Laboratory for Biological Information Processing
生体情報処理研究室

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Bioinformatics バイオインフォマティックス

遺伝子

 一つの遺伝子は一つのタンパク質の設計図です。タンパク質は数百〜数千のアミノ酸が数珠つなぎになったものです。タンパク質は体内の化学反応を制御する、いわば生命現象の指揮者です。ヒトは全部で約2万種類の遺伝子とそれに対応する約2万種類のタンパク質を持っています。遺伝子はA, T, G, Cという4つの文字の配列でできている暗号のようなもので、アミノ酸の種類と並び順を指定します。

テイラーメイド医療

 個人ごとに遺伝子の配列には少しずつ違い(遺伝子変異、遺伝子多型)があります。そのため体質に個人差があります。遺伝子変異・多型の中には疾患のリスクを高めるものがあります。同じような症状を示す複数の患者に〝よく効く〟医薬品を投与しても、体質の違いのために6割くらいの患者にしか治療効果が現れません。
 もし患者の遺伝子配列を調べて、その患者の体質に合った医薬品や治療法を立案できるのであれば、遺伝性疾患の発症を確実に予防したり、発症した疾患を確実に治療することが期待されます。このような未来の医療がテイラーメイド医療(personalized medicine, PM)です。

ビッグデータ

 PMを実現するためには、いろいろな疾患の患者からあらゆるパターンの遺伝子変異・多型を集め、遺伝子変異・多型ー疾患リスクの関連性をデータベース化することが第一歩となります。しかし、このようなデータベースだけでは遺伝子変異・多型がどのようにして当該疾患のリスクを高めるのかという因果関係が分かりません。またデータベースに登録されていない遺伝子変異・多型を持った患者に対しては無力です。

タンパク質の機能解析、in-silico予測

 当研究室では、不整脈に注目し、患者から採取した遺伝子(主として心臓の活動電位を制御するイオンチャネルの遺伝子)から不整脈に関連する遺伝子変異・多型を多数発見しています。また患者の遺伝子を培養細胞に発現させ、患者と同じイオンチャネルを再構築し、パッチクランプ測定によりイオンチャネルの機能がどのように変化しているかを解析しています。このような一連の実験により、遺伝子変異・多型ータンパク質の機能異常ー疾患という因果関係が明らかにし、PMの基礎構築に貢献します。さらにこれらの因果関係を蓄積したデータをディープラーニングで学習させ、データベースに未登録の遺伝子変異・多型を持った患者に対しても治療方針をアドバイスできる人工知能システムの開発にも取り組んでいきます。

不整脈患者から採取した遺伝子群の配列を解析し、 SCN5A(心臓の活動電位を起動するイオンチャネルの遺伝子)にK817Eという新しい変異を発見した(当研究室、Kinoshita et al., Heart Rhythm, 2016)。

SCN5AのK817E変異は、イオンチャネルの電圧刺激に対する感度を低下させ、不整脈を発症させていることが分かった(当研究室、Kinoshita et al., Heart Rhythm, 2016)。

当教室の主要関連論文

Kinoshita et al., 2104
Yamaguchi et al., 2014
Kinoshita et al., 2016
Abe et al., 2018