・効率化を熱物質の移動現象論の立場から理論的に解析、および計測手法の開発研究。 |
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キーワード |
粉体・晶析・ろ過・分離・乾燥・圧密・賦形 |
履修上の注意 |
物理・化学の基礎知識(大学教養程度) |
教科書・参考書等 |
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成績評価の方法 |
出席およびレポート |
関連科目 |
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備考 |
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医薬品製造プロセス特論:授業計画(講義内容、開催予定日、講師)
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回 |
主題と位置付け |
学習方法と内容 |
1 |
緒論 (正川、城石) |
医薬品製造プロセスの構成と特徴、単位操作的思考法に基づくプロセスの問題点と共通課題について述べる。更に商品設計と規格、分析法と交叉汚染の防止法等について言及する。 |
2 |
粒子群の集積特性 (高瀬) |
医薬品の製造プロセスにおける粉体の充填、圧密、貯蔵などの各操作を良好に行うには、個々の粒子の特性と共にそれらの集合体としての粒子群の集積特性をよく知ることが必要である。講義では、粒子径、粒子形状、粒子径分布などの基本的事項について説明し、次に均一球の系統的配列によるユニットセル、最密充填理論、および一般の粒子のランダム充填における集積特性について説明する。 |
3 |
湿った粒子群の特性 (高瀬) |
造粒や粒子層の乾燥操作を理解する上で重要な、粒子層中に液体が存在する場合の粒子間力、粒子間の保持液量、粒子層内の毛管上昇高さ、残留平衡飽和度について説明する。 |
4 |
粉体操作1:粉砕 (羽多野) |
微粒子の集合体である粉体を得る一手段としての粉砕法について、基礎的な理論をできるだけ平易に紹介する。つぎに、従来から用いられている粉砕装置の特徴および用途を概説したうえで、原料粉体の性状に応じた粉砕方法の選択、粉砕後の用途に適合する粉砕方法の選択などについて考察する。さらに、新しく提案されているサブミクロンからナノオーダーまで粉砕が可能な粉砕装置についても紹介する。 |
5 |
粉体操作2:混合・分級 (山本) |
粉粒体の混合度、混合速度等、混合に関する基本的事項を概説し、その均一性の評価法ついて考察する。更に様々な分級方法(湿式法、乾式法、連続分級法)の特徴と分級された製品の特性について述べる。 |
6 |
粉体操作3:輸送 (山本) |
粉体圧、閉塞限界寸法、流出(フラッシュ)速度の概念について説明し、様々な粉体輸送装置の設計計算について述べる。 |
7 |
粉体操作4:造粒 (劉) |
流動層造粒設計にかかわる流動層の原理および形成条件や粉体粒子間の諸作用力について詳述する。造粒粒子の形状、大きさおよび強度などの特性に影響を与える粉体の付着・凝集性や流動状態や結合剤の種類について考察する。また新方式造粒法としてバイダレス(結合剤なし)造粒法や圧力スイング造粒法も述べる。 |
8 |
粉粒体のレオロジー特性 (森) |
粉体のレオロジー特性は、粉体層が流動する場合の基本単位である粒子または粒子集合体同士の内部摩擦による現象として説明される。この特性は粉体の圧密・充填特性に強く影響することを理解するため、流動性の簡便な評価法、圧密試験による内部摩擦の求め方、圧密過程の解析法について詳述する。また粉体の凝集・偏析、貯蔵容器内での圧力分布など、流動性が関与する粉体特有の現象についても考察する。 |
9 |
打錠 (福森) |
打錠は顆粒あるいは粉末を臼と杵により圧縮して錠剤を成型する過程で、製剤化の基本である。単発およびロータリー打錠プロセスの概要と粉体特性が関与する打錠トラブルの発生要因、および打錠障害を引き起こす原因等について詳述する。 |
10 |
コーティング (福森) |
コーティングは錠剤、顆粒剤表面を白糖や高分子の皮膜を形成する操作で、不快な味や臭いのマスキング、防湿、遮光、酸化防止、またコーティング剤特性を利用した薬物溶出制御などを目的とする。代表的な被膜剤およびそのコーティング法、また徐放性製剤などの機能付与について述べる。 |
11 |
晶析1(晶析の基礎的事項) (山本(辰)) |
有効成分の分離精製および粒子群製造操作としての晶析を理解する上で欠かせない基礎事項として、固液間の相変化、過飽和と準安定域、結晶の核化現象、結晶成長の機構と速度、結晶系の分類などについて概説する。 |
12 |
晶析2(工業的晶析操作の理解に向けて) (山本(辰)) |
医薬品原薬の分離精製プロセスとしての晶析において特に重要な結晶多形現象を、その一般的な評価法と共に説明する。また、晶析操作の基本戦略と晶析装置選定・操作設計を、原薬製造プロセスで一般的に用いられる回分晶析を中心に説明する。 |
13 |
濾過・分離操作 (森) |
晶析などの湿式プロセスで得られた結晶物質は、精製・分離操作としてケーク濾過が行われる。濾過抵抗が比較的小さい場合や密閉系で処理したい場合には加圧濾過が、それ以外では濾過速度や脱液特性に優れる遠心濾過が適用される。基本的な濾過特性の評価法、濾過の機構および濾過操作の実際について述べる。 |
14 |
乾燥1 (吉田) |
医薬品原末の製造(反応→晶析→濾過→乾燥)における乾燥操作は最終段階として非常に重要な意味を持つ.乾燥機構の基礎について概説し、乾燥操作の最適化・効率化について言及する。とくに熱と物質の同時移動現象を総括的に捉え、その原理に基づいて乾燥挙動を予測し,装置設計や操作設計を行うための指針について述べる。 |
15 |
乾燥2 (吉田) |
真空乾燥、凍結乾燥、噴霧乾燥、および流動乾燥など、乾燥操作の基礎について述べ、それらの装置特性について言及する。また操作条件と得られる製品の流動性や充填性の改善、化学的性質の安定性など、品質との相関について概説する。 |
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