環境分析化学研究室  
  研 究内容::
   
 
研究内容

 

廃液・廃棄物の処理方法の開発研究

(この研究は加賀谷准教授が進めています)


酸化還元・促進酸化法

同じような元素で構成され た物質でも,その構造によって有害性の程度,回収や処理の易難が異なる場合があります。我々は,酸化還元反応を利用して化学形態を制御することで,有害性 を低減することや回収・処理を容易にすることができると考え,様々な反応を基礎的に研究しているところです。また,最近水処理などへの応用が盛んな促進酸 化法についても基礎的な研究を行っています。

 

Focus 1:酸化還元反応

化学的酸化還元反応を 利用し,有害物質の化学形態を変化させる研究を行っています。様々な酸化剤,還元剤を用い,無害化,回収,処理できる形態に変換することを目指していま す。

A3101> 硫化物イオン→硫酸イオン

A3102> 硝酸性窒素→アンモニア性窒素

 

Focus 2:光触媒分解反応

促進酸化法とは,化学 反応,触媒反応などによりOHラジカルを発生させ,これにより有機汚濁物質などを分解する方法のことをいい,二酸化チタン光触媒を用いる方法もこの1種で す。この二酸化チタン光触媒分解法が,いくつかの金属錯体の分解に適用できることを見出しました。なお,二酸化チタン粉末を溶液に添加して用いた場合,懸 濁状態となるため,触媒の分離が必要となります。この点に関しても研究を進めています。

A3201> 金属錯体分解

A3202> 二酸化チタン分離

 

Focus 3:新奇促進酸化技術

光触媒などを用いずに OHラジカルを発生させることのできる,新奇な促進酸化技術の確立も目指しています。


廃液・廃棄物処理

近年の環境問題に対する社 会的な関心の高まりを反映し,有害物質の環境中への排出がより厳しく規制される傾向にあります。しかし,廃水・廃棄物は組成が複雑で変動することもありま す。そのような中,多様な条件下で規制を守ることのできる処理技術を開発することを目指し,以下の4つの視点から研究を進めています。

 

Focus 1:光触媒分解法

光触媒懸濁系分解法 は,触媒粉末を廃水に入れ,光(太陽光など)をあてるだけで有害物質が分解する,簡便な方法として注目されています。この方法の実用化を目指し,実廃液の 処理条件の検討,また連続処理装置の開発を行っています。

B2101> 金属-EDTA錯体廃液の 処理

B2102> 二酸化チタン懸濁系排水連 続処理 装置

 

Focus 2:凝集沈殿法

廃液のpHを調整して 重金属など有害物質を沈殿させ,除去する凝集沈殿法は,現場で最も広く用いられている処理法です。しかし,現時点において,この方法では処理できない重金 属もいくつかあります。これら処理法の確立されていないいくつかの重金属に対し,基礎的研究結果を参考にして処理方法を開発しています。

B2201> タリウム廃液処理

 

Focus 3:溶出制御法

廃棄物一部では,有害 元素の溶出が問題となっています。これら廃棄物を埋め立て処分するためには,有害元素を溶出しないようにしなければなりません。我々は,有害元素の溶出を 抑制する処理剤を開発しています。

B2301> 焼却飛灰からの鉛溶出抑制

 

Focus 4:原点処理法

大学などの事業所から 排出される廃液量は増加する傾向にあります。我々は,廃液を発生源で処理(原点処理)するための簡便な方法の開発を行い,これを用いて実際に処理すること により研究室廃液の減量化を目指しています。

B2401> 水銀廃液処理

B2402> 硝酸廃液処理

B2403> 中和凝集沈殿装置

B2404> 中和滴定用指示薬吸着除去・緩衝 液廃液用酢酸再生装置

B2405> 有機成分分解装置


再資源化法

循環型社会の構築が叫ば れ,再資源化への積極的な対応が望まれています。一般に,廃棄物には様々な物質が混ざっていますので,有価な物質をそれだけ分離できる技術が必要になりま す。また,再資源化のためには多くの費用が必要となり,また多くのエネルギーが消費され,それらが循環の妨げとなっているのが現状です。我々は,以下の3 つの視点から再資源化に取り組んでいます。

 

Focus 1:有価物質の選択的分離回収法

廃棄物からの有価物質 の回収技術は,近年の循環型社会構築に向けて,鍵となる技術の一つです。我々は廃棄物からの有価金属の回収技術の確立に向け,回収材料,回収手法等,基礎 的な検討を行っています。

B3101> 無機・有機廃液からのパラジウム の選択的分離回収技術

 

Focus 2:廃棄物を原料とした有用物質製造法

現時点で廃棄物再資源 化促進を阻むものは,「技術」ではなく「コスト」であると,我々は考えています。この問題をクリアするための方策として,廃棄物を原料とし,より付加価値 の高いものを製造する「技術」の開発が挙げられます。我々は,廃棄物の無機原料として利用し,有用高付加物の製造を目指し検討を進めています。

 

Focus 3:リサイクル評価法

再資源化には大きな負 荷がかかることも少なくありません。現在,「リサイクル負荷」の客観的な評価を目指し,検討を進めています。

B3301> 古紙のリサイクル負荷評価


Copyright (c) Lab. of Environ. and Anal. Chem., Univ. Toyama. All Rights Reserved.