Super-Kamiokande
Super-Kamiokande検出器を用いて太陽ニュートリノに関する研究を行っています。
博士論文では、低エネルギー領域(3.5-5.0 MeV(kin))におけるバックグラウンドの同定と低減、イベントの検出効率を精密に評価しました。 これらの研究により、低エネルギー領域の太陽ニュートリノイベントを観測し、精密にエネルギースペクトラムを測定しました。
右の図は、SKにおける太陽ニュートリノフラックスの観測結果です。
太陽自身のg-mode振動による周期的なニュートリノ放出強度変動に関する研究を通して、世界初のg-mode振動の発見を目指しています。
太陽に代表される恒星は、天体中心で生成される核融合起源の熱エネルギーが運動エネルギーに変換されることにより、天体自身の振動現象をおこします。太陽では重力によるg-mode振動によって、太陽核領域で局所的な密度(温度)変化が周期的(~200μHz)に生じていると考えられています。特に、Super-Kamiokande検出器で主に観測される8B(ボロン)ニュートリノの生成率は温度の18乗程度(最近だと24-25乗)に比例すると考えられているため、g-mode振動由来の局所的な温度変化により放出強度が周期的に変動していると予想されます。
Super-Kamiokande検出器で実際に観測された太陽ニュートリノ事象の時刻情報に周期的な変動があれば、g-mode振動を間接的に観測できる可能性があります。これらの研究における解析を担当しています。
科研費 若手研究(B) 「太陽ニュートリノの観測時刻情報を用いた太陽g-mode振動の探索」
Super-Kamiokande検出器を用いて、宇宙における様々な天体現象起源のニュートリノ探索(研究)を行っています。
右の図は、LIGO実験によって観測された重力波(GW150914,Phys. Rev. Lett. 116, 061102 (2016))の前後+/-500秒の間に、Super-Kamiokande検出器で観測されたイベントの時間分布(左)とエネルギー分布(右)です。
BH-BH merger: Astrophys. J. Lett. 830, L11 (2016)
NS-NS merger: Astrophys. J. Lett. 857, L4 (2018)
発表資料 (英語) or Universe 5 (2019) 7.
最近、太陽フレア由来のニュートリノ探索を始めました。
Super-Kamiokande検出器のような地下実験では、高いエネルギーを持つ2次宇宙線(ミューオン)を観測することができます。 これらの宇宙線ミューオンの到来数が周期的に変動しているかを研究しています。
特に、大気中の密度や太陽活動との相関に関して研究を進めています。